可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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ジルコンにメッセージを託した葉っぱを確認してもらうと、どうやら俺達の庭に遊びにきたようだ。

「ただ…ちょっと、リオのは精霊でも妖精でもないのがいたらしくて、みんな遠慮してたみたいだな。」

俺のだけ?何でだろ。
そんな俺の疑問はすぐに打ち砕かれた。

「……おぉ…これはこれは…」
「…師匠、みんなを避難させますか?」
「…何だこれ?…毛玉?」

……と…り…鳥だよな?家のドアに頭挟まってる。
俺が作った家の玄関に頭から突っ込んで飛び出た尻尾を上下にプルプルさせて…あ、思い出した。この体型、転生前に飼ってた小桜インコだ。
でも、どこにでもいるのかな?コイツの種類、学園にもいたよなぁ。

しかし白く丸いフォルムが家のドアに詰まってて、尻尾はまるで…


___ウントコショ、ドッコイショ。それでもカブは抜けません。___


ブフッ。確かあの絵本、犬や猫も手伝うんだっけ?
俺はクスクス笑いながら絵本の当時人物の気持ちになって、鳥の尻尾と身体を掴んで家から引き抜いた。

『ぷはぁ!』

…あれ?この声…

『ピィ!リオだっ!この森だからやっと話せる!リオッリオッッ!』

?もしかして…

「お前、もしかして…」

『そうだよ!学園のお庭で会ってたでしょ?』

「…に、してはちょっとデカいし丸いな。」

『失礼しちゃうねっ、気のせいだよっ!…ちょっと…美味しい木の実食べ過ぎただけだもんっ!私、人間の姿は可愛いんだよ♪…あ、人間にもなれるけど、今は力が足りないから無理だった。』

「人間の姿になれるんだ。」

「うん!今度なってあげるね。リオ、だから、私と契約しよっ!」

なんでそうなる?

「妖精じゃないのに?」

「妖精じゃないとダメ?」

いや、一応これは妖精や精霊と契約するためのものだしなぁ…この世界、獣魔との契約ってあったかな?
この鳥はどっちかっといえば、攻撃より癒し担当な気もするけど。

「…ジルコン、ダメなのかな?」

俺と鳥のやりとりを呆然と眺めていたジルコンはハッと我に返った。

「いや、ダメじゃない。この森は魔物は来ないから大丈夫だが…」

「初めまして、俺はラリマーって言います。君は…何て名前?」

ジルコンが困惑しているところにラリマーが助け舟を出した。

『ん、私?私の名前は…はハーピーって言うよ?』

___天の父様?___

「天の父様…あっ!」

「ジルコン…大丈夫ですか?」

様子が変わったジルコンをオニキスが気遣う。

「もしかして貴女は…天界の方では⁈」

『うん、お空から来たよ?』

「オニキス、跪け!ラリマー、リオ、この方は天界の女神だ。お前らも跪け。殿下、女神に挨拶を。」

「失礼致しました!」
「ジルコン…失礼します…」

ラリマーはすぐに跪き、オニキスはジルコンをゆっくりと隣へ座らせてすぐに跪く。
問題は俺とベリルだ。

「…え…この鳥が女神?」
「…え?挨拶??天界への挨拶…っと…」

俺は学園のずんぐりむっくりが女神と知らず戯れてたことのショックで、ベリルは天界への挨拶に戸惑いながらそれぞれ遅れて跪いた。

「…この度は…」

『あ、挨拶は普通で良いよ。私、そういうのいらな~い。』

「…良かった…」

ガッチガチだったベリルの身体が緩む。
あぁ~…妖精の庭で女神来ちゃったかぁ…あ、でも元々は学園にいたんだよな。

『風になってあちこち飛んでたら、面白い子がいるなぁ…って思って。いつも学園でお顔を見に行ってたの。もうすぐ妖精のお祭りがあるからここに来てたんだけど…そしたらリオがここでお家作ってるし、夜はみんなここに遊びに行くから私も…って飛び込んだの…』

「…で、抜けなくなったんですね。」

『うん!』

「天からは何と?」

『えっとね、父様からはお許しはもらってるよ?人間の強い干渉はダメって言われたけど、リオを守るくらいなら良いよって。あ、えっとね…リオのお隣にいる…』

「ん、俺か?」

『そう、ベリ…ル…だっけ?貴方に会いたがってる子がいるよ。あと、ロード?にも』

「俺とロードに?」

『小さい頃遊んでたのに大人になったら気付いてくれないし森にあまり来ないから寂しいって言ってたよ。あと、ベリルに助けてもらった子も。多分今回の家を作ったきっかけで意識したら見えるんじゃないかな?』

「誰だろ…」

『ウフフ~誰かは思い出してほしいって言われてるから内緒~。じゃぁ、契約はみんなが会った時にしましょ!』

「分かった。」

「…じゃぁ、ジルコンのを見てみようか…あれ?」

よく見たら…ガーネットのリボンが本物の花になってる。

___シュル…___

「わっ!」
「危ないっ!」

庭の一部がジルコンへ伸び、咄嗟にオニキスがジルコンを抱えて後ろに下がった。

「ラリマー止めろ!」

ラリマーが連携して短剣を手にして庭から伸びる蔦を切り落とそうとしたところでジルコンに止められた。

「そいつは妖精の仕業だ!」

___ピタッ___

「妖精?」

「そうだ。多分…ドライアドだ。」

___シュル………___

「心配はない、ここにハーピーの友人もいる。俺はその保護者だ。」

「ジルコンが保護者?」
「…保護者じゃねぇの?」

「リオ、話がややこしくなるから黙って。殿下…あとでシメる…」

ジルコン、悪いけど俺もそう思う。

___…ポゥ…___

ドライアドは姿を見せず、光だけが庭から灯ってハーピーと声で会話する。

『ハーピー様…この者達がおっしゃっていた方ですか?』

『うん、リオだよ。この人達はリオのお友達。リオを大切にしてる人達だよ。』

『貴女を捕まえようとせずにいつも優しく接してくれたお方ですよね?』

すると、こちらにも話しかけてきた。

『この庭を作ったのは…貴方?』

「いや、俺の保護者って言ってるこっちのジルコンだよ。」

『…ジル…コン…』

___パァ…___

光が少し強くなる。

『貴方は何故、周りにある花を切って飾らなかったの?』

「花は好んで切られている訳ではない。本来は散るまで咲いて散って土に還りたいものだろう?一時的に作られた庭に移動させることを良いとは思わなかったから、草花はなるべく移動せずに散ってる花びらを活用させてもらった。妖精達は粉を活用してカスタマイズしてくれたみたいだな。」

『えぇ、みんな楽しそうに使にしていったわ。』

使?」

「あぁ、リオには伝えてなかったな。ここまでうまく行くとは思わなくてな。妖精の庭は精霊はその場の雰囲気を楽しむが、妖精は本当に気に入ったら使えるように妖精の粉を振り撒いて魔法を掛ける。本物にして使えるものにカスタマイズするんだ。」

ハーピーやドライアドが俺達と普通に話している姿を見て安全と判断したのか、精霊達がどんどん集まってきた。

月明かりの綺麗な夜。

ここはずっとそんな感じだけど、精霊達が庭だけでなく木々を遊び回る姿は幻想的なスカイランタンを見ているようで、俺はこの瞬間を一生忘れないだろうと思った。
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