1 / 38
第1章 カイラス・ヴァレンティア
1話 「魔物世界」
しおりを挟む
なにげない調子で、風俗で抱いた女がまだガキの体でさと語りだす。
またこいつは外層の風俗まで行ったのか。
「あんまり表情が死んでたもんだから、申し訳なくなってきちまって……まぁ、外の女だし安く済んだからいいんだけどよ」
仕事の休憩中に下衆な話をするこいつは俺の同僚で、名はグロムという。
外層で買った女の話は内層出身の同僚には随分と好評なようで、こうして仕事の休憩中、グロムはニヤニヤとこういう話をしだす。
俺は外層出身なので、こいつが随分オーバーに外層の事を話していそうなのは分かるが、最近はもっぱらあっちに帰ってないし、案外そんな風に腐っているのかもしれない。
しばらく同僚共が話し込み、外層民は辞めておいた方がいいという雰囲気になった時、狩りに出ていたもう1つの班が帰ってきた。
「交代か……あ~めんどくせぇ」
グロムの気の抜けた声で俺達はまばらに立ち上がり、土埃を払ってコロニーを出る。
コロニー内とはまるで違う、目のくらむような日差しを受けながら、任務の為地上へと繰り出した。
ーーー
今日の任務はコロニー入口周辺の魔物の掃討。
といっても既に片付いてきてはいるが、ざっと周囲を見渡し、数十m先に居た2体に狙いを絞る。
意識を指先に集中させ、硬度の高い土を生成。標的の位置を正確に意識し、放つ。
サソリ型の魔物に命中させ、ぐぁあと雄たけびを上げながら息絶えた。
途端、隣の同種の魔物、5m弱の巨体が高速でこちらに向かってくる。
後ろでグロムが剣を抜いた音がし、少しの緊張感が伝わる。
が、俺達まで20mに届くかという所で、サソリの勢いを殺すよう風をぶつけ、相殺。
ならばとサソリは横から迂回しようとするが、風の壁で全方位を塞いでいる。
お決まりの処理方法だ。
ただの的となった所に、勢いを付けて水魔法を打ち込んだ。
驚くほどに死はあっけない。人間でも、魔物でも。
あれほど勢いと怒りに満ちたサソリが、力なく倒れ込む。
周囲の野原をまんべんなく見渡すが、既に魔物は掃討しきったように見える。
俺たちは3班に分かれ、炎魔法で魔物の亡骸を一つ一つ燃やしていくことにした。
淡々と進めていると、俺とペアの気の弱そうな新兵があの、と口を開く。
「カイさんは外層出身なんですよね。どんな感じでしたか……?ほら、人工太陽の光もあんまり届かなくなって、最近まずいって聞くじゃないですか」
「そうだな」
俺達の今居る所、太陽の下は魔物の領域だ。
約100年前、魔物の凶暴化と大気汚染で地下のシェルターに住むのはどうか。という計画が進む。
現実的では無いと否定され続けたものの、ある革命的な発明によってそれは現実となった。
人工太陽だ。
炎魔法の応用だかで作られたらしいそれは、人類が地下に移住する決定打となり
70年前、地下に住む人類は90%を超えたと言われている。
もっとも今は昔よりさらに大気汚染がひどいので残り10%は地下に移り住むか死んだかの2択だろう。
このコロニーでは巨大な人工太陽が中央に一つ設置された。
そして光が届きやすい内層に金持ちが密集し、貧困層は暗い、場所によってはただの洞窟と何ら変わらないような外層で暮らしているという訳だ。
そしてたいてい皆、この本物の太陽も雲も見たことがないまま一生を終える。
「高い建物を建てる内層民には正直うんざりしてくるな」
「……あぁ、そうですね」
この閉鎖的空間で自分の領土を広くしたい衝動に駆られるのか。金持ちの内層民は高い建物を作り、それらが外層への光を遮っている。
「このコロニーも……いずれ、滅ぶんですかね」
「かもな」
貧富の差は拡大し続け、外層民が武力行使に出る事も多い。
その度に同僚が駆り出され、コロニー内の人間同士で血を流しあっている。なんとも間抜けな話だ。
少し憂鬱な気分になりいつもより高い火力で魔物を炙った後、仕事終わりに渡された一通の手紙によって、俺は久々に外層まで赴くことになった。
