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女除けのため、洗礼を受ける 4
昼間の家族の顔合わせは、普段通りの自分の装いで向かう。もちろん、礼儀とTPOはわきまえた服を選んだけれど。
天羽が選んだのは気軽にできるようにとイタリアンのお店…だったのだけれど。
絢佳はこれのどこが、「気軽」、と顔を引きつらせる。ものすごく流行っているお店の奥の、個室。店の佇まいも、店内を賑わせている客層の様子もとても、気軽なお店ではなく高級店。
この後の予定を考えても都合の良い立地なのだと言うけれど。
落ち着かない、と思ってももう、どうにもならない。まあ、こう言う顔合わせはいいお店を選ぶというから、どう転んでもこういうものなのか、と、なんとか納得しながら個室に足を踏み入れれば、先に着いていた天羽の家族と絢佳の家族が立ち上がる。
天羽の両親と兄家族を見て、絢佳はさらに場違い感に居心地悪くそわそわとしてしまう。
同じ日本人、と言うか、同じ人間なのかと思うほどに整った容姿の天羽の両親と兄を見れば、遺伝なのだなぁと納得しながらその目を、兄嫁とその子供たちに移す。兄嫁はふわふわした可愛らし雰囲気の、やはり綺麗な人で、子供たちは可愛らしい。小学生の男の子と、まだ3歳の女の子。
緊張も最高潮に達した結果、考えていた挨拶の言葉なんて頭から抜け落ち、やっと名乗って頭を下げたけれど緊張のあまり表情は硬いまま。
隣で低く笑っている天羽を恨めしげに見上げれば、天羽の兄がなぜか驚いたように目を見開いた。
「そんなに固くならないで。いや、驚いた」
天羽と違って穏やかな雰囲気の人は、絢佳を見下ろして控えめに笑う。いや、外面は天羽も紳士だから、わからないと思っていれば、くすくすと笑われる。
「わたしは疾矢ほど裏表はないよ」
「は、え、あれ?」
口に出た?と慌てるけれど、出ていないはず。肩を震わせてまで笑う天羽が慌てる絢佳を宥めるように背中を軽く撫でる。
「口には出ていない。顔に出ていた」
「ええぇ」
初対面で読まれるとか、どれだけ聡い人なんだと思ったのも顔に出たらしく、絢佳は嫌になる。逆立ちしてもかなう気がしない。
「颯矢、やっと疾矢が連れてきた嫁を揶揄うんじゃない。あんまり唐突に言いだすから驚いたけれど、うん。まあ、良かった」
年齢不詳な天羽の父親に微笑まれ、恐縮し切って絢佳が頭を下げている横で、天羽も絢佳の両親に挨拶をしている。弟は、仕事の都合でこんなに急には来られない。
平凡を絵に書いたような両親は、やはり天羽一族に茫然としているようで。絢佳もなぜ、と思っている疑問をまさかの開口一番、ぶつけてくれた。
「なぜ、うちの娘と?」
いやそれ、結婚していいとか許可出す前に聞くことでしょ。と突っ込みたい気持ちは押さえ、絢佳も天羽を見上げる。
とりあえず座りませんか、と天羽の母に促されテーブルを囲めば、コース料理が運ばれてくる。
個室の中が家族だけになってから、先程のお話ですが、と、外面紳士の天羽が口を開く。普段を見せたい、と思ったのがまたも気づかれたらしく、強めに指先を握られ、絢佳は心は無にしなければと深呼吸を繰り返す。
「お義父さんとお義母さんには納得してもらえるか分かりませんが。彼女はわたしに付随するいろんなものに全く興味を示さなかったんです。わたし自身の言動を見ているだけで、わたしのバックグラウンドや立場に興味も示さず、外見に至っては遠くにいて欲しいとまで言われました」
天羽が言葉を重ねるごとに両親からの視線が痛くて、絢佳はいたたまれずにもぞもぞと座り直す。むしろ天羽の家族が楽しげにそれを聞いているのが不思議で仕方ない。どう聞いても、この嫁は息子に何の興味もないと言われているようなものだ。
いやむしろ、この話のどこに結婚に至る理由があるのか、絢佳にもわからない。
「物珍しかったといえばそれまでですが。こんなに興味深い女性は初めてで、わたしは直感でここまで来たのでそれに従わせてもらいました」
なんの直感?と首を傾げる絢佳に、天羽は柔らかく笑いかける。
おお、家族の前だと紳士。さすが。と胸中で拍手をすれば嫌な顔をされた。
眼福を通り越して目が潰れるんじゃないかと、一生分の目の保養になるような人たちに囲まれて、美味しい料理を味わえない、と思ったけれど。まあ、美味しいわけで。
社交的な天羽家と、普通の香月の両親が会話を続ける中、大人たちの中でお利口にしている子供たちの方に絢佳は注意をひかれ、なんとなく目が合い、笑顔を向ければそらされて。まあ、懐柔なんてされないよね、と思ってみればまた目があって。興味はあるらしいとそんなやりとりを繰り返しながら、なんとなく手を伸ばして世話を焼いてしまう。
