舞桜~龍華10代目総長~

織山青沙

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第6話 白狼

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「……い、おい」

隣にいる蓮に肩を揺すられ何度も呼ばれていたことに気づく葵。

「あ、ごめん。なに?」
「お前、見すぎ。竜さんかっこいいからな」

そう言う蓮の横顔はどこか誇らしげだった。

「え?」
「違うのか?」
「綺麗な金髪だなと思っただけ」
「あーそう」

蓮は何言ってんだこいつみたいな顔をしていた。

「あーえっと紹介します。俺らと同じ学校の1年で西山葵っす」

そして、2人に葵を紹介した。

「で、なんでその女がここにいんだよ! 
あ、俺に絶対近づくなよ!」

銀髪が威圧感を出し、

「俺は柏木竜(カシワギ リュウ)。こいつが福原楓(フクハラ カエデ)2年だ」

金髪は淡々と自己紹介をした。

「(なんかみんな自由だな……。この感じ懐かしい)」

そんな中、葵は昔を思い出し微笑んだ。

「おい、女! 何笑ってやがる」
「面白いなって思っただけ。楓は女の子嫌いなの?」
「俺に話しかけんじゃねえよ!」

いたずらっ子のような表情をした葵に対し、楓は全身から怒りを露わにしていた。

「えーと。今日から俺たちでこいつを護ることになりました」
「は? 聞いてねぇぞ」

蓮の言葉に楓は眉間に皺を寄せる。

「えっと……一応竜さんの許可は得て……ます……」

蓮は楓の殺気に耐えきれなかったのか語尾は小さく聞き取りずらかった。

「わりぃ。あいつらに言われて許可した。会うのは初めてだけどな」
「(なるほど……蓮達が頼み込んだか、なんかしたってことか。竜の許可が必要ってことは上に立つ人間。総長ってとこかな?)」

蓮と竜達のやり取りを見ていた葵はおおかた予想をたてた。

「おい、女。決まったもんはしょうがねぇけど、絶対俺に近づくなよ!」
「(あ、あたしが守られることはいいんだ)」
「……わかった。近づかないよ」

指をさして命令してくる楓に対し、葵は至って冷静だった。

「俺らは白狼(ハクロウ)、暴走族だ。知ってるか?」

突然口を開く竜。

目線は葵に向けられており、自分に話しかけているんだと理解した。

「……聞いたことはある」
「(白狼……たしか、前に助けた覚えがある。あの時の金髪が竜か……。
だから竜もこの場所も見たことあったんだな。こいつらにあたしの正体がバレる訳にはいかないけど、とりあえず敵対してるとこじゃなくてよかった)」

竜達が龍華の敵対している暴走族では無いことが分かり葵は安堵した。


葵が竜を助けた出来事はもう少し先のお話──

「俺が白狼の総長だ。楓が副総長。
他ここにいる3人が幹部。この5人は信用できるから安心しろ」

竜は淡々と話していく。

「……わかった」
「(やっぱり竜が総長なのは当たったな。でも、楓副総長なのは意外……)」

葵が予想を立てた通り、竜は上に立つ人間、総長だった。


そして、この部屋に入れるのは限られた人だけ。幹部以上の人間が入れることになっている。

楓が副総長だったのは予想外だったようだ。

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