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第7話 下っ端くん
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「し、失礼します! 下に来てください! 仲間が襲われました!」
バタバタと階段を駆け上がる音がしたと思えばドアが勢いよく開けられた。
そこに居たのは短い茶髪の毛がツンツンとしているのが印象的な目付きの悪い男。
「杏介なにがあった」
竜に杏介と呼ばれた男は下っ端のリーダーで富田杏介(トミタ キョウスケ)。
「恐らく黒豹(クロヒョウ)の奴らかと」
「……行くぞ。お前はここで待ってろ」
竜は黒豹と聞いた瞬間、眉間に皺を寄せ、葵に待ってる様、釘を刺すと立ち上がりドアへ向かった。
「……わかった」
「……っ! 女? と、とりあえず急いで来てください!」
葵の声を聞き、ここで初めてこの部屋に女がいることを知った杏介。
そして、杏介を先頭に階段を降りて行く。
「(はぁ……。あたしは留守番か。
まあ、見ず知らずの女を連れてく訳ないよね)」
葵は竜達が出て行ったドアを寂しそうな眼差しで見つめていた。
「(黒豹……。あまりいい噂は聞かないな。薬にレイプなど何でもやり放題な族だった気がする)」
白狼と黒豹は敵対している……というよりも、黒豹のように薬やレイプをやっているような暴走族を潰している。
それは龍華も同じだった──
「(凄い音だな……。鉄パイプか?
白狼はたしか龍華の次に強い族だったはずだから大丈夫だよね?)」
部屋の外からは何かを引きずる音、金属音などが聞こえ騒がしかった。
「(なんで、あたしここにいるんだろ。
もう暴走族とは関わらないって決めたのに……。誰も失いたくない。だから仲間なんかいらない……)」
葵は靴を脱ぐとソファーに両足を乗せ体育座りをし、膝と膝の間に顔を埋めた。
先程まで3人掛けのソファーに3人で座っていた。
そのソファーに1人で座るにはとても広く感じる。
「終わったぞー!」
暫くすると、妙にテンションの高い蓮が嬉しそうにドアを開けた。
「……あ、おかえり」
あまりにも暇すぎて寝てしまった葵は寝ぼけた顔を上げた。
「葵ちゃん! ごめんね。怖かったよね?」
蓮とドアの間をすり抜けて来たのは日向だった。
「いや、多分こいつは……」
「もう、終わったから安心してね!」
「だから、こいつは……」
「僕達が守るから葵ちゃんは何も心配いらないからね!」
蓮の言葉は2度も日向に遮られた。
「……もういいや」
「ん? 蓮さっきからなにか言おうとしてた?」
「いや、なんでもねえ」
そして、話すことを諦めた蓮。
そんなやり取りに葵はクスッと笑っていた。
恐らく蓮は分かっていた。
葵が怖くて縮こまっていたのではなく、寝ていた所を。
なぜなら、葵は顔を上げた際にあくびをしていたから。その瞬間を蓮に目撃されていた。
「あ、お前そろそろ帰るか? 親御さん心配するだろうし」
「あー帰っていいなら帰るけど」
「葵! 竜さんには敬語使えよ! 年上なんだから」
蓮に竜への言葉使いを指摘された葵。
「あ、ごめん。あたし1回留年してるから歳は一緒」
「は?」
「えっ! 葵ちゃん年上なの?」
「へえ」
「別に敬語じゃなくていい」
「……」
葵が年上なのを知った一同は驚き声をあげた。
「だからあたしは敬語使わないからよろしく。じゃあね」
「お、おい。どこ行くんだよ」
背を向ける葵に蓮は声をかけた。
「どこって帰るんだけど……」
「蓮に送らせるから勝手に帰んな」
「え、竜さん……俺っすか?」
「ああ」
「分かりました。行くぞ」
竜に命令されれば、蓮は断ることは出来ず葵を送ることに。