それに気づいた兄嫁に微笑まれれば、見つかった、と照れ隠しの笑顔でごまかしてしまう。庶民って悲しいなぁ、と思いながら、そういえば、ご両親やお兄さんのお仕事の話とか、自分の両親の仕事の話とか出ないな、と思っている間に会食の時間は終わってしまって。
帰りがけに父親に言われた言葉に曖昧に頷きながら首を傾げる。
「随分と世界が違う人たちと関わることになったと思ったが、良い方達のようだ。迷惑をかけないよう、くれぐれも気をつけなさい」
ひたすら疑問符が頭の中を渦巻き、人並外れて警戒心の強い子たちが懐いたとなぜか喜ぶ義兄夫婦に恐縮しながらあれよあれよと連れて行かれた次の目的地。
絢佳でも知っている、けれど足を踏み入れることはないだろうと思っていた超高級ホテルに天羽が車を止めて降り立った途端、待ち構えていたように運転席に歩み寄ってきた人影に、絢佳も気付く。
「何をしている」
美しく装った、小柄な女性。控えめに見えるのに、その表情はその印象とは裏腹になぜか絢佳には押し付けがましく感じる。
「レセプションに」
鼻にかかる、甘えるような声に天羽の気配が苛立つのを感じ、車から降りかけたままどうしたものかと止まっていたら、助手席側に回ってきた天羽に手を引いて下され、しっかりと、腰を抱き寄せられた。
これ、女除け?と首を傾げようとすれば、いやでも刺さる視線を感じる。
レセプション前からって、どんだけ女呼び寄せちゃう体質なのよとげんなりしそうになるが、これが妻の務め、と、呼吸を整えて天羽に促されるまま身を寄せる。
大人しく従う腕の中の絢佳に、天羽は眉間にしわを寄せる。結婚したことを外に知らせ、面倒を減らそうと思ったのは事実だが、その矢面に絢佳を立たせる気は正直ない。女除け、なんて、確かにそれらしきことを言った覚えはあっても実際にさせたいとは今は思わない。のだが、どうもやる気を出しているようで。
そこじゃない、と言いたいのだが、その前に目の前の女が、邪魔で。
「今日お前がいる意味はないだろう」
天羽の冷たい声。ただその言い回しに絢佳が首を傾げるのと同時に、離れた場所から歩み寄ってきた人影が、絢佳とその小柄な女性の間に身を割り込ませた。
「2人とも来たか。待っていたぞ」
「浅葱…本当に来たのか」
呆れた天羽の声と一緒にその場を離れ、絢佳はそのままホテル内のサロンに放り込まれた。
天羽が選んだのは気軽にできるようにとイタリアンのお店…だったのだけれど。
絢佳はこれのどこが、「気軽」、と顔を引きつらせる。ものすごく流行っているお店の奥の、個室。店の佇まいも、店内を賑わせている客層の様子もとても、気軽なお店ではなく高級店。
この後の予定を考えても都合の良い立地なのだと言うけれど。
落ち着かない、と思ってももう、どうにもならない。まあ、こう言う顔合わせはいいお店を選ぶというから、どう転んでもこういうものなのか、と、なんとか納得しながら個室に足を踏み入れれば、先に着いていた天羽の家族と絢佳の家族が立ち上がる。
天羽の両親と兄家族を見て、絢佳はさらに場違い感に居心地悪くそわそわとしてしまう。
同じ日本人、と言うか、同じ人間なのかと思うほどに整った容姿の天羽の両親と兄を見れば、遺伝なのだなぁと納得しながらその目を、兄嫁とその子供たちに移す。兄嫁はふわふわした可愛らし雰囲気の、やはり綺麗な人で、子供たちは可愛らしい。小学生の男の子と、まだ3歳の女の子。
緊張も最高潮に達した結果、考えていた挨拶の言葉なんて頭から抜け落ち、やっと名乗って頭を下げたけれど緊張のあまり表情は硬いまま。
隣で低く笑っている天羽を恨めしげに見上げれば、天羽の兄がなぜか驚いたように目を見開いた。
「そんなに固くならないで。いや、驚いた」
天羽と違って穏やかな雰囲気の人は、絢佳を見下ろして控えめに笑う。いや、外面は天羽も紳士だから、わからないと思っていれば、くすくすと笑われる。
「わたしは疾矢ほど裏表はないよ」
「は、え、あれ?」
口に出た?と慌てるけれど、出ていないはず。肩を震わせてまで笑う天羽が慌てる絢佳を宥めるように背中を軽く撫でる。
「口には出ていない。顔に出ていた」
「ええぇ」
初対面で読まれるとか、どれだけ聡い人なんだと思ったのも顔に出たらしく、絢佳は嫌になる。逆立ちしてもかなう気がしない。
「颯矢、やっと疾矢が連れてきた嫁を揶揄うんじゃない。あんまり唐突に言いだすから驚いたけれど、うん。まあ、良かった」
