可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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『リオ~!』
『ベリル!』

王宮に到着して俺達が馬車から降りていると、空からバニラとスノウが現れた。
スノウはベリルを呼び捨てだったり様付けで呼んだりと、彼の中で葛藤があったようだが結局ベリルの『呼び捨てでいい』の言葉に呼び捨てで落ち着いたようだ。
敬語はそのまま続けているようだけど。
まぁ、周りの精霊や妖精が呼び捨てだもんな。見た目は落ち着いているけど、周りに感化されて子供に戻ってる様な気もする。

『ここがロードのお家なんだ。』

「そうだ、これからロードの親である王と王妃に挨拶をするから一緒に来てくれ。」

「バニラ、失礼のないようにな。」

『え~、私ちゃんとするよ~。』

2人が人間の姿になってダイア様とモルダ様に挨拶をすると、モルダ様がバニラの姿をいたく気に入り、話をする内にハーピーとモルダ様が意気投合した。
ダイア様もベリルと契約したスノウと意気投合。将来王になるベリルの補佐をしたいと言うスノウを気に入ったダイア様の提案で、俺達が離宮にいる間はバニラとスノウをダイア様とモルダ様に任せる事にした。

「良いんですか?」

「良いのよ、私もバニラとスノウが一緒なんて嬉しいわ。」

「ありがとうございます。」

「私も嬉しい!モルダって呼んでいいの?」

「バニラッ!」
「失礼じゃないか?」

「クスクス。リオ、スノウ、大丈夫。バニラは女神様よ、本来私が敬語で話さなきゃいけないもの。こんな可愛らしい女の子の姿だと親しく話しちゃうわ。」

「うん、モルダなら敬語じゃなくて良いよ!」

「ウフフ、嬉しい♪娘がもう1人増えたわ。」

「それに息子もだな。」

「ダイア様…」

「俺も呼び捨てで良い。」

「ですが…」

「その敬語もなくて良いんだがな。」

「いえ、我が主にも敬語ですから。」

ダイア様もモルダ様も気さくな人で良かったぁ…

「じゃぁ、せめて『様』はやめてくれ。そうと決まれば、盛大にスノウやバニラの歓迎会をしなきゃな。」

「それは難しいんじゃない?」


___コンコン___


「失礼致します!王、お時間です。宰相がお呼びですよ。」

王付きの騎士がダイア様を呼びにきた。
そういや、ここの宰相…普段優しいのに怒ったら結構怖いんだよな。

「……分かったよ…行きたくねぇ…」

「では、ご挨拶がてら…私もご一緒しましょう。」

「クスクス。ベリル、今の内にリオと楽しみなさい。王になったら忙しくなるんだから。」

「はい。」

「私の今日の公務はもう終わってるから…バニラ、私と遊んでくれるかしら?」

「うん、良いよっ!」

俺達はバニラとスノウをダイア様とモルダ様に任せラリマーに連れられて離れの宮へと移動した。


___チチチ…___


「魔法陣で移動するんだ。」

「そうですね。ここは俺も数回しか来たことがありませんが、王族の特別な場所でして…魔法で幾重にも防御や防音、環境も過ごし易い気候に整えられています。」

魔法陣で移動した離宮は、王宮程大きくはないけど一般の貴族の屋敷よりは大きい。
場所は王宮の端の宮殿と聞いたが…空間魔法で広げられているんだろうな。
空を見上げると秋の終盤に差し掛かる季節なのに春の様に暖かく、可愛い鳥や蝶が飛んでいた。
廊下から見える噴水はキラキラと太陽に反射して、行儀が悪いが水浴びしたら楽しそうだ。

「ここは王族の避難場所でもあるのか?」

「そうですね。身を守る…と言えばそうですが、実際公務にお疲れになった王や王妃がここで少し休まれる時にも使われます。でも、別荘程ではないのでしょうね。」

「そうなんだ。」

確かに。穏やかな空間ではあるけど別荘で経験した精霊や妖精達がいた時のような絶対的な安心感はない。

「魔法でも完璧はないので何かあった時は一時避難場所となりますが、ここは時間を感じさせないように配慮されていますのでお二人にはこの旅の疲れも取れるのでは……あ、リオ様には難しいか。」

___グイッ___

「そのつもりだ。チュッ。」
「わっ。」

……そのつもり……

___ボッ!___

「大丈夫、受胎の儀式はまだだ。存分に愛を注げる。」

「…っ⁈大丈夫じゃねぇ!」

「クスクス、何かあったら俺を呼んで下さい。マッサージの腕も上げておきますね。ベリル殿下…リオ様を泣かせないで下さいよ。」

「保障は出来ないな。」

「………」

___シャキ…___

「わぁぁあっ!やめろっ、ラリマー!」

剣を出そうとするなっ‼︎

「…え?何の事ですか?」

「いやっ、そんな穏やかな口元をしても目が怖いぞっっ!それに剣をしまえっ‼︎」

「ハハハ、やだなぁ…冗談ですよ~。」

話し方が棒読みだし、全く冗談に見えないんだが…

「気持ちはよく分かった。こいつから本当に逃げたくなったらすぐに呼ぶから心配するな。」

「本当ですよ?貴方に何かあったら、俺はジルコンに合わせる顔がないです。」

大丈夫だよ、ラリマー。
そのジルコンはきっと今頃パールに質問攻めにあって、自分の事でいっぱいいっぱいだろう。

「では、こちらでは別荘と違ってお世話をする人間が数人おります。気配を消すように訓練されておりますので姿を見せるのは俺くらいでしょうけど、身の回りの物など必要なものがありましたら気軽に言って下さいね。」

「ありがとう。」

「後…」

ラリマーがこっそり俺に耳打ちした。

『ここなら…ベリル殿下に沢山抱かれても声を我慢する必要はないですからね。』

___ボンッッ‼︎!___

「な゛っっ‼︎」

「フフッ、ベリル殿下も全く堪え性のない…魔力はもう少し鍛錬した方が良いですね。」

「お前っ!リオに何言ったっ⁈」

「……おまっ…な…っ。」

「あぁ、俺…ちょっと人より魔力が高いみたいで…だから王妃付きにもなれたんでしょうけどね。あ、聞こえたのは俺くらいだから安心して下さいね。あれでも早く通り過ぎたんですよ。」

「リオ、何の話だ?」

最後の日のバルコニーの下にラリマーもいたのか。

「………ベリル…後で反省会な………」

「何の⁈」

ラリマーに一通りの部屋の案内をされて見送った後は、歓迎された色取り取りの花びらが散りばめられた雰囲気のあるベッドの上で甘い2人の時間…では無く、ベリルを正座させてこんこんと小一時間の説教タイムとなった。
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