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これで故意じゃないとか、鬼か 1
「は??」
綾部は、前触れもなく押しかけてきてコーヒーを所望し、リビングのソファを占領する男を見下ろして間抜けな声を出してしまったことに気づく。が、仕方ないだろうと思い直した。
所望されるままに淹れたコーヒーを手渡しながら、テーブルを直角に挟んだ位置のソファに自分も腰を下ろして悪友の顔をまじまじと見た。
そもそもは、自分が揶揄うように言った言葉のせいなのだけれど。
悪友の天羽が、何の因果か綾部の職場の後輩、香月絢佳に異様な執着を見せ、なし崩し的に婚姻届を提出してから2週間。交際0日、どころか知り合って0日じゃないのか、とはもう、あえて言うまい。いや、天羽の部屋に運び込まれた絢佳の荷物を見れば、天羽にとって思い入れのあるあのソファを通してある意味知り合っていたのだろうが、絢佳の方は、おそらくまだその話を聞かされてもいない。
同じマンションから同じ職場に通勤するのだからと何気なくいつも一緒に通勤するようになり、セクハラだと睨まれそうだと思いながら口にした言葉には、思いがけない言葉が返ってきて。ああ。そういえば。職場では絢佳の結婚相手は綾部ではないはずなのに、さらに距離感が近づいたと不思議がるにとどまらず、面白がって噂を練り上げている奴がいることは、天羽に知られてはいけない。
「あいつが相手じゃ、大変だろう。お前が産休育休に入ったら、関係者が嘆きそうだなぁ」
普段はふわっふわしているくせに、仕事はできる。おそろしいほどに。そして今の部署の上司とは相性が良いらしく、場合によっては使いこなせない絢佳の能力を存分に生かしている上司にとっては、絢佳が抜けることは痛手だろうし、外部の関係者からの信頼も厚いため、そちらからも不在を不安がる声は出るだろうなと思いながら言えば、きょとんとした顔で見上げられた挙句、けろっと、首を振るのだ。
「その心配、ないですよ。何もありませんから」
「…へ?」
あまりに想定外の言葉に聞き返す声が自分でも遠くに聞こえた。
「何も、ないです。だからその心配も、ないですよ。まあ、天羽さん、最初から女よけって言ってたし。女よけに据えた相手に女感じませんよねぇ」
気にする様子もなくけらけら笑っているが。いや、お前も天羽、と何度やったかわからないやりとりは条件反射のように口にしながら、額に手を当て、思わず空を仰いだ。いやー、見事な、曇り空。
長年の付き合いのある綾部にしたら、それは、全く、あり得ない。見たこともないほどの執着を見せ、独占欲丸出しでなりふり構わず脇目も振らず、今まで嫌悪感すら見せていた結婚という手段で囲い込んだ女だ。一緒にいる顔は、見ていられないほどに甘ったるい。
これは、と思い当たる節はある。
絢佳がずっと、相手がいなかった原因。
自己評価が低いのも考えものなのだが、まあ、そうなるように育ってきてそうなるような関わりを持つ相手を持ってしまってきたのだろうが。
男が、そう言う目で自分を見るとは、つゆほども思っていない。好意を寄せられるとは思っていない。感じたとしても、自惚が過ぎると自嘲してあり得ないことと片付け、全ては気のせい、そもそも気づきもしない。躱しているのではなく、絢佳の意識に上ることがない。
にしても、天羽であればそんなのは無視して思い知らせそうなものだが、それをしないあたりにむしろ天羽が絢佳に本格的に弱いのだと思わせる部分があって。
そして、休日に押しかけてきた天羽に、お前、まだ手を出してないんだって?と言ったのだが。
こちらはこちらで、返ってきた返事が想像の斜め上に突き抜けて、間抜けな声になったのだ。
「その手のちょっかい出されないと思ってから、油断するし甘えるしで…手が出せん」
あほか。
最初の週の平日は躱していると言うよりもこれ、わかってねぇな、こいつと思いながら、軽いちょっかいだけを出し続け。最初の週末は天羽は仕事で潰れ。
基本的に多忙な天羽に、平日も土日もない。絢佳と出会ったあの週末は、たまたま休みで、それが重なったことが尚更運命的だと、自分からは考えられない言葉が浮かぶのだから末期だな、とは自覚している。
そんな先週の土曜日。日中少し手が空いたからと、絢佳を補給しに一度帰ったのだ。
天気が良いからと屋上に上がり、屋上のフェンス…形状的には塀のような場所に布団を干していたらしい絢佳。ちょうど取り込みに行っていたようで部屋の中に見当たらず、屋上まで探しに行って焦った。
フェンスにかけた布団の上に、絢佳も乗っているのだ。まるで干されているように。
「な、おいっ!」
慌てて抱えて引きずり下ろせば、なぜか寝ぼけたような顔で見上げられ、寝ぼけたままこてんと首を傾げてよこす。
盛大なため息をつきながら、驚きすぎて腰が抜けた思いでそのまま絢佳を抱えて座り込んだ。
「お前、何やってんだよ」
「?お布団、干して、取り込んでました」
「で、何であの状況」
あー、と少し目を逸らした絢佳の顔に、苦笑い、と言うより照れ笑いが浮かぶ。
「干した布団って、気持ちいいんですよね。ガバッと抱え上げようとしてふかふかで。いつも一緒に干されていたくなっちゃうんですよね」
「この…阿呆っ!!」
思わず、怒鳴った。
さすがにびくっと肩を震わせる絢佳をぎゅうぎゅうに抱きしめて。ため息がまた溢れる。
「ここ、何階だと思ってるんだよ。勘弁してくれ」
「あ」
考えてもいなかった様子の絢佳はぽかんとして、それから申し訳なさそうに、項垂れた。
その様子がまた、天羽の征服欲を刺激して、腕に力が込められるわけだが。
そんな時に、時間切れ。ある意味絢佳の補充はできたものの、心配事も増やされた天羽は、とにかく布団を抱えて部屋に下ろし、おとなしくしてろと命じて仕事に戻ったわけだが。
なぜかそれで、絢佳は天羽を面倒見の良い、でも嫌なこと(恥ずかしくなること)はしない人だと認識してしまったようで。
「行動の意味がわからん。しかも、何でそこで、安心しちゃうんだよ。安心したら甘えるとか、反則だろ?」
こいつ、惚気に来たのか?ぼやきに来たのか?