「あ、うん。さようなら」
葵はぺこりと頭を下げると蓮の後に続き部屋を出た。
バタバタと階段を駆け上がる音がしたと思えばドアが勢いよく開けられた。
そこに居たのは短い茶髪の毛がツンツンとしているのが印象的な目付きの悪い男。
「杏介なにがあった」
竜に杏介と呼ばれた男は下っ端のリーダーで富田杏介(トミタ キョウスケ)。
「恐らく黒豹(クロヒョウ)の奴らかと」
「……行くぞ。お前はここで待ってろ」
竜は黒豹と聞いた瞬間、眉間に皺を寄せ、葵に待ってる様、釘を刺すと立ち上がりドアへ向かった。
「……わかった」
「……っ! 女? と、とりあえず急いで来てください!」
葵の声を聞き、ここで初めてこの部屋に女がいることを知った杏介。
そして、杏介を先頭に階段を降りて行く。
「(はぁ……。あたしは留守番か。
まあ、見ず知らずの女を連れてく訳ないよね)」
葵は竜達が出て行ったドアを寂しそうな眼差しで見つめていた。
「(黒豹……。あまりいい噂は聞かないな。薬にレイプなど何でもやり放題な族だった気がする)」
白狼と黒豹は敵対している……というよりも、黒豹のように薬やレイプをやっているような暴走族を潰している。
それは龍華も同じだった──
「(凄い音だな……。鉄パイプか?
白狼はたしか龍華の次に強い族だったはずだから大丈夫だよね?)」
部屋の外からは何かを引きずる音、金属音などが聞こえ騒がしかった。
「(なんで、あたしここにいるんだろ。
もう暴走族とは関わらないって決めたのに……。誰も失いたくない。だから仲間なんかいらない……)」
葵は靴を脱ぐとソファーに両足を乗せ体育座りをし、膝と膝の間に顔を埋めた。
先程まで3人掛けのソファーに3人で座っていた。
そのソファーに1人で座るにはとても広く感じる。
「終わったぞー!」
暫くすると、妙にテンションの高い蓮が嬉しそうにドアを開けた。
「……あ、おかえり」
あまりにも暇すぎて寝てしまった葵は寝ぼけた顔を上げた。
「葵ちゃん! ごめんね。怖かったよね?」
蓮とドアの間をすり抜けて来たのは日向だった。
「いや、多分こいつは……」
「もう、終わったから安心してね!」
「だから、こいつは……」
「僕達が守るから葵ちゃんは何も心配いらないからね!」
蓮の言葉は2度も日向に遮られた。
「……もういいや」
「ん? 蓮さっきからなにか言おうとしてた?」
「いや、なんでもねえ」
そして、話すことを諦めた蓮。
そんなやり取りに葵はクスッと笑っていた。
恐らく蓮は分かっていた。
葵が怖くて縮こまっていたのではなく、寝ていた所を。
なぜなら、葵は顔を上げた際にあくびをしていたから。その瞬間を蓮に目撃されていた。
「あ、お前そろそろ帰るか? 親御さん心配するだろうし」
「あー帰っていいなら帰るけど」
「葵! 竜さんには敬語使えよ! 年上なんだから」
蓮に竜への言葉使いを指摘された葵。
「あ、ごめん。あたし1回留年してるから歳は一緒」
「は?」
「えっ! 葵ちゃん年上なの?」
「へえ」
「別に敬語じゃなくていい」
「……」
葵が年上なのを知った一同は驚き声をあげた。
「だからあたしは敬語使わないからよろしく。じゃあね」
「お、おい。どこ行くんだよ」
背を向ける葵に蓮は声をかけた。
「どこって帰るんだけど……」
「蓮に送らせるから勝手に帰んな」
「え、竜さん……俺っすか?」
「ああ」
「分かりました。行くぞ」
竜に命令されれば、蓮は断ることは出来ず葵を送ることに。
「あ、うん。さようなら」
葵はぺこりと頭を下げると蓮の後に続き部屋を出た。
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