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第12話 イルカショー
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***
「おはよう」
「はよう。……可愛いじゃん」
愛がドアを開けると、隣の家の玄関に設置されている階段に翔が腰掛けていた。
翔は愛の姿を見るなり立ち上がり、ズボンのおしりに付いた砂埃を手で払い除けた。
「ありがとう……」
翔の言葉に愛は顔を真っ赤に染めた。
「よし行くか」
「うん!」
付き合ってから初めての土曜日。
どちらからともなく、手を繋ぎ歩き始める。
歩くたび、愛のフレアスカートがヒラヒラと揺れていた。
「え……だ、大丈夫? 見られてない?」
心配そうな面持ちで後ろを振り返る愛。
「見られたら、正直に言えば良くないか?」
「そうだけど……なんか、照れるね」
2人が付き合い始めたことは、お互いの両親には秘密にしている。
だが、顔を見合わせればデレデレしている2人。
すぐにバレそうなものだ。
「楽しみだね! 水族館!」
「ああ。久々だな」
「あたしイルカショー見たい!」
「そうだな。なんかふれあいコーナーもあるらしい」
スマホでこれから行く水族館の情報を調べる翔。
「ふれあい? 何触れるの?」
翔の言葉に愛の顔が途端に明るくなる。
「サメ」
「サメ! 触って大丈夫なやつ?」
「ふれあいコーナーにいるんだから大丈夫なやつだろ?」
「そうだね! 楽しみー!」
本日2人がデートで向かうのは水族館。
***
電車を乗り継ぎ、水族館に到着した2人はチケットを購入し、館内へ。
「すっごい! 魚がいっぱい!」
入口を進むと照明が落ち、まるで海の中にいるような空間だ。
まず目に入るのが、大きな水槽だ。
その中には大量のイワシが群れになり、渦を巻いていた。
「すげぇ……美味そうだな」
「やめてー! 食べないでよ」
「本気にすんなよ」
翔は愛の頭を手でワシャワシャとした。
「せっかく髪の毛巻いてきたのに……」
愛はボサボサにされた髪の毛を整えつつも毛先を見つめた。
「悪ぃ……ボサボサでも可愛いよ」
「ボサボサって言った! 誰のせいだと思ってるのよ!」
不機嫌そうに足音を立てた愛は、翔から離れ一人歩き出す。
「ごめん……怒った?」
「怒んないよ。あ、イルカショーもう少しで始まるみたいだよ。行こう!」
「あ、ああ」
何事もなかったかのように話し出す愛に、翔は戸惑いながらもその後に続く。
***
「イルカショー凄かったね!」
「凄かったな。あれは、一番前に座んなくて正解だったな」
「そしたら今頃、あたし達びしょ濡れだね」
イルカショーを見終えた2人は互いに感想を言い合っていた。
翔と愛が座ったのは4列目辺りだったが、多少の水しぶきはかかった。
1列目に座る観客は雨がっぱを着るほどだ。
そういった物を持ち合わせていなかった2人が最前席に座ったらびしょ濡れになることは容易に想像できる。
ショーはイルカ3頭により行われた。
イルカがスイスイ泳いだり、輪をくぐったり、ジャンプし天井に吊るされているボールに口先を当てたりと大迫力だった。
「おはよう」
「はよう。……可愛いじゃん」
愛がドアを開けると、隣の家の玄関に設置されている階段に翔が腰掛けていた。
翔は愛の姿を見るなり立ち上がり、ズボンのおしりに付いた砂埃を手で払い除けた。
「ありがとう……」
翔の言葉に愛は顔を真っ赤に染めた。
「よし行くか」
「うん!」
付き合ってから初めての土曜日。
どちらからともなく、手を繋ぎ歩き始める。
歩くたび、愛のフレアスカートがヒラヒラと揺れていた。
「え……だ、大丈夫? 見られてない?」
心配そうな面持ちで後ろを振り返る愛。
「見られたら、正直に言えば良くないか?」
「そうだけど……なんか、照れるね」
2人が付き合い始めたことは、お互いの両親には秘密にしている。
だが、顔を見合わせればデレデレしている2人。
すぐにバレそうなものだ。
「楽しみだね! 水族館!」
「ああ。久々だな」
「あたしイルカショー見たい!」
「そうだな。なんかふれあいコーナーもあるらしい」
スマホでこれから行く水族館の情報を調べる翔。
「ふれあい? 何触れるの?」
翔の言葉に愛の顔が途端に明るくなる。
「サメ」
「サメ! 触って大丈夫なやつ?」
「ふれあいコーナーにいるんだから大丈夫なやつだろ?」
「そうだね! 楽しみー!」
本日2人がデートで向かうのは水族館。
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電車を乗り継ぎ、水族館に到着した2人はチケットを購入し、館内へ。
「すっごい! 魚がいっぱい!」
入口を進むと照明が落ち、まるで海の中にいるような空間だ。
まず目に入るのが、大きな水槽だ。
その中には大量のイワシが群れになり、渦を巻いていた。
「すげぇ……美味そうだな」
「やめてー! 食べないでよ」
「本気にすんなよ」
翔は愛の頭を手でワシャワシャとした。
「せっかく髪の毛巻いてきたのに……」
愛はボサボサにされた髪の毛を整えつつも毛先を見つめた。
「悪ぃ……ボサボサでも可愛いよ」
「ボサボサって言った! 誰のせいだと思ってるのよ!」
不機嫌そうに足音を立てた愛は、翔から離れ一人歩き出す。
「ごめん……怒った?」
「怒んないよ。あ、イルカショーもう少しで始まるみたいだよ。行こう!」
「あ、ああ」
何事もなかったかのように話し出す愛に、翔は戸惑いながらもその後に続く。
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「イルカショー凄かったね!」
「凄かったな。あれは、一番前に座んなくて正解だったな」
「そしたら今頃、あたし達びしょ濡れだね」
イルカショーを見終えた2人は互いに感想を言い合っていた。
翔と愛が座ったのは4列目辺りだったが、多少の水しぶきはかかった。
1列目に座る観客は雨がっぱを着るほどだ。
そういった物を持ち合わせていなかった2人が最前席に座ったらびしょ濡れになることは容易に想像できる。
ショーはイルカ3頭により行われた。
イルカがスイスイ泳いだり、輪をくぐったり、ジャンプし天井に吊るされているボールに口先を当てたりと大迫力だった。
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