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スライムをクッション変わりにしたらダメ
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気持ちいい。何て寝心地が良いんだろうか。柔らかいけど弾力があって、まるで雲の上で眠っているようだ。
ひんやりしていて、前世でいう所のウォーターベッドと言ったところか?
基本、いつ危険が襲ってくるか分からないオレたちは、腹を見せては眠らない。だがこれはダメだ。魔獣をダメにするクッションだ!
完全なるへそ天状態だ。
「…みゃ~ん…」
自分の口から、力ない声が出た。
ぽんぽこ腹を見せた俺は、少しだけ力を振り絞り薄目を開けた。
チラッと、魔獣をダメにする罪なクッションを見た。
………………………………………………。
ぷよ ぷよ ぷよ
…。
ぷよ ぷよ ぷよ
…。
いやいやいやいやこれスライムやないかーい!!
俺が再び飛び上がったのは言うまでもない。
それから俺は、ペロペロとスライムを舐めながらごめんねごめんねと謝り倒した。
スライムは何て事ないと言ったようにぷよぷよと身体を揺らしている。
言葉は話さないが、何となくそう言っている気がした。
本当にごめんな、重かっただろう?
それからスライムは、ぽむぼむとハネながら洞窟の入り口へと移動しだした。オレも、一緒についていく。
「ミャー…」
真っ暗な洞窟からの急激な眩しさに目が眩む。
ようやく目が慣れてきて、外の世界を見渡す。
酷い嵐が過ぎ去り、暖かい日の光が木々の隙間を拭って差し込んでいる。
キラキラと輝くのは、瑞々しい草花から零れ落ちる透明な水滴だ。
チラッとスライムを見た。スライムもこの美しい光景を眺めているようだった。俺は嬉しくなりスライムにぽふんと凭れた。
しばらくたった時、少し離れた場所から気配を感じた。
ぷよぷよと、2匹のスライムがこちらの様子を伺うようにしている。
どうやらこのスライムの仲間らしい。
その仲間にいまだ気付いていないスライ。
オレは鼻先でスライムを軽くつつき、その鼻先で方向を示した。
スライムはぷよぷよさせていた身体をぴよーんと長くした。
もしかするとこの嵐の中、仲間とはぐれてしまったのかもしれない。
良かったな、仲間が見つかって。
スライムはぽむぼむとジャンプしながらそちらに向かおうとした。だが一度止まり、またこちらまで戻ってきた。
オレの後ろに回り、オレを仲間のスライムのいる方向に押しやる。
どうやら一緒に行こうと言ってくれているらしい。
そんな優しいスライムを、オレはまたペロペロと舐めた。
(オレは大丈夫だよ。オレにも家族が待っているから)
(会ったばかりだけど、大好きになったよ)
(また会えるといいな)
(さようなら)
そう念を込めてスライムを見つめた。
スライムはオレの思いを理解したのか動きを止めた。
そしてぽむんぽむんと、こちらを何度も振り返りながら仲間の元へと向かった。
仲間の元へたどり着いたスライムは、こちらに見えるように大きくハネた。
オレも大きな鳴き声で「ミャーン!」と鳴いた。
(元気でね!)
そうすると、ゆっくりとスライム達はその場から離れていった。
再び辺りを見渡した。本当に綺麗だな。
澄んだ空気をすぅっと吸った。
誰かと見る美しい世界は素敵だ。
こんなにも、こんなにも綺麗なのに。
神様、どうしてオレはひとりぼっちなの?
ひんやりしていて、前世でいう所のウォーターベッドと言ったところか?
基本、いつ危険が襲ってくるか分からないオレたちは、腹を見せては眠らない。だがこれはダメだ。魔獣をダメにするクッションだ!
完全なるへそ天状態だ。
「…みゃ~ん…」
自分の口から、力ない声が出た。
ぽんぽこ腹を見せた俺は、少しだけ力を振り絞り薄目を開けた。
チラッと、魔獣をダメにする罪なクッションを見た。
………………………………………………。
ぷよ ぷよ ぷよ
…。
ぷよ ぷよ ぷよ
…。
いやいやいやいやこれスライムやないかーい!!
俺が再び飛び上がったのは言うまでもない。
それから俺は、ペロペロとスライムを舐めながらごめんねごめんねと謝り倒した。
スライムは何て事ないと言ったようにぷよぷよと身体を揺らしている。
言葉は話さないが、何となくそう言っている気がした。
本当にごめんな、重かっただろう?
それからスライムは、ぽむぼむとハネながら洞窟の入り口へと移動しだした。オレも、一緒についていく。
「ミャー…」
真っ暗な洞窟からの急激な眩しさに目が眩む。
ようやく目が慣れてきて、外の世界を見渡す。
酷い嵐が過ぎ去り、暖かい日の光が木々の隙間を拭って差し込んでいる。
キラキラと輝くのは、瑞々しい草花から零れ落ちる透明な水滴だ。
チラッとスライムを見た。スライムもこの美しい光景を眺めているようだった。俺は嬉しくなりスライムにぽふんと凭れた。
しばらくたった時、少し離れた場所から気配を感じた。
ぷよぷよと、2匹のスライムがこちらの様子を伺うようにしている。
どうやらこのスライムの仲間らしい。
その仲間にいまだ気付いていないスライ。
オレは鼻先でスライムを軽くつつき、その鼻先で方向を示した。
スライムはぷよぷよさせていた身体をぴよーんと長くした。
もしかするとこの嵐の中、仲間とはぐれてしまったのかもしれない。
良かったな、仲間が見つかって。
スライムはぽむぼむとジャンプしながらそちらに向かおうとした。だが一度止まり、またこちらまで戻ってきた。
オレの後ろに回り、オレを仲間のスライムのいる方向に押しやる。
どうやら一緒に行こうと言ってくれているらしい。
そんな優しいスライムを、オレはまたペロペロと舐めた。
(オレは大丈夫だよ。オレにも家族が待っているから)
(会ったばかりだけど、大好きになったよ)
(また会えるといいな)
(さようなら)
そう念を込めてスライムを見つめた。
スライムはオレの思いを理解したのか動きを止めた。
そしてぽむんぽむんと、こちらを何度も振り返りながら仲間の元へと向かった。
仲間の元へたどり着いたスライムは、こちらに見えるように大きくハネた。
オレも大きな鳴き声で「ミャーン!」と鳴いた。
(元気でね!)
そうすると、ゆっくりとスライム達はその場から離れていった。
再び辺りを見渡した。本当に綺麗だな。
澄んだ空気をすぅっと吸った。
誰かと見る美しい世界は素敵だ。
こんなにも、こんなにも綺麗なのに。
神様、どうしてオレはひとりぼっちなの?
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