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第11話 好きです
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握りこぶしを膝に置き、やや緊張した面持ちで翔は口を開く。
「きょ、今日はありがとうな」
「え、ううん。すっごい楽しかった!」
「なら、よかった。それでさ……」
愛の正面に座っていた翔は立ち上がる。
「ちょっ、ちょっと急に立ち上がらないでよ!」
そして、愛の隣に腰掛けた。
「近くで言いたかったから……」
「な、なに?」
「……何度も言ってるから分かってると思うけど、俺……愛のこと好きだよ。俺と付き合ってください。……返事聞かせてくれないか?」
翔は愛の目をしっかりと見つめた。
観覧車に乗り込んでから初めて視線が交わる。
「えーと……まず、ありがとう。なかなか返事出来なくてごめんね。翔に言われて色々考えたんだ。それも、もう翔のことしか考えられないくらいに」
「(え、待ってこんな事を言いたいんじゃない。てか、ずっと考えてたって恥ずかしすぎる)」
愛は翔から視線を外す、恥ずかしさからか喋るスピードが早くなっていたのが自分でも分かるほどだ。
「えっ……」
「ほんとどうしてくれるの? どこで何してても翔の事が頭から離れないっ! ドキドキして心臓は痛いし。ずーと翔とは幼なじみだと思ってたんだけどな……」
「(これでもない。あたしが言いたかったのはたった一言……)」
本当に言いたいことは言えず、余計な事だけが口から吐き出される。
「……」
ぽかんとした顔の翔はただ愛を見つめることしか出来なかった。
一瞬、シーンとした空気が流れる。
その間も観覧車のゴンドラはゆっくり回り続ける。
「翔、あたしも……す、好きです」
「(これを言いたかっただけなのに……なんで余計なことまで言っちゃったんだろ?)
「あ、愛……ほ、ほんとにいいのか?」
信じられないと顔をした翔が問いかける。
「逆にあたしでいいの? 最近別れたばっかりだし。なんか軽くない?」
別れてからまだ1ヶ月も経っていない。
次に切り替えるのが早すぎではないか、愛はそれだけが気がかりだった。
「軽くねえ。てか、愛がいいの。お前じゃなきゃダメなんだよ」
「翔……」
頂上で重なる唇。
***
「優菜! おはよう!」
「おはよう。今日はやけにテンションが高いわね。いいことでもあったの?」
次の日、大学近くの最寄り駅にて──
優菜の姿が見えると嬉しそうに笑顔を見せた愛。
「えっ……! わ、わかる?」
愛は驚き歩く足を一瞬止めた。
「愛は顔と態度に出やすいからわかりやすいわね。行くわよ」
優菜はそう言うとクスッと笑った。
「う、うん。そうなんだ……」
「で、なにがあったの?」
「あのね……実は彼氏ができたのっ!」
「へぇ、やっと付き合ったのね、あなた達」
嬉しそうに答えた愛に対し、優菜はどこかホッとしたような表情を浮かべていた。
「え? あたしまだ誰とは言ってないけど」
「言わなくても分かるわよ。香月くんでしょ?」
「せ、正解……なんで分かったの?」
愛は驚き目をパチクリさせた。
「高校の時からあなた達見てたら分かるわよ。明らかに香月くん愛のこと好きだったしね」
「そ、そうだったんだ」
「(それは知らなかったな……)」
「あ、言い忘れてたわ。愛おめでとう」
「優菜ありがとう!」
お互い目くばせしながら、嬉しそうに笑いあっていた。
「あ、そうそう。聞いた?」
大学の校舎が見えてきた頃、優菜は思い出したかのように、口を開く。
「なにが?」
「あーやん、子供できたみたいよ」
「え! そうなの? あーやんって高校の時一緒だった……」
あーやんとは高校から友達で翔を含めた4人で遊んでいた。
「そのあーやん」
「そうなんだ。あーやんもママか」
「皆変わっていくわね」
どこか悲しそうに呟く優菜。
「みんな?」
「愛は彼氏が出来て、あーやんもお母さんに……私は何も変わってないわ」
「そんなことない! 大学生はこれからだよ! 楽しもう!」