絢佳の思考の経緯は、綾部には何となく推測がついた。抱き上げられてそのまま接触が続いて緊張していたところに、とにかく言い聞かせてそれ以上のスキンシップはなくいなくなったのだから、人命救助をしてくれただけ。何だ、いい人じゃないか、とそんなところだろうな、とは。
と思いながら、綾部は遠い目をした。
布団エピソードは、そう言えばそんな話があったなと思い出す。今までもやっていて、綾部も含めやめろと言ったことがある話だ。まさか屋上でやるとは、と呆れるが、いろんな意味で時々危機感がぶっ飛ぶんだよなと思えば納得もして。
「で、何でお前は今日仕事じゃないんだ」
なぜか恨めしげに天羽に言われ、綾部は首を傾げる。
天羽は今週は何とか休みをもぎ取ったと言うのに、
「そうなんですか?わたし、仕事なので行ってきます」
と、けろっと出かけてしまったのだと聞けば、ああ、拗ねてんのか、と、口には出さずに納得した。
こんな男だったとはなぁ、と。
だが、あまり休日出勤のあるような仕事ではない。なんか言ってたか?と記憶を辿り、ああ、と納得した。
「覗きに行っても大丈夫なやつだけど、行ってみるか?」
綾部のその誘いに、天羽が断るわけがなかった。
綾部は、前触れもなく押しかけてきてコーヒーを所望し、リビングのソファを占領する男を見下ろして間抜けな声を出してしまったことに気づく。が、仕方ないだろうと思い直した。
所望されるままに淹れたコーヒーを手渡しながら、テーブルを直角に挟んだ位置のソファに自分も腰を下ろして悪友の顔をまじまじと見た。
そもそもは、自分が揶揄うように言った言葉のせいなのだけれど。
悪友の天羽が、何の因果か綾部の職場の後輩、香月絢佳に異様な執着を見せ、なし崩し的に婚姻届を提出してから2週間。交際0日、どころか知り合って0日じゃないのか、とはもう、あえて言うまい。いや、天羽の部屋に運び込まれた絢佳の荷物を見れば、天羽にとって思い入れのあるあのソファを通してある意味知り合っていたのだろうが、絢佳の方は、おそらくまだその話を聞かされてもいない。
同じマンションから同じ職場に通勤するのだからと何気なくいつも一緒に通勤するようになり、セクハラだと睨まれそうだと思いながら口にした言葉には、思いがけない言葉が返ってきて。ああ。そういえば。職場では絢佳の結婚相手は綾部ではないはずなのに、さらに距離感が近づいたと不思議がるにとどまらず、面白がって噂を練り上げている奴がいることは、天羽に知られてはいけない。
「あいつが相手じゃ、大変だろう。お前が産休育休に入ったら、関係者が嘆きそうだなぁ」
普段はふわっふわしているくせに、仕事はできる。おそろしいほどに。そして今の部署の上司とは相性が良いらしく、場合によっては使いこなせない絢佳の能力を存分に生かしている上司にとっては、絢佳が抜けることは痛手だろうし、外部の関係者からの信頼も厚いため、そちらからも不在を不安がる声は出るだろうなと思いながら言えば、きょとんとした顔で見上げられた挙句、けろっと、首を振るのだ。
「その心配、ないですよ。何もありませんから」
「…へ?」
あまりに想定外の言葉に聞き返す声が自分でも遠くに聞こえた。
「何も、ないです。だからその心配も、ないですよ。まあ、天羽さん、最初から女よけって言ってたし。女よけに据えた相手に女感じませんよねぇ」
気にする様子もなくけらけら笑っているが。いや、お前も天羽、と何度やったかわからないやりとりは条件反射のように口にしながら、額に手を当て、思わず空を仰いだ。いやー、見事な、曇り空。
長年の付き合いのある綾部にしたら、それは、全く、あり得ない。見たこともないほどの執着を見せ、独占欲丸出しでなりふり構わず脇目も振らず、今まで嫌悪感すら見せていた結婚という手段で囲い込んだ女だ。一緒にいる顔は、見ていられないほどに甘ったるい。
これは、と思い当たる節はある。
絢佳がずっと、相手がいなかった原因。
自己評価が低いのも考えものなのだが、まあ、そうなるように育ってきてそうなるような関わりを持つ相手を持ってしまってきたのだろうが。
