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キミとふたり、ときはの恋。【第五話】
冬萌に沈みゆく天花 —告白—【6一5】
しおりを挟む「八つ当たりしてごめん。怒鳴ってごめん。怖い思いさせて、ごめん」
ひと言、ひと言、いろんな『ごめん』の度に、そっと唇が触れ合う。
「君の気持ちを疑って、ごめん」
切ない響きが私の中に入り込んでくる。
「言い訳なんて見苦しいけど、どす黒い感情に振り回されて何も見えなくなってた。俺は自分に自信がないから、余計に身動きが取れなくて」
え? 自信ない? 奏人が?
「そのくせ、君には物分かりのいい彼氏に思われたいから言いたいことも聞きたいことも我慢して、余裕ぶってカッコつけて。溜め込んだ挙句、最悪の形で爆発させることになった。ごめんね、涼香。本当にごめん」
奏人……。
「こんな情けないヤツだけど、彼女でいてくれる?」
情けない、なんてことない。そんなこと思わない。奏人が本当にそんな人なら、ここまで自分を晒け出さないと思う。
私の彼氏は、潔くて凛々しい、見事なひとだ。
「奏人? 『彼女でいてくれる?』って確認してるけど、もう既に何度もキスした後だって、わかってる?」
「あ……」
「順序が逆じゃない?」
「そう、だね」
「つまり、〝そういうこと〟よ」
「え?」
「私は、これからもずっと奏人の彼女でいたい。そう思ってるから今日ここに来たし、さっきだって、キキ……キス、を、拒んだりしてないってこと、です! すすす、好きっ」
バーンっと決め台詞で締めたかったのに、肝心なところで噛んだ。噛みまくった。
「そうか。〝そういうこと〟か」
「う、うん」
「ありがとう。正しい順序も守れない愚か者を許してくれるんだね。あと、俺のほうが『好き』が多いと言い切れるよ」
「わ、私だって、『好き』の濃度なら大威張りで張り合っちゃうんだからっ」
噛み噛みだったけど、奏人には通じたからいいかな。聡い彼氏は、こういう時にありがたいわ。
「ねぇ、仲直り出来たかな?」
仲直りのキスが済んでることを私自身が指摘したくせに、尋ねる。おかしな切り出し方だ。
「俺はそう思ってるけど」
君は違うの? という視線がこちらに飛んできた。訝しげなそれに、口元を綻ばせる。
「良かった。〝三日前の喧嘩については仲直り〟が出来た。じゃあ、今度は私の番ね」
「涼香?」
「さっきも言ったけど、私、これからも奏人の彼女でいたい。ずっと隣にいたい。だから、聞いてもらいたいの。私、今日は全部話すつもりでここに来たから。——恩人さんと出会った時のことを」
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