可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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___夜の妖精の庭___


「…綺麗な月ですねぇ…」

「うん、綺麗だな。」

「あぁ、本当に…お前がいなかったらなっ!」

只今ラリマーとベリルの3人で妖精の庭の確認中です!

「何でお前がいるんだよ!」

「何で…と、言われましても…」

「そうだよ、ラリマーはジルコンの代わりに従事してくれてんだぞ?」

「アハハ、それもありますけど…ジルコンから『絶対暴走するから間に入ってろ』と、言われてまして。」

「話せたの?」

あれから心配になってジルコンのいる別棟に行って、出てきたのは上半身裸のオニキスしか出てこなかったんだけど?

「まぁ…一応…グッタリしてましたけどね。『今日辺り、何か印があるだろう』って言われたので。お2人に確認を頼んだと話したら『絶対付き添え』と。アハハ、信用ないですねぇ、殿下。リオ様に無理をさせるからですよ。」

「そんなしょっちゅうリオに無理させねぇよ…ってか、リオが可愛いのが悪いんだ。」

「はぁ⁈何言ってんのかな⁈やっぱ見た目かよ、お前可愛い可愛い言い過ぎなんだよっ!」

「違うって!だから…」

「ハイハイ、お2人とも落ち着いて。妖精の庭、ちょっと光ってないですか?」

「「ん?」」

ラリマーに言われて近くまで来た庭を見ると、ベリルの庭に小さな光が宿っていた。

「…あ、これ…」

「ベリル、分かるの?」

「話だけ聞いていたが…多分、これは妖精の足跡だ。妖精は身体に妖精の粉を振りまいて飛んでいるから、長時間同じ場所にいると粉だけが少し落ちてその場に残るらしい。日中は太陽の光で分からなかったけど、もしかしたらこうやって俺達が子どもの頃も遊んでいた頃も遊びにきていたのに気付いてなかったかもしれない。」

ベリルが置いた遊び道具を見ると、ちょっと変わってる気がした。

「よく出来てますね。本物みたいだ。」

「いや…」

じゃなくて、本物のミニチュア版だ。実際使えるようになってる。
ベリルが置いたおもちゃが、実用的にカスタマイズされてる?