またこいつは外層の風俗まで行ったのか。
「あんまり表情が死んでたもんだから、申し訳なくなってきちまって……まぁ、外の女だし安く済んだからいいんだけどよ」
仕事の休憩中に下衆な話をするこいつは俺の同僚で、名はグロムという。
外層で買った女の話は内層出身の同僚には随分と好評なようで、こうして仕事の休憩中、グロムはニヤニヤとこういう話をしだす。
俺は外層出身なので、こいつが随分オーバーに外層の事を話していそうなのは分かるが、最近はもっぱらあっちに帰ってないし、案外そんな風に腐っているのかもしれない。
しばらく同僚共が話し込み、外層民は辞めておいた方がいいという雰囲気になった時、狩りに出ていたもう1つの班が帰ってきた。
「交代か……あ~めんどくせぇ」
グロムの気の抜けた声で俺達はまばらに立ち上がり、土埃を払ってコロニーを出る。
コロニー内とはまるで違う、目のくらむような日差しを受けながら、任務の為地上へと繰り出した。
ーーー
今日の任務はコロニー入口周辺の魔物の掃討。
といっても既に片付いてきてはいるが、ざっと周囲を見渡し、数十m先に居た2体に狙いを絞る。
意識を指先に集中させ、硬度の高い土を生成。標的の位置を正確に意識し、放つ。
サソリ型の魔物に命中させ、ぐぁあと雄たけびを上げながら息絶えた。
途端、隣の同種の魔物、5m弱の巨体が高速でこちらに向かってくる。
後ろでグロムが剣を抜いた音がし、少しの緊張感が伝わる。
が、俺達まで20mに届くかという所で、サソリの勢いを殺すよう風をぶつけ、相殺。
ならばとサソリは横から迂回しようとするが、風の壁で全方位を塞いでいる。
お決まりの処理方法だ。
ただの的となった所に、勢いを付けて水魔法を打ち込んだ。
驚くほどに死はあっけない。人間でも、魔物でも。
あれほど勢いと怒りに満ちたサソリが、力なく倒れ込む。
周囲の野原をまんべんなく見渡すが、既に魔物は掃討しきったように見える。
俺たちは3班に分かれ、炎魔法で魔物の亡骸を一つ一つ燃やしていくことにした。
淡々と進めていると、俺とペアの気の弱そうな新兵があの、と口を開く。
「カイさんは外層出身なんですよね。どんな感じでしたか……?ほら、人工太陽の光もあんまり届かなくなって、最近まずいって聞くじゃないですか」
「そうだな」
俺達の今居る所、太陽の下は魔物の領域だ。
約100年前、魔物の凶暴化と大気汚染で地下のシェルターに住むのはどうか。という計画が進む。
現実的では無いと否定され続けたものの、ある革命的な発明によってそれは現実となった。
人工太陽だ。
炎魔法の応用だかで作られたらしいそれは、人類が地下に移住する決定打となり
70年前、地下に住む人類は90%を超えたと言われている。
もっとも今は昔よりさらに大気汚染がひどいので残り10%は地下に移り住むか死んだかの2択だろう。
このコロニーでは巨大な人工太陽が中央に一つ設置された。
そして光が届きやすい内層に金持ちが密集し、貧困層は暗い、場所によってはただの洞窟と何ら変わらないような外層で暮らしているという訳だ。
そしてたいてい皆、この本物の太陽も雲も見たことがないまま一生を終える。
「高い建物を建てる内層民には正直うんざりしてくるな」
「……あぁ、そうですね」
この閉鎖的空間で自分の領土を広くしたい衝動に駆られるのか。金持ちの内層民は高い建物を作り、それらが外層への光を遮っている。
「このコロニーも……いずれ、滅ぶんですかね」
「かもな」
貧富の差は拡大し続け、外層民が武力行使に出る事も多い。
その度に同僚が駆り出され、コロニー内の人間同士で血を流しあっている。なんとも間抜けな話だ。
少し憂鬱な気分になりいつもより高い火力で魔物を炙った後、仕事終わりに渡された一通の手紙によって、俺は久々に外層まで赴くことになった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる