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これで故意じゃないとか、鬼か 2
そう言えば、と、天羽を連れて今日絢佳がいるはずの場所に向かいながら綾部は隣を歩く友人の横顔に目を向ける。
「お前、自分の仕事、なんて絢佳に説明したんだ?」
絢佳、と、他の人間が呼び捨てにすることに天羽は難色を示したが、絢佳には無言で呆れた目を向けられ、綾部には先に知り合っていた相手に今更それを言うかと言われれば、諦めたようだった。浅葱はダメだと言われれば、まあいいけど、とあっさりと呼び方を変えていたが。
「別に話してない」
「は?」
意味がわからない。と言うことは、絢佳は夫の仕事がなんなのかも知らない状況なのか、と。
「ネットで調べればわかるんだから、ちょっとは興味を持って調べろとは言ったが」
「いや、お前それ」
続く言葉はため息に紛れた。良くも悪くも目立つこの男の情報をネットで調べれば、この男にしたら知られたくないようなものも出てくる可能性があるというのに。
だがそれ以前に。
「あいつ、調べてないぞ、多分」
不機嫌な顔になるのを眺めて、ため息をつく。
「興味ないって?」
「じゃなくて。後でやらないととは思っているだろうが、大抵、そのままだ」
「興味ないってことだろうが」
「じゃないんだって。目の前に本人がいるのに、誰だかわからない人間の評価を調べる必要、あいつは感じてないんだよ」
言って今度は返答がないのでまた横を見れば。
何でそこで、そんな顔で照れてるんだよ。
と、綾部の方が恥ずかしくなるような顔をしている男。自覚はあるようで、手で顔を覆ってはいるけれど。
「お前の方は、絢佳の仕事わかってるんだよな?」
念のため、と確認すれば、返事は綾部にとっては曖昧なもの。
「お前と同じところだろう?福祉事務所って言ってたけど」
「…まあ、そのうちお互い、分かるようになるんだろ」
時間はあるのだから、多分。と、綾部はため息をついた。何で、多分、と思うのだろうな、と首を傾げるけれど。結婚しているのだから、多分も何もなく時間はあるはずなのだが。
悪友の今までを考えると、絢佳が不要な悪意に晒されそうで心配には、なる。そして絢佳は、人にそれを見せずにいるタイプだから。
で、結局今日はなんなんだ、という今更の天羽の問いかけに、綾部はもうすぐ着くと言いながら、簡単に伝える。
「別に、出勤じゃなくて顔を出してるだけだ、あいつは。今日は福祉関係のイベントがあるから」
言われてほら、と示された方を天羽がみれば、確かに人が多く集まっている場所。広いスペースのある公共施設は、外から見てもテントがはられ、店が出されたりイベントスペースがあったりするようで。
今までなら、気づきもしないような場所。まるで別世界のようなそこに足を踏み入れながら、天羽は絢佳の姿を探す。
「顔を見せる?」
「出店しているのが施設関係だから。仕事じゃなくても顔を出してくれるって、相手がそう感じてくれるのは、大事なんだよ」
言われている意味は、分かる。
生返事をしていたところに、やけに明るい声がかけられた。
「あれ、綾部さん?」
声に誘われるように天羽もそちらに顔を向ければ、ひょろっとした可愛い顔立ちの少年と言いたくなるような若者がこちらを見ている。
綾部が何かを言う前に、彼はああ、と笑顔になった。
「絢佳さんですか?ちょっと今、ここにいないんですけど」
絢佳の名前を出したときの笑顔と、それに続けた時に少し沈んだ顔になる。
「いない?」
綾部の怪訝な声に、彼は困った顔で言い澱む。だが、全然関係のないところで、天羽は不機嫌に2人のやりとりを眺めている。
何で、綾部の顔を見ただけで絢佳の名前が出てくるのだ、と。原因のわからない苛立ちと焦燥感に不機嫌な空気を出していれば、綾部が迷惑そうな視線を向けてくる。
不意に青年は、すみません、と言って綾部たちに背を向ける。
その向き直った先には、電動車椅子に乗った年配の女性がいて誰かを探している。
「あの」
と、青年が声をかけて名前を確認すれば、彼女は頷いて。
「香月さん、緊急で行かないと行けない場所ができちゃって、ここを離れたんです。待っていて伝えて欲しいって言われて」
「そうなの?じゃあ、また会いに行くわ」
あっさりと応じる彼女に、彼は少し情けない顔になる。すみません、と謝る彼に、彼女は何かを手渡して、絢佳に渡しておいてと笑って人混みに紛れて行ってしまう。
ようやくこちらに視線を戻した彼に、綾部は静かな声を向けた。
「篠田、今日はお前ら仕事じゃないだろう。どこに行った?」
篠田と呼ばれた彼は、なぜか居心地悪そうにしている。色々と、手がかかるなど良くない評判を一時期は聞いていたが、その評価は、いつの間にか絢佳がほぼ消していたが。接する機会が少ない相手に人懐こい割にうまく伝えたいことを伝えられないようなのだ。
「ちょっと、いなくなっちゃった人がいて、動いてます」
「あいつが?」
怪訝な綾部の声に、なぜか誇らしげに、篠田はうなずいた。
「絢佳さんいれば、帰ってくるからって呼ばれていきました」
そう言うのと同時に、篠田を呼ぶ声がある。落ち着きのある女性の声に篠田と、綾部が振り返った。
「あれ、綾部さん?絢佳ちゃんならちょっと出ちゃってるけど」
綾部に気づいてすぐそう言えば、綾部の隣でまた、天羽の機嫌が悪化するわけで。
「こっちに向かってるって連絡があって、絢佳ちゃんもこっちに今戻ってくるから。篠田くんもちょっと、周辺気にしてて。見つけたら、あなたは声をかけないで絢佳ちゃんかわたしに連絡。逃げたら困るから」
「はい」
綾部に会釈をして去っていく2人を見送り、天羽は眉間にしわを寄せている。
「そんな顔するなよ。全く関係ない部署のオレがここにいて、あの部署で仲がいいのが絢佳なんだから、仕方ないだろう」
「イベントに顔出したとは、思われないんだな」
「オレの部署、全然関係ないし。オレ、似合わないだろ?」
しれっと言われれば、その通りなのだが。天羽も込みで、この場には揃って似合わない。
何となく、篠田が去って行った方向に足を向ければ、駐車場に大きな車が入ってくる。その助手席から絢佳が出てきて思わず天羽が足を早めようとするが、同時に運転席から降りてきた男に気付いて顔が険しくなる。
それを確認して、綾部は流石に、悪友の肩を抑えた。
「話の流れからしてあれ、仕事関係だからな?」
天羽たちに気づく様子もなく、絢佳とその男は周囲に目を走らせ、男の方が何かを見つけて絢佳に示す。
親しげな距離感に腹を立てる前に、2人が走って行った方向、道を挟んだ向こうに1人の青年が立っている。
絢佳に気づいた表情は明るくなるが、絢佳の声が、天羽と綾部にも聞こえた。
焦っている様子とは裏腹な、声。
「そこで、待ってて」
届くように声を張っているけれど、焦った様子も怒った様子もない声に、歩み出そうとした青年は、踏み出そうとした足を戻し。
その前を車が通り過ぎた。
近くにいる篠田に気づいた男の方が何か合図を篠田に送り、篠田がスマホを取り出し、何処かに連絡をしているのを眺めながら、天羽は仕事をしている妻を、見つめ続けた。
「お前、自分の仕事、なんて絢佳に説明したんだ?」
絢佳、と、他の人間が呼び捨てにすることに天羽は難色を示したが、絢佳には無言で呆れた目を向けられ、綾部には先に知り合っていた相手に今更それを言うかと言われれば、諦めたようだった。浅葱はダメだと言われれば、まあいいけど、とあっさりと呼び方を変えていたが。
「別に話してない」
「は?」
意味がわからない。と言うことは、絢佳は夫の仕事がなんなのかも知らない状況なのか、と。
「ネットで調べればわかるんだから、ちょっとは興味を持って調べろとは言ったが」
「いや、お前それ」
続く言葉はため息に紛れた。良くも悪くも目立つこの男の情報をネットで調べれば、この男にしたら知られたくないようなものも出てくる可能性があるというのに。
だがそれ以前に。
「あいつ、調べてないぞ、多分」
不機嫌な顔になるのを眺めて、ため息をつく。
「興味ないって?」
「じゃなくて。後でやらないととは思っているだろうが、大抵、そのままだ」
「興味ないってことだろうが」
「じゃないんだって。目の前に本人がいるのに、誰だかわからない人間の評価を調べる必要、あいつは感じてないんだよ」
言って今度は返答がないのでまた横を見れば。
何でそこで、そんな顔で照れてるんだよ。
と、綾部の方が恥ずかしくなるような顔をしている男。自覚はあるようで、手で顔を覆ってはいるけれど。
「お前の方は、絢佳の仕事わかってるんだよな?」
念のため、と確認すれば、返事は綾部にとっては曖昧なもの。
「お前と同じところだろう?福祉事務所って言ってたけど」
「…まあ、そのうちお互い、分かるようになるんだろ」
時間はあるのだから、多分。と、綾部はため息をついた。何で、多分、と思うのだろうな、と首を傾げるけれど。結婚しているのだから、多分も何もなく時間はあるはずなのだが。
悪友の今までを考えると、絢佳が不要な悪意に晒されそうで心配には、なる。そして絢佳は、人にそれを見せずにいるタイプだから。
で、結局今日はなんなんだ、という今更の天羽の問いかけに、綾部はもうすぐ着くと言いながら、簡単に伝える。
