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ポプラに自宅まで送って貰った俺は店を一旦締めて貰った上で三人を集めて考えを話した。
「実は……」
イオンが自分の落としたケーキを完食したことをまず伝える。
俺と同じように三人もそこが一番許せないと考えたからだ。
貴族令息がそんなことをするとは想像してなかったようで三人とも驚いた顔をしていた。
続いてイオンが結果として店のケーキを凄く気に入ったことも話した。
そして毎日食事代わりに食べたがったことも。
「でもゴールディング公爵家から毎日注文されたことなんて無かったわよ」
「使用人の名前で注文して受け取らせて公爵家に運んでたからね」
「何それ、卑怯じゃない!ずるい!」
「フン、貴族らしいやり口だ」
姉も父も当然不快そうだった。
「まあそれぐらい家のケーキが食べたかったってことで……」
「だったらまずアリオに対して頭下げて謝って許してくださいっていうのが先じゃない?」
「あいつが俺の息子だったら拳骨して叱りつけてやる」
俺がイオンとゴールディング家について報告する度に二人は怒り呆れた。
イオンが痩せて美男子になったことを報告したが面食いの筈の姉は大して関心を持たなかった。
「顔と家柄が良くても中身がね」
イオンが聞いたら激怒しそうなことを口にする。否定はできない。
そういう判断が出来る彼女に身内として安心した。ゲーム内のパルは誰でも良いから結婚したいぐらいの勢いだったので。
寧ろディエの方が今はその傾向がある。流石に誰でもという訳では無いだろうけど。
「それに婚約者がいるんでしょ。その時点で異性だと思ってないわよ」
婚約中なのに遠慮無しに婚活しているディエに聞かせてやりたい。
いややっぱり関わり合いになりたくない。
そんなことを内心考えながら話を続ける。
イオンが一度減量した後に再度過食で太りつつあること。
うちの店の果物多め糖分と脂肪分少な目のケーキに慣れたせいで他店のケーキだと体が受け付けなくなっているらしいこと。
それでも大量に食べ続けていることを説明すると、二人とも怒りではなく困惑の表情に変わっていった。
「……こういうこと言っちゃ駄目かもしれないけど、病気じゃない?」
「……そうかもね」
姉の言葉に俺は曖昧に同意する。
「……それで、ゴールディング家の息子が病気だとしてお前に何が出来るんだ」
「そうだよ。お前が何かしてやる必要は無いって」
父とポプラが次々に否定的な事を言ってくる。気持ちはわかる。
俺も二人の立場だったら似たようなこと言うだろうし。
こちらを心配して、もう傷つく必要はないだろうというつもりで止めてるのもわかる。
だからまず頭を下げた。
「有難う、心配してくれて」
二人が驚いた表情を浮かべるのがわかった。確かにこの流れで礼を言われるとは思ってないだろう。
「でも俺の為でもあるから」
「お前の為って、何でだよ?」
ポプラの疑問に少しだけ躊躇って口にする。
言おうとは決めていた。あの夢から覚めてずっと。
言わないと納得されないと思ったから。
「……誰にも言わないで欲しいけど、俺の見る悪夢ってイオン・ゴールディングが死ぬ内容なんだよ。もう、見たくない」
だから彼の運命を変えたいんだ。
言い終わった瞬間、誰かが肩を叩いたような気がした。
「実は……」
イオンが自分の落としたケーキを完食したことをまず伝える。
俺と同じように三人もそこが一番許せないと考えたからだ。
貴族令息がそんなことをするとは想像してなかったようで三人とも驚いた顔をしていた。
続いてイオンが結果として店のケーキを凄く気に入ったことも話した。
そして毎日食事代わりに食べたがったことも。
「でもゴールディング公爵家から毎日注文されたことなんて無かったわよ」
「使用人の名前で注文して受け取らせて公爵家に運んでたからね」
「何それ、卑怯じゃない!ずるい!」
「フン、貴族らしいやり口だ」
姉も父も当然不快そうだった。
「まあそれぐらい家のケーキが食べたかったってことで……」
「だったらまずアリオに対して頭下げて謝って許してくださいっていうのが先じゃない?」
「あいつが俺の息子だったら拳骨して叱りつけてやる」
俺がイオンとゴールディング家について報告する度に二人は怒り呆れた。
イオンが痩せて美男子になったことを報告したが面食いの筈の姉は大して関心を持たなかった。
「顔と家柄が良くても中身がね」
イオンが聞いたら激怒しそうなことを口にする。否定はできない。
そういう判断が出来る彼女に身内として安心した。ゲーム内のパルは誰でも良いから結婚したいぐらいの勢いだったので。
寧ろディエの方が今はその傾向がある。流石に誰でもという訳では無いだろうけど。
「それに婚約者がいるんでしょ。その時点で異性だと思ってないわよ」
婚約中なのに遠慮無しに婚活しているディエに聞かせてやりたい。
いややっぱり関わり合いになりたくない。
そんなことを内心考えながら話を続ける。
イオンが一度減量した後に再度過食で太りつつあること。
うちの店の果物多め糖分と脂肪分少な目のケーキに慣れたせいで他店のケーキだと体が受け付けなくなっているらしいこと。
それでも大量に食べ続けていることを説明すると、二人とも怒りではなく困惑の表情に変わっていった。
「……こういうこと言っちゃ駄目かもしれないけど、病気じゃない?」
「……そうかもね」
姉の言葉に俺は曖昧に同意する。
「……それで、ゴールディング家の息子が病気だとしてお前に何が出来るんだ」
「そうだよ。お前が何かしてやる必要は無いって」
父とポプラが次々に否定的な事を言ってくる。気持ちはわかる。
俺も二人の立場だったら似たようなこと言うだろうし。
こちらを心配して、もう傷つく必要はないだろうというつもりで止めてるのもわかる。
だからまず頭を下げた。
「有難う、心配してくれて」
二人が驚いた表情を浮かべるのがわかった。確かにこの流れで礼を言われるとは思ってないだろう。
「でも俺の為でもあるから」
「お前の為って、何でだよ?」
ポプラの疑問に少しだけ躊躇って口にする。
言おうとは決めていた。あの夢から覚めてずっと。
言わないと納得されないと思ったから。
「……誰にも言わないで欲しいけど、俺の見る悪夢ってイオン・ゴールディングが死ぬ内容なんだよ。もう、見たくない」
だから彼の運命を変えたいんだ。
言い終わった瞬間、誰かが肩を叩いたような気がした。
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