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しおりを挟むあれからどうやって屋敷に戻ってきたのか分からない。
いや、もちろん迎えの馬車に乗って帰ってきたんだけど…。
前髪をかきあげると、額の中心がじんわりと赤くなっている。
ようやく教室から出て、ふらふらと廊下を歩いているとシャルに見つかった。
「見つけました、お姉さま」
とダッシュで近付いてくるシャル。だめだよ、淑女はダッシュなんてしちゃダメなんだから。
「やはりこの階にいましたか。この一帯はお姉さまの気配と匂いが濃かったもので」
やだな、その言い方…。
「?どうしたのですか?ゾンビみたいな顔ををして…何かありましたか?」
七色に光輝くキラキラした宝石のような目が、ゾンビ化した理由を探ろうと私の顔を覗き込む。
「…何でもないのシャル。だけど、今日はもう帰らないと…ごめんね?今日は私の負けでいいから…」
だから今日はひとまず家に帰らせて?という願いを込めて、シャルに淡く微笑む。
その瞬間、シャルは私に神のひと突きを与えた。くらわせた、という表現の方が正しいかもしれない。
声にもならない悲鳴と共に崩れ去る私、レオノール。
「大丈夫ですか、お姉さま!!
…シャルも弱りきったお姉さまにこのような無体な仕打ちなどしたくはありませんでした。
ですが罰に爵位など関係ない、どんな時も手を抜く事は許さないがモットーのお姉さまに、生ぬるいデコピンなど出来ませんでしたの」
「…っ、良いのよシャル、あなたの言う通り。いついかなる時もゲームは公平に行われなくては面白くないわ」
「さすがシャルのお姉さまです。フレント殿下は私のデコピンに気を失いかけましたので、少し休憩して城に帰られるようです。この学園、王族専用の休憩室があるんですよ。やばいですね!」
やばいのはあんたよシャル。
はあ、本気で教育していかないとね…いつかシャルが王族に亡き者にされちゃう。
それからシャルに引きずられるようにして馬車に詰め込まれて帰ってきたんだった。
ちゃっかりシャルも馬車に乗り込んで、家まで送らせてたよね?
オブライト家の御者は、感じも良くて優しいからニコニコしてシャルを送ってあげていたけど
それにしても…とんでもない会話を聞いてしまった。
ランデルとマリローズ…あれは進展しているとはとてもじゃないけど言えない雰囲気だった。
そしてやはりそれを邪魔しているのがレオノール、私だ。
マリローズ…相当私のことを嫌っている。
それは仕方ない事だと分かってる。
でも、マリローズは天使のように暖かくて優しい子だ。本来どれだけレオノールを嫌おうが、イラつこうがランデルにレオノールの陰口じみた事など言わない。
言ってはいけない。
だってマリローズは王道ヒロインなのだから。
そんな女神のようなマリローズに、ランデルやフレント殿下は恋をするのだ。
けれど、フレント殿下でさえマリローズではなくシャルに好意を寄せている。
「いつから?」
マリローズが王道ヒロインから外れ出したのは。
「…自惚れている訳じゃないけど…」
意外にも、ランデルがレオノールとの婚約にいまだ前向きな事。それがマリローズを焦らせている?
「それともだいぶ前から?」
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