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第22話 お化け屋敷と楓②
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※ホラー要素を含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
少しすると足音共に葵の左腕を誰かが掴んだ。
「やっぱり怖かったん……。あ、離してもらっていいですかね?」
葵の腕を掴んだのは先程、鏡に写っていた白塗りの女性だ。
葵の腕を引っ張り引き返そうとする。
「なに?」
不思議に思った葵は引っ張られるまま引き返した。
そして、その女性が指さした先にいたのは──
「え、楓! 大丈夫?」
恐怖から腰を抜かしたのかしゃがみ込んだ楓の姿があった。
「大丈夫? 立てる?ごめん、触れるよ」
葵はそう言うと、楓の腕を自分の肩にかけ、立ち上がらせた。
「悪い……」
申し訳なさそうな声を出す楓。
「大丈夫だよ。お化け屋敷は入ったことあるの?」
「……ない」
「そっか」
葵はそのまま出口付近まで楓を連れて歩いた。
お化けも何か察したのか、元々なのか脅かされることはなかった。
最後の暗幕を抜けるとお墓が設置されていた。
「受付で言われたのはこの箱か」
お墓の横には木箱が設置され、中には数枚の御札が入っている。
葵もその中に御札を入れる。
「なにも、起こらないのか。楓、ここ抜けたら出口だけど、どうする?」
葵は口には出さなかったが、"このまま抜けるとみんなに見られるけど大丈夫? "という意味も含まれていたに違いない。
「ありがとう……」
楓は葵から離れると頬を数回叩き、暗幕に手をかける。
そして、2人同時に暗幕を抜けた。
今まで暗闇の中にいた為、外の明るさに目が眩む。
「あ、出てきた! 大丈夫だった?」
「大丈夫だったよ」
日向の問いかけに平然と答える葵。
楓はどこか居心地が悪そうな雰囲気だ。
「蓮の叫び声は良く聞こえたよ」
葵はいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「う、うるせー! 怖かったんだからしょうがねぇだろ!」
蓮は恥ずかしさからか顔を真っ赤にしながら声を荒らげた。
「まあ、確かに……鏡に真っ白な顔した女の人が映ったときはちょっと怖かったかもな」
「鏡? 何だそれ。柚佑達の方はあったか?」
「俺たちのところもなかったけど」
「え……」
葵と楓が見た真っ白な顔の女性は蓮と柚佑の2組とも目撃していないことが発覚した。
葵は驚き言葉を失う。
楓は近くのベンチに腰掛けていた為、耳には入っていない。
「どこで見たんだよ。それ」
「途中で左曲がった所。暗幕抜けた正面に鏡あったでしょ? そこに3人映った」
「鏡あったけど、俺と日向しか映ってねぇよ」
「うん。俺たちも竜さんと2人しか……」
蓮も柚佑も見ていないという。
だが──
「見た。顔面真っ白な髪の長い奴」
竜が突然ポツリと呟く。
「ほんとに!? よかった。見間違えじゃなかったん──」
「いや、喜ぶ所か? 多分それ本物だぞ」
喜ぶ葵をよそに言葉を遮ったのは蓮だ。
「本物……。ああ、たまに出るっていうからね。まあ、嘘じゃないことがわかったから次行こう」
これ以上は楓に聞こえそうだと思った葵は話を逸らす。
「(でも、確かに手の感触はあったから本物じゃないと思うんだけどな……)」
お化け屋敷に出た女性が本物かどうかは分からずじまいとなった。
それは楓の耳に入ることはなかった。
少しすると足音共に葵の左腕を誰かが掴んだ。
「やっぱり怖かったん……。あ、離してもらっていいですかね?」
葵の腕を掴んだのは先程、鏡に写っていた白塗りの女性だ。
葵の腕を引っ張り引き返そうとする。
「なに?」
不思議に思った葵は引っ張られるまま引き返した。
そして、その女性が指さした先にいたのは──
「え、楓! 大丈夫?」
恐怖から腰を抜かしたのかしゃがみ込んだ楓の姿があった。
「大丈夫? 立てる?ごめん、触れるよ」
葵はそう言うと、楓の腕を自分の肩にかけ、立ち上がらせた。
「悪い……」
申し訳なさそうな声を出す楓。
「大丈夫だよ。お化け屋敷は入ったことあるの?」
「……ない」
「そっか」
葵はそのまま出口付近まで楓を連れて歩いた。
お化けも何か察したのか、元々なのか脅かされることはなかった。
最後の暗幕を抜けるとお墓が設置されていた。
「受付で言われたのはこの箱か」
お墓の横には木箱が設置され、中には数枚の御札が入っている。
葵もその中に御札を入れる。
「なにも、起こらないのか。楓、ここ抜けたら出口だけど、どうする?」
葵は口には出さなかったが、"このまま抜けるとみんなに見られるけど大丈夫? "という意味も含まれていたに違いない。
「ありがとう……」
楓は葵から離れると頬を数回叩き、暗幕に手をかける。
そして、2人同時に暗幕を抜けた。
今まで暗闇の中にいた為、外の明るさに目が眩む。
「あ、出てきた! 大丈夫だった?」
「大丈夫だったよ」
日向の問いかけに平然と答える葵。
楓はどこか居心地が悪そうな雰囲気だ。
「蓮の叫び声は良く聞こえたよ」
葵はいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「う、うるせー! 怖かったんだからしょうがねぇだろ!」
蓮は恥ずかしさからか顔を真っ赤にしながら声を荒らげた。
「まあ、確かに……鏡に真っ白な顔した女の人が映ったときはちょっと怖かったかもな」
「鏡? 何だそれ。柚佑達の方はあったか?」
「俺たちのところもなかったけど」
「え……」
葵と楓が見た真っ白な顔の女性は蓮と柚佑の2組とも目撃していないことが発覚した。
葵は驚き言葉を失う。
楓は近くのベンチに腰掛けていた為、耳には入っていない。
「どこで見たんだよ。それ」
「途中で左曲がった所。暗幕抜けた正面に鏡あったでしょ? そこに3人映った」
「鏡あったけど、俺と日向しか映ってねぇよ」
「うん。俺たちも竜さんと2人しか……」
蓮も柚佑も見ていないという。
だが──
「見た。顔面真っ白な髪の長い奴」
竜が突然ポツリと呟く。
「ほんとに!? よかった。見間違えじゃなかったん──」
「いや、喜ぶ所か? 多分それ本物だぞ」
喜ぶ葵をよそに言葉を遮ったのは蓮だ。
「本物……。ああ、たまに出るっていうからね。まあ、嘘じゃないことがわかったから次行こう」
これ以上は楓に聞こえそうだと思った葵は話を逸らす。
「(でも、確かに手の感触はあったから本物じゃないと思うんだけどな……)」
お化け屋敷に出た女性が本物かどうかは分からずじまいとなった。
それは楓の耳に入ることはなかった。
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