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俺達魔族は人間同様、魔族の女の腹から産まれる。
まぁ、たまに魔族が人間を孕ませて半魔族を産む事もあるが…
魔族の女は森で子を産むと抱きもせずにフラフラとその場を離れる。
自分もそうされたという本能もあるが、魔族の子どもは産まれてすぐに魔力が備わっており物心がつくまでは何も食べなくても生きていけるので、そこで最初の振り分けをされる。

___魔力のない者はそこで淘汰される___

深い森の中…魔獣がいない訳がない。
産まれてすぐに喰われる者……そして生き残る者…そこから魔界の弱肉強食は始まるのだ。

___そんな中___

どこかの魔族の女に産み落とされて魔力がほぼ無かった俺は、魔獣の生態バランスの調整で通りかかったアンドリュー様に拾われた。
魔族なのに人間の様な心を持つアンドリュー様は俺にたくさんの教育を施してくれた。
数人の側近をまとめているレナードさんを始め、料理長のディーン・ティオ達…俺と同じく幼い頃に拾われて今は側近の1人であるサキュバスのシャーリー。
インキュバスの試験で人間界に行った時、どこかの家で見た光景が公爵家の雰囲気に似ていた。
人間界で人間を垂らしこむ試験なんだけど、受かったら魔王軍でも上の地位にいるアンドリュー様の側で色々と役に立てると頑張ったんだけど…

………結果、試験は落ちたんだよね………

アンドリュー様は俺の頭を撫でて「ウチの従者として雇ってやるから問題はない」って言ってくれたけど、恩返ししたくて頑張ったのに…受かったらバンバン人間の精液吸ったり惑わして…魔王に認められてアドリュー様の株を上げたのになぁ。
……試験じゃそれすら出来なかったんだけどさぁ。 

結局、俺はアンドリュー様専属の従者となった。


___コンコン___


「誰だ?」

「ルイです、お飲み物をお持ちしました。」

レナードさんは俺を人間で言う子ども扱いをしてあまり仕事をくれない。
そりゃあ…俺は250歳でレナードさんは700歳だから俺なんてまだまだとはおもうけどさ。
魔族はある程度まで大きくなったらそのままの姿で長く生きるから、確かに子どもみたいなもんだけど…今の俺の仕事はお茶を持って行くくらいだ。

___カチャ…___

「失礼します。」

「あぁ…もうそんな時間か…」

そう言うと、アンドリュー様は顔を上げて嬉しそうに俺の顔を見てくれた。

「はい、レナードさんが今日は絶対昼食も取ってもらう様にとサンドイッチを持たされました。」

「お前が食べろ。」

「ダメです、昨日も面倒だって食べてないじゃないですか。」

「…少しの血を飲めば済むことだ。」

アンドリュー様は古のヴァンパイアの血族で高貴な血族だ。
だから基本血を飲まなくても生きていける。
でも、流石に激務になると少量でも血は飲んだほうが良いとレナードさんが心配してたけど…せめて食事だけでもしてほしいよな。

「…じゃぁ…お前の血を貰おうかな…」

「…っ……別に…良いです…けど…」

アンドリュー様にはお世話になってるし…

「クスクス、冗談だ。」

実はここ最近、アンドリュー様からインキュバスとしての魅了の勉強を教えてもらっている。
200歳を超えても魅了の力がほぼ無いとはいえ、いつ身体が枯渇するか分からないからだ。
今は食事で十分なんだけど…

でも、アンドリュー様の冗談だと言いながら俺の首元を見る瞳にゾクリと腹の奥が熱く疼いた。

「…ルイ、おいで。」

シャツのボタンを少し外して俺をソファへと誘う。
アンドリュー様が俺を誘う時の合図だ。

「…はい…」

紅茶を淹れ、アンドリュー様の横に座ろうとすると「そこじゃない」と言われてしまった。

「違うだろ?」

「え…でも、いつもは…」

いつも横に座っているのに、どこに座るってんだ?

___ポンポン___

…が、あるだろ?」

___カァッ…___

アンドリュー様が指差す所…膝の上?

「いつもの様にお前が食べさせてくれるんだろう?今日は疲れたから、もっと近くで食べたいんだ。」

楽しそうにアンドリュー様が「さぁ、おいで」と、両手を広げて俺を待っている。
マジで恥ずかしいんだけどぉ…

「…インキュバスには必要な事だと思うが…まぁ、恥ずかしいなら…」

インキュバスに必要⁉

「いえっ、座りますっっ!失礼しまっす‼︎」

「クスクス、威勢が良いな。」

シラフで向かい合わせに座るのは恥ずかしすぎたから…横向きに座った。

「…じゃぁ…本当に食べて下さいね。」

「分かった。」

「はい、どうぞ。」

「…あ。」

「あ?」

サンドイッチを差し出しても、俺の腰からアンドリュー様の手は動かなかった。

「アンドリュー様、食べないんですか?」

「何を言ってる、だから…口を開けているだろう?」

口を開けているだろう…って……あ゛ぁっ!

「ここは食べさせてくれるところだろ?」

___ボンッ!___

「…ほら、これも勉強の1つだ。色っぽく食べさせてくれ。」

…………無理ぃっ!

「フッ…仕方がないな…」

アンドリュー様が俺の持っているサンドイッチを取ると俺の口の前へと持ってきた。

「ほら…食べてみろ。」

これ、1口のギリギリのところにアンドリュー様の指があって噛んでしまいそうなんだけど…
俺は指を噛まないように気を付けながら口に含むと、俺の口の端に付いたマヨネーズを自分の口に含んで舌を出し…唇を舐めながら俺を見た。

___ゾクンッ…___

「…うん、ディーンは今日も良い仕事をしているな。」

「…アンドリュー様…」

「ルイ…この時はと私をリューと呼べって、言ってるだろ?」

「…リュー…様…」

「ん…良い子だ…ルイ。」

髪にキスをされた、そこじゃなくて唇に欲しくなる。

「今日は…もう少し先に進んでみようか…」

そう言うとリュー様は俺の顎を掴み、深く唇を合わせてきた。

「んっ…んんっ…ぅ…ふっ……ぁ…」

クチュクチュと舌の絡まる音が部屋に響き渡る。

___カリッ___

「んぅっ。」

舌を犬歯で軽く噛まれ、俺の身体がビクリと反応した。

「リュー…さ……ぁっ…」

俺はそのままリュー様の首へと腕を回し、そのまま深く唾液も求める。
リュー様の唾液は甘くて飲みきれず、俺の口の端から少し垂れていった。
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