可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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そもそも俺の環境も原因かもしれない。

「母さん。」

「何?」

小学生の俺は学校から帰ってきて、母が出してくれたジュースを飲みながら聞いた。

「男が可愛いもの好きって…変?」

「ん?」

「可愛いものは女子だけのものかな?」

「ん~、どっちでも良いと思うけど?」

うん、俺もそう思う。

「でもさ、今日学校の女子が話してるの聞いててさ。」

「それぞれご家庭の考え方もあるからなぁ…」

幼い頃からキラキラや可愛いものが好きだったが、母は俺に「男だから」「女だから」とは言わない。

「TVならさ、カッコイイ男の人が可愛いもん持ってたら「可愛い~♡」っていうくせにさ。」

「ウフフ、確かにそうね。今は色々な人がいるし、昔に比べて色々な考えの人が認められているからね。まぁ、一般人でも料理が女の子以上に上手い男の子がいても良いし、可愛いものが好きな男の子がいても…カッコイイものが好きな女の子がいてもお母さんは良いと思うけどな。」

「そっか…そうだよね。母さん、ありがと。」

「は~い♪」

そして、俺はその数年後に女の子と付き合い、その考え方が原因で別れることとなる。


___カタッ___


「あれ?このシャーペン、誰の?」

「…あ、それ俺の……」

「ウフフ、可愛い。彼女からもらったの?」


___しまった!!___


「……っ…あ、そうそうっ!!彼女、高3で今年受験でさ。遠距離で不安だからお揃いで持っとけってさぁ!」

「あ…例の…女避けってやつ?彼女、相当ヤキモチ焼きだよね。」

「アハハ、そぉ~なんだよ!遠距離だからさぁ!!参っちゃうよな!」

しまったしまったしまったぁぁぁあ!
うっかりすっかりヤラカシたっ!!
昨日買ったお気に入りの雑貨屋のシャーペン、課題しながら眺めてそのまま無意識にペンケースに入れてたぁ!

「本当、小鳥遊くんって優しい。ストラップも何気に可愛いし、これも彼女だよね。それに飲みもあんまり参加しないしさ。まぁ…その心配も分かるけど…」

「……アハハ…まぁ…心配……掛けたくないしね。」

……本当は飲みが苦手なだけなんだけど……
ストラップ…あれ可愛い部類だったんだ。

俺はクラスメートからシャーペンを返してもらって苦笑いをしながらペンケースに直した。


___遠距離恋愛中のヤキモチ焼きの彼女___


俺はこの春から大学生になった。
これは上京して来た事をきっかけに作ったでまかせだ。
この大学は俺1人で、同じ高校や知り合いは誰もいない。
俺はあるトラウマがきっかけで、秘密にしている事がある。


それは…可愛いものが好きであること。


背もそんなに高くなく、顔も童顔だが所詮男。
「男は可愛いものを持たない」が普通の世の中だ。
母は俺の意向を尊重する人だし、今考えたら家では可愛い部屋にしても文句言ってなかったもんな。


…中学の終わり…


『瑞希、いくら顔が少し可愛くてもさ…私より可愛いの沢山持ってるって…流石に恥ずかしいかも。』

『良いじゃん、俺が買ったんだし。』

『……私がやめてっ言っても…ダメ?』

『何でやめなきゃいけないの?』

『…瑞希、私達別れよ。』

そこそこ身長が伸びてそれなりに男らしい顔付きになり、彼女は出来たものの可愛いものに溢れた部屋を見て「思ってたのと違う」と振られた。
その後、高校でみんなが思う「小鳥遊 瑞希」を演じるのにも疲れて上京し、のびのびと出来ると思ったら……全く違った。
独り暮らし・彼女なし・女の子のものや変化に対して敏感に反応する。
女の子は共感してくれる俺に告白してきた。
……いや、最初の2つは分かる。
俺が反応するのは、女の子の可愛い雑貨や服、アクセに常日ごろ目が行くからだ。


『小鳥遊くんなら分かってくれる♡』


そりゃ、日々サイトで可愛いをチェックしてるからね。
俺も欲しいのあるし。
そして拗れた俺は、架空の「遠恋中のヤキモチ彼女」を作り上げ、飲みの誘いを極力避けて日々可愛いものをゲットするためのバイトに勤しんだ。


___そして夏休みのある日………___


「きゃぁぁぁぁっ!!!」


俺は……信号無視のトラックに引かれてこの世を去った。



*****************


………で、ある日、目が覚めたらヘリオドールとしてこの世界にいた。
記憶が蘇ったのは10歳くらいで、その後2年程の記憶は混乱して曖昧だ。
俺には2歳年下に可愛い妹、ガーネットがいる。
生まれて物心付いた辺りであっと言う間に美しさが世に広まり、ガーネットは7歳で俺と同じ歳の王太子の婚約者となった。
幼い頃から気の強い姉御肌のガーネットは自分の勉強をしながら王太子を叱咤激励して勉強させ、今や文句無しの王太子だ。
7歳って小学1年だろ?本当に凄いよなぁ。

そんな俺も現在15歳…身長は現世じゃ妹とそう変わらない。
165…って所か?
下手すりゃガーネットの方が少しデカイ…おのれ…牛乳毎日欠かさず飲んでるのにぃぃ!
くそっ!俺の成長期はどこいった⁉


___バァンッ!___


「兄様っ!」

「うおっ!何だっ⁉」

「うわっ!危ねっ!」

俺は専属従者兼幼馴染のジルコンが入れてくれた紅茶を飲んでいた。

「兄様っ!今度のパーティに、ちょっと付き合って‼」

「すげぇ剣幕だな。」

「そうもなるわよ!ジルコン、私にもお茶頂戴っ!」

「了解。」

慣れた手つきでジルコンがガーネットにお茶を入れる。
色々あって我が家に引き取られ自分から養子を断ったジルコンは俺達と兄弟同然に育ったので、みんなの希望で家では普通に話していた。

「…で、お嬢、どうしたの?」

「それがね……」

どうやらガーネットが招かれた友人のお茶会に、とんでもない事があったらしい。
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