年齢不詳な天羽の父親に微笑まれ、恐縮し切って絢佳が頭を下げている横で、天羽も絢佳の両親に挨拶をしている。弟は、仕事の都合でこんなに急には来られない。
平凡を絵に書いたような両親は、やはり天羽一族に茫然としているようで。絢佳もなぜ、と思っている疑問をまさかの開口一番、ぶつけてくれた。
「なぜ、うちの娘と?」
いやそれ、結婚していいとか許可出す前に聞くことでしょ。と突っ込みたい気持ちは押さえ、絢佳も天羽を見上げる。
とりあえず座りませんか、と天羽の母に促されテーブルを囲めば、コース料理が運ばれてくる。
個室の中が家族だけになってから、先程のお話ですが、と、外面紳士の天羽が口を開く。普段を見せたい、と思ったのがまたも気づかれたらしく、強めに指先を握られ、絢佳は心は無にしなければと深呼吸を繰り返す。
「お義父さんとお義母さんには納得してもらえるか分かりませんが。彼女はわたしに付随するいろんなものに全く興味を示さなかったんです。わたし自身の言動を見ているだけで、わたしのバックグラウンドや立場に興味も示さず、外見に至っては遠くにいて欲しいとまで言われました」
天羽が言葉を重ねるごとに両親からの視線が痛くて、絢佳はいたたまれずにもぞもぞと座り直す。むしろ天羽の家族が楽しげにそれを聞いているのが不思議で仕方ない。どう聞いても、この嫁は息子に何の興味もないと言われているようなものだ。
いやむしろ、この話のどこに結婚に至る理由があるのか、絢佳にもわからない。
「物珍しかったといえばそれまでですが。こんなに興味深い女性は初めてで、わたしは直感でここまで来たのでそれに従わせてもらいました」
なんの直感?と首を傾げる絢佳に、天羽は柔らかく笑いかける。
おお、家族の前だと紳士。さすが。と胸中で拍手をすれば嫌な顔をされた。
眼福を通り越して目が潰れるんじゃないかと、一生分の目の保養になるような人たちに囲まれて、美味しい料理を味わえない、と思ったけれど。まあ、美味しいわけで。
社交的な天羽家と、普通の香月の両親が会話を続ける中、大人たちの中でお利口にしている子供たちの方に絢佳は注意をひかれ、なんとなく目が合い、笑顔を向ければそらされて。まあ、懐柔なんてされないよね、と思ってみればまた目があって。興味はあるらしいとそんなやりとりを繰り返しながら、なんとなく手を伸ばして世話を焼いてしまう。
それに気づいた兄嫁に微笑まれれば、見つかった、と照れ隠しの笑顔でごまかしてしまう。庶民って悲しいなぁ、と思いながら、そういえば、ご両親やお兄さんのお仕事の話とか、自分の両親の仕事の話とか出ないな、と思っている間に会食の時間は終わってしまって。
帰りがけに父親に言われた言葉に曖昧に頷きながら首を傾げる。
「随分と世界が違う人たちと関わることになったと思ったが、良い方達のようだ。迷惑をかけないよう、くれぐれも気をつけなさい」
ひたすら疑問符が頭の中を渦巻き、人並外れて警戒心の強い子たちが懐いたとなぜか喜ぶ義兄夫婦に恐縮しながらあれよあれよと連れて行かれた次の目的地。
絢佳でも知っている、けれど足を踏み入れることはないだろうと思っていた超高級ホテルに天羽が車を止めて降り立った途端、待ち構えていたように運転席に歩み寄ってきた人影に、絢佳も気付く。
「何をしている」
美しく装った、小柄な女性。控えめに見えるのに、その表情はその印象とは裏腹になぜか絢佳には押し付けがましく感じる。
「レセプションに」
鼻にかかる、甘えるような声に天羽の気配が苛立つのを感じ、車から降りかけたままどうしたものかと止まっていたら、助手席側に回ってきた天羽に手を引いて下され、しっかりと、腰を抱き寄せられた。
これ、女除け?と首を傾げようとすれば、いやでも刺さる視線を感じる。
レセプション前からって、どんだけ女呼び寄せちゃう体質なのよとげんなりしそうになるが、これが妻の務め、と、呼吸を整えて天羽に促されるまま身を寄せる。
大人しく従う腕の中の絢佳に、天羽は眉間にしわを寄せる。結婚したことを外に知らせ、面倒を減らそうと思ったのは事実だが、その矢面に絢佳を立たせる気は正直ない。女除け、なんて、確かにそれらしきことを言った覚えはあっても実際にさせたいとは今は思わない。のだが、どうもやる気を出しているようで。
そこじゃない、と言いたいのだが、その前に目の前の女が、邪魔で。
「今日お前がいる意味はないだろう」
天羽の冷たい声。ただその言い回しに絢佳が首を傾げるのと同時に、離れた場所から歩み寄ってきた人影が、絢佳とその小柄な女性の間に身を割り込ませた。
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