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第9話 ナンパ
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「じゃあ、頼んでくるからここで待っててな」
「ありがとう」
そこは屋外でも食べられるようテラス席も用意されていた。
その一角に愛を座らせると翔は店内へ入って行った。
「(なんであたしなんだろう? 他にも可愛い子いっぱいいるのに……。それに今まで翔が付き合ってきたこと違いすぎるし……。ずっと幼なじみだと思ってたんだけどな……って、あたし最近翔のことばっかり考えてる気がする)」
翔の後ろ姿を見つめながら愛はそんなことを考えていた。
翔の思惑通り、愛の頭の中はすでに翔でいっぱいだ。
「ねえねえ、お姉さん1人?」
「俺らと遊ばない?」
翔を待っている愛に声をかけた2人の男。
金髪と茶髪の2人組。
2人とも耳にはたくさんのピアスが付いていた。
「(な、なにこれ。あたしに話しかけてるの? どうしたらいいの。無視? 無視していいかな?)」
愛は俯いたまま顔も上げられずにいた。
「お姉さんシカトはよくないよ?」
「そうだよ! 俺らと遊ぼうぜ!」
「(や、やっぱりあたしに話しかけてたのか……。無視はよくない……)」
「す、すいません。人を待っているので……」
愛は意を決して顔を上げ、口を開く。
「え? なに? なんて言った?」
「お姉さん聞こえないよ」
だが、恐怖からかそれは相手にほとんど届いていなかった。
「お姉さん、ほら行こう」
2人組の1人、金髪がさらに詰め寄る。
「い、いやっ……!」
愛の瞳には薄らと涙が浮かんでいた。
***
注文を終えた翔が店内から出てくると、その目に飛び込んできたのは──
愛に詰め寄る2人組の男。
その内の1人は愛の左手首を掴んでいた。
「愛っ! おい! てめぇら何やってんだよ!!」
翔は注文の際に受け取った呼び出しベルをズボンのポケットにしまうと、走り出した。
「なんだよ、お前?」
「兄ちゃんもこの子目当てか?」
ニタニタと笑う2人組。
「お前らと一緒にすんな。早くその汚ぇ手離しやがれ」
翔は金髪の右手首を掴み、愛から離させた。
「くそっ! 覚えてろ! 行くぞ!」
「あっ、待てよ」
そう言い残すと、2人組はそのまま去って行った。
「愛、ごめんな。大丈夫だったか?」
翔は愛の前でしゃがみこみ優しく問いかける。
「……っ、こ……怖かった。翔、助けてくれてありがとう」
「どこも怪我してないか? 手痛くない?」
「だ、大丈夫……」
「そっか。……あ、飯食えるか? 出来たみたいだ」
翔のズボンのポケットから呼び出しベルが鳴り響いた。
「食べれる。あたしも一緒に取りに行っていい?」
「ああ、行こう」
2人で店内へ取りに行くことになった。
***
「美味しかったー!」
食事を終え、フードコートを出た2人。
愛は満腹で少し膨れたお腹を摩った。
「美味かったな。愛のオムライスめちゃくちゃふわふわだったもんな」
「そうなの! ふわふわでトロトロで美味しかった! 翔の味噌ラーメンも美味しかったね」
「ああ。愛、人のめちゃくちゃ食べるもんな」
「だって、美味しかったんだもん」
楽しそうに笑い合う2人。
愛はこの後行く場所も忘れ、楽しそうにしていた。
「よし、行くか」
「あれ? どこ行くんだっけ?」
「さっき言っただろ?」
「えっ……」
翔は右手で愛の左手首を掴むと目的の場所へと向かった。
「あー! わ、忘れてた……。お化け屋敷……」
恐怖を感じさせるような看板を見て、愛は思い出したようだ。
これから入るであろう場所を──
「ありがとう」
そこは屋外でも食べられるようテラス席も用意されていた。
その一角に愛を座らせると翔は店内へ入って行った。
「(なんであたしなんだろう? 他にも可愛い子いっぱいいるのに……。それに今まで翔が付き合ってきたこと違いすぎるし……。ずっと幼なじみだと思ってたんだけどな……って、あたし最近翔のことばっかり考えてる気がする)」
翔の後ろ姿を見つめながら愛はそんなことを考えていた。
翔の思惑通り、愛の頭の中はすでに翔でいっぱいだ。
「ねえねえ、お姉さん1人?」
「俺らと遊ばない?」
翔を待っている愛に声をかけた2人の男。
金髪と茶髪の2人組。
2人とも耳にはたくさんのピアスが付いていた。
「(な、なにこれ。あたしに話しかけてるの? どうしたらいいの。無視? 無視していいかな?)」
愛は俯いたまま顔も上げられずにいた。
「お姉さんシカトはよくないよ?」
「そうだよ! 俺らと遊ぼうぜ!」
「(や、やっぱりあたしに話しかけてたのか……。無視はよくない……)」
「す、すいません。人を待っているので……」
愛は意を決して顔を上げ、口を開く。
「え? なに? なんて言った?」
「お姉さん聞こえないよ」
だが、恐怖からかそれは相手にほとんど届いていなかった。
「お姉さん、ほら行こう」
2人組の1人、金髪がさらに詰め寄る。
「い、いやっ……!」
愛の瞳には薄らと涙が浮かんでいた。
***
注文を終えた翔が店内から出てくると、その目に飛び込んできたのは──
愛に詰め寄る2人組の男。
その内の1人は愛の左手首を掴んでいた。
「愛っ! おい! てめぇら何やってんだよ!!」
翔は注文の際に受け取った呼び出しベルをズボンのポケットにしまうと、走り出した。
「なんだよ、お前?」
「兄ちゃんもこの子目当てか?」
ニタニタと笑う2人組。
「お前らと一緒にすんな。早くその汚ぇ手離しやがれ」
翔は金髪の右手首を掴み、愛から離させた。
「くそっ! 覚えてろ! 行くぞ!」
「あっ、待てよ」
そう言い残すと、2人組はそのまま去って行った。
「愛、ごめんな。大丈夫だったか?」
翔は愛の前でしゃがみこみ優しく問いかける。
「……っ、こ……怖かった。翔、助けてくれてありがとう」
「どこも怪我してないか? 手痛くない?」
「だ、大丈夫……」
「そっか。……あ、飯食えるか? 出来たみたいだ」
翔のズボンのポケットから呼び出しベルが鳴り響いた。
「食べれる。あたしも一緒に取りに行っていい?」
「ああ、行こう」
2人で店内へ取りに行くことになった。
***
「美味しかったー!」
食事を終え、フードコートを出た2人。
愛は満腹で少し膨れたお腹を摩った。
「美味かったな。愛のオムライスめちゃくちゃふわふわだったもんな」
「そうなの! ふわふわでトロトロで美味しかった! 翔の味噌ラーメンも美味しかったね」
「ああ。愛、人のめちゃくちゃ食べるもんな」
「だって、美味しかったんだもん」
楽しそうに笑い合う2人。
愛はこの後行く場所も忘れ、楽しそうにしていた。
「よし、行くか」
「あれ? どこ行くんだっけ?」
「さっき言っただろ?」
「えっ……」
翔は右手で愛の左手首を掴むと目的の場所へと向かった。
「あー! わ、忘れてた……。お化け屋敷……」
恐怖を感じさせるような看板を見て、愛は思い出したようだ。
これから入るであろう場所を──
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