男が、そう言う目で自分を見るとは、つゆほども思っていない。好意を寄せられるとは思っていない。感じたとしても、自惚が過ぎると自嘲してあり得ないことと片付け、全ては気のせい、そもそも気づきもしない。躱しているのではなく、絢佳の意識に上ることがない。
にしても、天羽であればそんなのは無視して思い知らせそうなものだが、それをしないあたりにむしろ天羽が絢佳に本格的に弱いのだと思わせる部分があって。
そして、休日に押しかけてきた天羽に、お前、まだ手を出してないんだって?と言ったのだが。
こちらはこちらで、返ってきた返事が想像の斜め上に突き抜けて、間抜けな声になったのだ。
「その手のちょっかい出されないと思ってから、油断するし甘えるしで…手が出せん」
あほか。
最初の週の平日は躱していると言うよりもこれ、わかってねぇな、こいつと思いながら、軽いちょっかいだけを出し続け。最初の週末は天羽は仕事で潰れ。
基本的に多忙な天羽に、平日も土日もない。絢佳と出会ったあの週末は、たまたま休みで、それが重なったことが尚更運命的だと、自分からは考えられない言葉が浮かぶのだから末期だな、とは自覚している。
そんな先週の土曜日。日中少し手が空いたからと、絢佳を補給しに一度帰ったのだ。
天気が良いからと屋上に上がり、屋上のフェンス…形状的には塀のような場所に布団を干していたらしい絢佳。ちょうど取り込みに行っていたようで部屋の中に見当たらず、屋上まで探しに行って焦った。
フェンスにかけた布団の上に、絢佳も乗っているのだ。まるで干されているように。
「な、おいっ!」
慌てて抱えて引きずり下ろせば、なぜか寝ぼけたような顔で見上げられ、寝ぼけたままこてんと首を傾げてよこす。
盛大なため息をつきながら、驚きすぎて腰が抜けた思いでそのまま絢佳を抱えて座り込んだ。
「お前、何やってんだよ」
「?お布団、干して、取り込んでました」
「で、何であの状況」
あー、と少し目を逸らした絢佳の顔に、苦笑い、と言うより照れ笑いが浮かぶ。
「干した布団って、気持ちいいんですよね。ガバッと抱え上げようとしてふかふかで。いつも一緒に干されていたくなっちゃうんですよね」
「この…阿呆っ!!」
思わず、怒鳴った。
さすがにびくっと肩を震わせる絢佳をぎゅうぎゅうに抱きしめて。ため息がまた溢れる。
「ここ、何階だと思ってるんだよ。勘弁してくれ」
「あ」
考えてもいなかった様子の絢佳はぽかんとして、それから申し訳なさそうに、項垂れた。
その様子がまた、天羽の征服欲を刺激して、腕に力が込められるわけだが。
そんな時に、時間切れ。ある意味絢佳の補充はできたものの、心配事も増やされた天羽は、とにかく布団を抱えて部屋に下ろし、おとなしくしてろと命じて仕事に戻ったわけだが。
なぜかそれで、絢佳は天羽を面倒見の良い、でも嫌なこと(恥ずかしくなること)はしない人だと認識してしまったようで。
「行動の意味がわからん。しかも、何でそこで、安心しちゃうんだよ。安心したら甘えるとか、反則だろ?」
こいつ、惚気に来たのか?ぼやきに来たのか?
絢佳の思考の経緯は、綾部には何となく推測がついた。抱き上げられてそのまま接触が続いて緊張していたところに、とにかく言い聞かせてそれ以上のスキンシップはなくいなくなったのだから、人命救助をしてくれただけ。何だ、いい人じゃないか、とそんなところだろうな、とは。
と思いながら、綾部は遠い目をした。
布団エピソードは、そう言えばそんな話があったなと思い出す。今までもやっていて、綾部も含めやめろと言ったことがある話だ。まさか屋上でやるとは、と呆れるが、いろんな意味で時々危機感がぶっ飛ぶんだよなと思えば納得もして。
「で、何でお前は今日仕事じゃないんだ」
なぜか恨めしげに天羽に言われ、綾部は首を傾げる。
天羽は今週は何とか休みをもぎ取ったと言うのに、
「そうなんですか?わたし、仕事なので行ってきます」
と、けろっと出かけてしまったのだと聞けば、ああ、拗ねてんのか、と、口には出さずに納得した。
こんな男だったとはなぁ、と。
だが、あまり休日出勤のあるような仕事ではない。なんか言ってたか?と記憶を辿り、ああ、と納得した。
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