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いざとなるとヘタレなホワイトタヌキ
しおりを挟むそれは、王子の部屋で王子とゴロゴロしている時たった。
「おっ…王子!今なんと??!」
「近々俺と一緒に王都に行って欲しい」
「えとっ、それは、なっ、何で??」
「俺の両親に会って貰おうと思って」
王子のご両親にご挨拶!!?
コテリと頭を傾けて、「どう?」みたいに聞いてくる王子が可愛いけどさ、何でそんなに普通なの?
そもそもオレは男っていうか、雄って言うか魔獣だし??結婚できたらなぁとは思っていたけど、現実問題どうなの?
王族に魔獣なんかが仲間入りしたらヤバいんじゃないの?
王子を襲っちゃったかも疑惑が出た時は、結婚?!どんとこいやっ!みたなとこあったけど…いざとなるとヘタレなオレ。
仕方ないよね?だって相手、王様と王妃様だよ?!
「嫌?」
「いっ…嫌じゃないけど…オレ、こう見えて魔獣だし…」
くすりと笑って、オレを膝に乗せて向かい合う。王子って意外と力あるんだよね。
「大丈夫。それはちゃんと伝えてあるから」
「…」
それもまた驚きなんだよな。
すでにオレの正体は、王子のお兄さんのロイズ殿下が「ルイの恋人は、魔獣のホワイトタヌキだよ」と、ご両親に全く嘘偽りなく伝えているらしい。
それってさ、どんな気持ち?自分の息子の恋人が魔獣って。
ふわりふわりと優しく頭を撫でられる。
「何も頑張らなくていいよ。いつものニナでいて?」
「…うん…」
「ごめんね。これから先の事は、あまりニナに負担が掛からないように考えていこう」
「…?」
「結婚という形に拘らなくてもいいんだ。ニナといられるのなら」
「…」
「王族になるという事は、ニナの自由を奪うという事になる。そうなると、ニナが俺から逃げてしまうかもね?」
「そんなこと…」
そんなこと、ないけど…。やっぱりギルドで働く事も無理になるのかな?あと一番気になるのは…。
「怪しい」
思案気に、そして時折泳ぎまくるオレの目を、じいっとジト目で見てくる王子。
「忘れた?俺達をつなぐ魔石の事。ニナはどうしたって俺から逃げられない」
「うぅう…逃げないってば。ただ…この国に住む人達がオレ達の結婚をどう思うのかが気になって…もちろん王様や王妃様も…」
「ニナ」
「オレ達、反対されないかな…」
「もし反対されたとしたら一緒に国を出て、どこかでのんびり暮らそう。またどこかの森に屋敷でも建てるさ」
「やっ、屋敷?そこは小さな家でも建てるさ、じゃないの?」
「?そう?」
もうこれだからセレブ脳は。まあ安心して王子。
「もしそうなったら、オレがちゃんと王子を養って行くからね」
良い薬を沢山作らないとな!きっと頑張れば王子一人位なら養っていけるでしょう!
驚いた表情で目を瞬かせる王子を安心させるように、とびきりのにっこりスマイルで返す。
安心してね、王子。
「…」
「まあ…あんまり贅沢はさせてあげられないかもだけど…って、王子?」
突然ぎゅうっと抱きしめられる。
やっぱり王子も不安なのかな?やっぱりみんなに祝福されたいよな。
よしよしと王子の背中を撫でる。
「ありがとう、ニナ。でも大丈夫だよ。ニナに苦労かけない位には、オレもお金は持っているからね」
「そっ、そう?……でもさ挨拶の事なんだけど、オレ…少しでも王様や王妃様に認めてもらえるように頑張りたい。王子の大切な家族だもん…それはオレにとっても大切人達だからさ」
「…ふふ、ニナは本当に格好良い」
首筋に王子が頭をぐりぐりと擦り付けてくる。
「え?そっそう?くふふっ…そっかーオレ、格好良いのかぁっ」
何だか今日は甘えん坊の王子。
もっともっとそんな王子が見たいから、オレは頑張るのです!!!
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