キミとふたり、ときはの恋。【立葵に、想いをのせて】

冴月希衣@商業BL販売中

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キミとふたり、ときはの恋。【第二話】

立葵に、想いをのせて【6.5−4】side奏人

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 二週間後。
「土岐ぃ、今日もバイトかぁ?」
「いや、今日は定休日だから休みだ」
「おっ、休み? ならさ、部活の後、俺らとシューズ、見に行かね? 新作が出てんだよ」
 部活前のストレッチ中、武田がスポーツショップに行こうと誘ってきた。俺ら、というのは、隣で同じようにストレッチしている常陸を含めてだろう。
「悪い、今日は涼香と帰る。委員会の後に待ち合わせしてるからな」
「あ、白藤ちゃん、今日委員会で残ってんのか。なら仕方ないかぁ。ざんねーん! あっ、そういえば宮さまも保健委員なんだってよ。さっき宮ちゃん先生が監督とそのことで喋ってるとこに居合わせたんだー、俺。だから宮さま、今日は部活欠席らしいぜ」
「……花宮先輩が?」

『――俺は、昔のアイツを知ってる。再会して、今のアイツにも興味が湧いた。別に構わないだろ?』

 ウォーキングラリーから数日経った頃、俺にこの言葉を放ってきた二年の先輩。それ以来、ずっと俺を苛つかせているあの人が、涼香と同じ委員会?

 部活後、待ち合わせ場所の昇降口に向かうと、そこに涼香の姿はなく。迷わず保健委員会が行われている視聴覚室に向かった。
 ちょうど終了したらしく、挨拶の声やざわめきが漏れてくる中、一番にドアから出てきたのが涼香だった。俺を待たせていると思い、急いで出てきてくれたらしい。
 長引いたという委員会の内容を聞きながら昇降口へ向かったんだが、再来週に行われるという救急法講習会の班のメンバーに花宮先輩が入っていると聞き、つい『花宮先輩が?』と反応してしまった。
 くそっ、これじゃ先輩の存在を気にしてると涼香に教えてるようなものじゃないか。
 しかし、気になるものは気になる。それは仕方ない。だが、必要以上に聞きたくもないというのも本音だ。
 だから、講習会についての涼香の話を、ちょうど降り出した雨にかこつけて途中で遮ることにした。
「あ、雨降ってる」
「ほんとだ。あ、傘っ」
「俺が出すよ。一緒に入ろう?」
「う、うん」
 自分の傘を出そうとするのを止めて、強引に俺の傘に入れた。
「涼香、もっと内側に寄って? それじゃ濡れるよ」
「え? あ……うん」
『もっと』と言い、肩を抱く。力を込めて、俺の身体に押しつけるように引き寄せた。胸に湧き起こる、このモヤモヤした感情を涼香にぶつけるわけにはいかない。

 だが、俺を拒まない華奢な身体を抱き込むことで、それが和らいでくれるような気がしたんだ。
 梅雨時特有の蒸し暑さの中。木々の葉を揺らす雨音を聞きながら、涼香と歩く道のり。おとなしく肩を抱かれたまま並んで歩いていた涼香だが、進行方向に裏門が見えてきたタイミングで不意に俺を見上げてきた。
「つ、梅雨入りしちゃったね」
 ふふっ、いきなり時候の話題できたか。
「ん、そうだね。でも日曜日は晴れの予報だったよ。雨じゃなくて良かったね」
 多少、戸惑ったが、涼香の唐突な話題提示に耐性がついてきている俺は、それを表に出すことなく反応出来るようになっていた。
 そして、ついでに次の日曜日の話題も出してみた。
 その日は、俺のバイト先のランチに涼香を誘っているから。
「日曜日、私は雨でも構わないよ。台風が来ても大丈夫。ずっと楽しみにしてたんだもの。絶対、お店に行くからね?」
 両手を握り込んで、『ずっと楽しみにしていた』と力強く言われた。真剣な瞳と、『台風が来ても大丈夫』という意気込みに、何とも言えない面映ゆい気分になる。
 この子は、本当に俺の心をくすぐるのが上手い。


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