家のドアは…

「…あ…開いた…」

___パッ!___

「あれ?」

「どうしました?」
「どうした?」

「…消えちゃった。」

今、光があった気がしたけど…

「光なら、精霊かもしれませんね。」

「妖精と精霊って、違いがあるの?」

「そうですね…精霊は実体がなく光のみ、妖精は実体があると考えられています。俺達もよく分かってないんですけどね。」

「ラリマーって色々知ってるんだな。」

「いえ、俺は弟達の探究心が強かったんでそれに応えようとしただけなので…浅く広くですよ。これ以上の知識はジルコンの方が上ですね。」

ベリルの庭を確認してみたら、おもちゃや使わなくなった物はしっかりとした作りへと変わり、家に見立てた苔の屋根の家もドアを開けると中は綺麗な部屋になっていた。

「……メッセージより分かりやすいね。」

「本当ですね。俺、こんなこと初めてです。今度の手紙で弟達に自慢します!」

「俺も、こんなこと初めてだ。早くジルコンに知らせなきゃな。」

俺達はそれから自分とジルコンの妖精の庭を覗いてみてが、特に変化は無かった。

「う~ん、粉は…うっすらあるみたいですけど…」

「明日また来てみたら良いかな。」

「そうだな、さっきのリオの光のこともあるし…もしかしたら精霊か妖精に近々会えるかもな。」

「取り敢えず、精霊らしき姿や妖精の足跡もありましたし葉っぱを持って帰りましょう。」

ラリマーがそう言うと、それぞれの庭に置いていた葉を取り出すと大事そうに布に包んだ。

「さ、そろそろ夜も更けてきました。明日の昼食はバルコニーで取りましょう。俺がジルコンを連れてきますね。」



******************************



翌日、昼食にオニキスに横抱きにされたジルコンがやって来た。
良かった…ラフだけど一応服着てる。

「ププッ…ジルコン…ザマァねぇな。」

「うるさい黙れ、坊ちゃん。」

「坊ちゃん言うなっ。」

「…まぁまぁ…ジルコン、大丈夫か?」

「あぁ…給仕出来なくてすまないな、リオ。コイツのせいで…くそっ…」

「申し訳ないと思ってますけど、俺は貴方に言ったはずでよ?にすると。」

「お前なぁ…動けなくなるほど抱くってどうよ?俺、従者だっつ~の。」

「…まだ…足りないです…チュ。」

「お゛ま゛っ!」

オニキスが愛おしそうにジルコンの頭にキスをした。
おぉ…こんな蕩けた顔してるオニキス…初めて見たぁ…

「…自重しろ、オニキス。」

「ハッ!申し訳ありません、師匠っ。」

「「師匠?」」

「あ、オニキスの剣技は俺が教えてるんですよ。彼は将来王宮騎士団の有望株なんで、騎士団の精鋭部隊指導担当の俺が直接教えてるんです。」

ラリマー!アンタ…実はすごい人だったんだな!

「お前、そんな上位ランクで何で俺の専属してんだよ!」

「重要案件だからです。何かあったらどうするんですか?それに俺は基本王妃専属で、上位じゃありません。まとめて指揮とか無理ですもん。」

ニコニコ笑って見た目は下っ端な感じだったけど…分かれば分かるほど凄い人なんだな。
だからジルコンを引っ張り出すことが出来たのかぁ…いや…1人じゃないんだけどさ。

「オニキス、今日はこれからジルコンと共に妖精の森へと赴き妖精の庭の確認を行う。お前にジルコンを運ばせることを許すが…何かしたら許さないからな。」

「肝に銘じます。」

わぁ…ラリマーが急に逞しく見える。
この人、真面目な顔したら凄くカッコイイよな。
でも、裏表な感じでちょっと変な感じ。

「フフ、リオ様。俺は俺ですよ。もちろんオニキスにも砕けた喋り方の時はあります。敬語ではないですけどね。」

「俺にも敬語じゃなくて良いのに。」

「あっ、それ今言っちゃいますか?俺、敬語無くしたら更にリオ様贔屓が加速しそうで…怖いんですよ。」

「今でも十分贔屓してるぞ。」

「そうですか?自覚ないんですけどねぇ。」

「ラリマー、リオは可愛いだろ?」

「うん、すごく可愛い♡過保護ブラコンって言ってごめんね。」

「それは許さんけど、お前に任せて良かったよ。」

「…俺はこれ以上お前ジルコンが増えるのは困るがな。」

何だろ…俺、置いてけぼり。
すると、気を遣ったのかオニキスが声を掛けてきた。

「リオ…ジルコンを奪って済まない…」

「あ、オニキス。」

「俺は、どうしてもジルコンに俺の思いを信じて欲しかったんだ。」

「…思いは通じたの?」

オニキスを見ると、初めて見る笑顔。

「…あぁ…」

いつもの少し口角の上がった優しい笑顔じゃなくカッコイイ笑顔、ジルコンを見詰める瞳は熱く蕩けてる。
ジルコンを守ってくれる人。こんなに瞳が澄んでいて、真面目で力強いヤツなら…大丈夫だよね。

「…おい、俺もいるんだけど?」

真っ赤に横槍入れるジルコン、可愛いなぁ。

「フフッ、ジルコンをよろしくね。」

「リオ、俺はまだどこにも行かないからなっ。」

今はオニキスの腕の中で、ほんの少しだけ俺には見せない素のジルコンだ。
安定のブラコンだけど。

「フォスター公には改めて挨拶に伺う。」

「うん、先は長いかもだけど…頑張って。」

きっとジルコンのことだから『王宮騎士団のトップになったら結婚してやる』とか、言いそうだしね。

「任せろ…俺は、ジルコンを一生誰にも渡さない…チュウッ。」

「んぁっ!お前っ‼︎」

ニヤッと笑って、ジルコンの首筋に跡を付けた。
オニキスの笑顔は、ベリーやパールが見たら卒倒するような色気のある笑顔だった。
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