天界へ行ったら天使とお仕事する事になりました

mana.

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本編

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こちらでのアルさんのサポートの仕事も終わり……

「ルカ、アル。」

「何だ?」
「何?」

……ゼスから書類が届いたんだけど………


***【 辞 令 】***

上位天使 ネルホーエル
上位天使 ゼスルス
上位天使 アルエル

中位天使 ヘミービア

天使  ルカ

上記 5名

地上歴☆☆☆年○月♢日付けをもって、
異世界サポート出張所の勤務を命じる。


天上界

*************


「天上界にも辞令書って、あるんだね。」

会社じゃないから社名はないけど…

「あ、ルカのは天上界だったし、大体口頭だったもんね。」

「センター内は研修を兼ねる事が多いからな。」

「異世界サポート出張所って、あったっけ?」

「本部はルカ達の部署になるんだけど、今度私とアルの仕事と統合して新しく変わるのよ。部署の場所も特殊な場所に変わって、あちこちの異世界の神殿と繋がるお仕事になるわ。」

「そうなんだ。」

異世界かぁ…私は天使の立場だから転生しないけど、アニメとかにある主人公を見守る側に立つらしい。


___中天使 ヘミービア___


「あ…ヘミー、試験受かったんだ。」

「ん、どうしたの?」

「あぁ、ヘミー合格したのか。」

「そうみたい。」

天使…ではなく天使と書いてある。

「フフッ、じゃあ今度会う時は少し姿が違うのね。」

「そうねぇ、あの子なら可愛らしい中天使になるんじゃないかしら?」

「そうだな。」

「会うのが楽しみね。」

「うん。」

色んな意味で楽しみだ。

「…ん?この書類にある『出張所』って、異世界に常設なしないの?」

辞令と一緒に添付された、新しい部署は出張所とあるけど…

「あぁ、これは試験的なものみたいだし…まずはこちらと各異世界の教会や神殿とかの空間を繋げて会話出来るようにするみたいね。イメージ的には気軽に入ってこれるようにカフェ風にでもしましょうか?」

う~ん、転生前に偶然観たアニメの…教会で祈りを捧げて、目を開けたらちゃぶ台にお茶とお菓子を囲んで神様と会話…みたいな?


…で、ゼスさんに聞いたら…


「却下だ、却下。」


ですよねぇ。
取り敢えず、シンプルな作りで試すことになった。


***************


___異世界サポート出張所___


ようは、相談カウンター。
今まで転生者が教会などを通じて、音声のみでカスタマーセンターが対応していたが…

『顔が見える相談窓口、いるんじゃね?』

神様の一言で部署が作られた。
…いつの時代も上の発言は絶対よね…

「…で、何でも屋なマネジメント部がこれになったと…」

天上界へ戻り、異世界サポート出張所の初めてのミーティングを行う為に3人でミーティングルームへ向かう。
ヘミーとゼスさんは部署の部屋の引き継ぎで、他の天使と打合せてから来るとは話してたけど…
ミーティングルームのドアを開けると2人は既にいた。

「お疲れ、ルカ。」

「…わぁ…ヘミー。」

「うん、僕だよ。」

ニッコリと、愛らしく微笑むヘミー。
幼さが残っていた頬は大人な顔となり、ほんの少し…愛らしさを残した大きな濡れた瞳。

「………あ~…」

「……何も言うな…」

縮毛矯正の補正は発動されませんでした☆

緩かで少し短かったショートカットの髪型がウルフカットになり、少し長くなった襟足は……

「綺麗なウェーブだね。」

「クソゥッ!」

「ヘミー、言葉が汚い。」

「ん~、似合うと思うけどねぇ。」

「あぁ、良く似合うぞ?」

ネル姉さんとアルさんが苦笑いでフォローする。
スラリと伸びた長い手足、少し大人びた顔になったヘミーにとても良く似合うと思うけどなぁ。
俺と同じ身長だったヘミーは、今は俺より少し大きくなっていた。

「見てろよっ!上位天使になった暁にはサラッサラなロングヘアになってやるんだからなっ!」

……いや、このままいったらアフロディーテを目指す方が近いんじゃないだろうか?

「さぁ、冗談はさておき…仕事の話だ。」

みんなが席に付いて、これからの事を話し合った。

基本の仕事内容はこうだ。
①転生者の調査
②付与スキルの相談
③異世界でのアフターフォロー

うん、あまり今までと変わらない。

「召喚者は含むの?」

「いや、召喚者は別の部署が担当する。ウチはあくまで『異世界転生』対応のみだ。」

「召喚者までならもっと人がいるわよねぇ。」

「まぁ…試験的なものだし、今後統合するかもしれないな。」

「相談…と、言うのは大体どんなものを見越しているんだ?」

「今まで通りカスタマーセンターを通して俺達の元に来るのは同じだ。ただ、今回は精神体だが本人がやって来る。声だけではなく顔を見ての対応だ。」

「俺も対応するのか?」

「まぁ、お前は用心棒的な形でいてもらうよ。基本対応はルカとヘミーでしてもらうつもりだ。」

「はい。」
「え~っ!ゼス達は⁉」

「俺とネルは上の立場としてその場にいる。転生者と2人だと、言った言わないとのトラブルがある可能性とあるし、いざと言う時に上司も必要だろう。話は一緒に聞くから特に問題はない。あ、ネル、これもらうぞ。」

そう言うと、ゼスさんはネル姉さんが持ってきたポットのコーヒーをカップに注いで飲んだ。

「…フッ、美味いな。」

「あ、これ、新しい豆よ。また今度作ってくるわ。」

「うん。」

「いつから部署は立ち上がるんだ?」

「まだ、詳しくは聞いていない。取り敢えずお前達は地上界の家や店を閉じて天上界に戻るようにと指示は来ている。」

「そうか…」 

そうなんだ。
…じゃあ、俺がいた地上界へ行く事はもうなくなるのかなぁ……
ちょっと、寂しいかも。

「ルカ、大丈夫か?」

アルさんが俺の顔を心配そうに覗いた。

「あ、うん。大丈夫、ありがと。」

「天上界に来てからもお盆に何度も地上界には降りてたし、こないだまでいたしね。寂しいわよね。」

「まぁ、でも普通なら死んだら戻ってこれないし。」

そうだよ、俺は長く居すぎたんだ。

「なら、ルカ。思い出を作ろう。」

アルさんが優しく手を握りながら話してくれた。
そうだね、みんなでキャンプとか良いかな。
新しい部署の立ち上げにバタバタするので、最後の思い出に…みんなでキャンプをしに行くことにした。
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