推しに婚約破棄されたとしても可愛いので許す

まと

文字の大きさ
47 / 54

47

しおりを挟む

あれからどうやって屋敷に戻ってきたのか分からない。
いや、もちろん迎えの馬車に乗って帰ってきたんだけど…。

前髪をかきあげると、額の中心がじんわりと赤くなっている。

ようやく教室から出て、ふらふらと廊下を歩いているとシャルに見つかった。

「見つけました、お姉さま」

とダッシュで近付いてくるシャル。だめだよ、淑女はダッシュなんてしちゃダメなんだから。

「やはりこの階にいましたか。この一帯はお姉さまの気配と匂いが濃かったもので」

やだな、その言い方…。

「?どうしたのですか?ゾンビみたいな顔ををして…何かありましたか?」

七色に光輝くキラキラした宝石のような目が、ゾンビ化した理由を探ろうと私の顔を覗き込む。

「…何でもないのシャル。だけど、今日はもう帰らないと…ごめんね?今日は私の負けでいいから…」

だから今日はひとまず家に帰らせて?という願いを込めて、シャルに淡く微笑む。

その瞬間、シャルは私に神のひと突きを与えた。くらわせた、という表現の方が正しいかもしれない。

声にもならない悲鳴と共に崩れ去る私、レオノール。

「大丈夫ですか、お姉さま!!
…シャルも弱りきったお姉さまにこのような無体な仕打ちなどしたくはありませんでした。
ですが罰に爵位など関係ない、どんな時も手を抜く事は許さないがモットーのお姉さまに、生ぬるいデコピンなど出来ませんでしたの」

「…っ、良いのよシャル、あなたの言う通り。いついかなる時もゲームは公平に行われなくては面白くないわ」

「さすがシャルのお姉さまです。フレント殿下は私のデコピンに気を失いかけましたので、少し休憩して城に帰られるようです。この学園、王族専用の休憩室があるんですよ。やばいですね!」

やばいのはあんたよシャル。
はあ、本気で教育していかないとね…いつかシャルが王族に亡き者にされちゃう。



それからシャルに引きずられるようにして馬車に詰め込まれて帰ってきたんだった。
ちゃっかりシャルも馬車に乗り込んで、家まで送らせてたよね?
オブライト家の御者は、感じも良くて優しいからニコニコしてシャルを送ってあげていたけど




それにしても…とんでもない会話を聞いてしまった。

ランデルとマリローズ…あれは進展しているとはとてもじゃないけど言えない雰囲気だった。

そしてやはりそれを邪魔しているのがレオノール、私だ。

マリローズ…相当私のことを嫌っている。
それは仕方ない事だと分かってる。

でも、マリローズは天使のように暖かくて優しい子だ。本来どれだけレオノールを嫌おうが、イラつこうがランデルにレオノールの陰口じみた事など言わない。

言ってはいけない。

だってマリローズは王道ヒロインなのだから。

そんな女神のようなマリローズに、ランデルやフレント殿下は恋をするのだ。
けれど、フレント殿下でさえマリローズではなくシャルに好意を寄せている。


「いつから?」

マリローズが王道ヒロインから外れ出したのは。

「…自惚れている訳じゃないけど…」

意外にも、ランデルがレオノールとの婚約にいまだ前向きな事。それがマリローズを焦らせている?

「それともだいぶ前から?」

私がレオノールを放棄した頃から、未来だけでなくマリローズの人格まで変えてしまった?

刺繍入りのハンカチも、子供ながらにレオノールに対抗していたのかもしれない。



もしこのまま二人が結ばれなければどうなるの?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について

夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。 ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。 しかし、断罪劇は予想外の展開へ。

悪役令嬢の取り巻き令嬢(モブ)だけど実は影で暗躍してたなんて意外でしょ?

無味無臭(不定期更新)
恋愛
無能な悪役令嬢に変わってシナリオ通り進めていたがある日悪役令嬢にハブられたルル。 「いいんですか?その態度」

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜

みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。 悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。 私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私はただのモブ。 この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。 ……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……? ※2025年5月に副題を追加しました。

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

処理中です...