「そうね」
そう答えた優菜の表情は先程とは打って変わって明るくなっていた。
「きょ、今日はありがとうな」
「え、ううん。すっごい楽しかった!」
「なら、よかった。それでさ……」
愛の正面に座っていた翔は立ち上がる。
「ちょっ、ちょっと急に立ち上がらないでよ!」
そして、愛の隣に腰掛けた。
「近くで言いたかったから……」
「な、なに?」
「……何度も言ってるから分かってると思うけど、俺……愛のこと好きだよ。俺と付き合ってください。……返事聞かせてくれないか?」
翔は愛の目をしっかりと見つめた。
観覧車に乗り込んでから初めて視線が交わる。
「えーと……まず、ありがとう。なかなか返事出来なくてごめんね。翔に言われて色々考えたんだ。それも、もう翔のことしか考えられないくらいに」
「(え、待ってこんな事を言いたいんじゃない。てか、ずっと考えてたって恥ずかしすぎる)」
愛は翔から視線を外す、恥ずかしさからか喋るスピードが早くなっていたのが自分でも分かるほどだ。
「えっ……」
「ほんとどうしてくれるの? どこで何してても翔の事が頭から離れないっ! ドキドキして心臓は痛いし。ずーと翔とは幼なじみだと思ってたんだけどな……」
「(これでもない。あたしが言いたかったのはたった一言……)」
本当に言いたいことは言えず、余計な事だけが口から吐き出される。
「……」
ぽかんとした顔の翔はただ愛を見つめることしか出来なかった。
一瞬、シーンとした空気が流れる。
その間も観覧車のゴンドラはゆっくり回り続ける。
「翔、あたしも……す、好きです」
「(これを言いたかっただけなのに……なんで余計なことまで言っちゃったんだろ?)
「あ、愛……ほ、ほんとにいいのか?」
信じられないと顔をした翔が問いかける。
「逆にあたしでいいの? 最近別れたばっかりだし。なんか軽くない?」
別れてからまだ1ヶ月も経っていない。
次に切り替えるのが早すぎではないか、愛はそれだけが気がかりだった。
「軽くねえ。てか、愛がいいの。お前じゃなきゃダメなんだよ」
「翔……」
頂上で重なる唇。
***
「優菜! おはよう!」
「おはよう。今日はやけにテンションが高いわね。いいことでもあったの?」
次の日、大学近くの最寄り駅にて──
優菜の姿が見えると嬉しそうに笑顔を見せた愛。
「えっ……! わ、わかる?」
愛は驚き歩く足を一瞬止めた。
「愛は顔と態度に出やすいからわかりやすいわね。行くわよ」
優菜はそう言うとクスッと笑った。
「う、うん。そうなんだ……」
「で、なにがあったの?」
「あのね……実は彼氏ができたのっ!」
「へぇ、やっと付き合ったのね、あなた達」
嬉しそうに答えた愛に対し、優菜はどこかホッとしたような表情を浮かべていた。
「え? あたしまだ誰とは言ってないけど」
「言わなくても分かるわよ。香月くんでしょ?」
「せ、正解……なんで分かったの?」
愛は驚き目をパチクリさせた。
「高校の時からあなた達見てたら分かるわよ。明らかに香月くん愛のこと好きだったしね」
「そ、そうだったんだ」
「(それは知らなかったな……)」
「あ、言い忘れてたわ。愛おめでとう」
「優菜ありがとう!」
お互い目くばせしながら、嬉しそうに笑いあっていた。
「あ、そうそう。聞いた?」
大学の校舎が見えてきた頃、優菜は思い出したかのように、口を開く。
「なにが?」
「あーやん、子供できたみたいよ」
「え! そうなの? あーやんって高校の時一緒だった……」
あーやんとは高校から友達で翔を含めた4人で遊んでいた。
「そのあーやん」
「そうなんだ。あーやんもママか」
「皆変わっていくわね」
どこか悲しそうに呟く優菜。
「みんな?」
「愛は彼氏が出来て、あーやんもお母さんに……私は何も変わってないわ」
「そんなことない! 大学生はこれからだよ! 楽しもう!」
「そうね」
そう答えた優菜の表情は先程とは打って変わって明るくなっていた。
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