「別に、出勤じゃなくて顔を出してるだけだ、あいつは。今日は福祉関係のイベントがあるから」
言われてほら、と示された方を天羽がみれば、確かに人が多く集まっている場所。広いスペースのある公共施設は、外から見てもテントがはられ、店が出されたりイベントスペースがあったりするようで。
今までなら、気づきもしないような場所。まるで別世界のようなそこに足を踏み入れながら、天羽は絢佳の姿を探す。
「顔を見せる?」
「出店しているのが施設関係だから。仕事じゃなくても顔を出してくれるって、相手がそう感じてくれるのは、大事なんだよ」
言われている意味は、分かる。
生返事をしていたところに、やけに明るい声がかけられた。
「あれ、綾部さん?」
声に誘われるように天羽もそちらに顔を向ければ、ひょろっとした可愛い顔立ちの少年と言いたくなるような若者がこちらを見ている。
綾部が何かを言う前に、彼はああ、と笑顔になった。
「絢佳さんですか?ちょっと今、ここにいないんですけど」
絢佳の名前を出したときの笑顔と、それに続けた時に少し沈んだ顔になる。
「いない?」
綾部の怪訝な声に、彼は困った顔で言い澱む。だが、全然関係のないところで、天羽は不機嫌に2人のやりとりを眺めている。
何で、綾部の顔を見ただけで絢佳の名前が出てくるのだ、と。原因のわからない苛立ちと焦燥感に不機嫌な空気を出していれば、綾部が迷惑そうな視線を向けてくる。
不意に青年は、すみません、と言って綾部たちに背を向ける。
その向き直った先には、電動車椅子に乗った年配の女性がいて誰かを探している。
「あの」
と、青年が声をかけて名前を確認すれば、彼女は頷いて。
「香月さん、緊急で行かないと行けない場所ができちゃって、ここを離れたんです。待っていて伝えて欲しいって言われて」
「そうなの?じゃあ、また会いに行くわ」
あっさりと応じる彼女に、彼は少し情けない顔になる。すみません、と謝る彼に、彼女は何かを手渡して、絢佳に渡しておいてと笑って人混みに紛れて行ってしまう。
ようやくこちらに視線を戻した彼に、綾部は静かな声を向けた。
「篠田、今日はお前ら仕事じゃないだろう。どこに行った?」
篠田と呼ばれた彼は、なぜか居心地悪そうにしている。色々と、手がかかるなど良くない評判を一時期は聞いていたが、その評価は、いつの間にか絢佳がほぼ消していたが。接する機会が少ない相手に人懐こい割にうまく伝えたいことを伝えられないようなのだ。
「ちょっと、いなくなっちゃった人がいて、動いてます」
「あいつが?」
怪訝な綾部の声に、なぜか誇らしげに、篠田はうなずいた。
「絢佳さんいれば、帰ってくるからって呼ばれていきました」
そう言うのと同時に、篠田を呼ぶ声がある。落ち着きのある女性の声に篠田と、綾部が振り返った。
「あれ、綾部さん?絢佳ちゃんならちょっと出ちゃってるけど」
綾部に気づいてすぐそう言えば、綾部の隣でまた、天羽の機嫌が悪化するわけで。
「こっちに向かってるって連絡があって、絢佳ちゃんもこっちに今戻ってくるから。篠田くんもちょっと、周辺気にしてて。見つけたら、あなたは声をかけないで絢佳ちゃんかわたしに連絡。逃げたら困るから」
「はい」
綾部に会釈をして去っていく2人を見送り、天羽は眉間にしわを寄せている。
「そんな顔するなよ。全く関係ない部署のオレがここにいて、あの部署で仲がいいのが絢佳なんだから、仕方ないだろう」
「イベントに顔出したとは、思われないんだな」
「オレの部署、全然関係ないし。オレ、似合わないだろ?」
しれっと言われれば、その通りなのだが。天羽も込みで、この場には揃って似合わない。
何となく、篠田が去って行った方向に足を向ければ、駐車場に大きな車が入ってくる。その助手席から絢佳が出てきて思わず天羽が足を早めようとするが、同時に運転席から降りてきた男に気付いて顔が険しくなる。
それを確認して、綾部は流石に、悪友の肩を抑えた。
「話の流れからしてあれ、仕事関係だからな?」
天羽たちに気づく様子もなく、絢佳とその男は周囲に目を走らせ、男の方が何かを見つけて絢佳に示す。
親しげな距離感に腹を立てる前に、2人が走って行った方向、道を挟んだ向こうに1人の青年が立っている。
絢佳に気づいた表情は明るくなるが、絢佳の声が、天羽と綾部にも聞こえた。
焦っている様子とは裏腹な、声。
「そこで、待ってて」
届くように声を張っているけれど、焦った様子も怒った様子もない声に、歩み出そうとした青年は、踏み出そうとした足を戻し。
その前を車が通り過ぎた。
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