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第27話 バーベキュー
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「葵ちゃん外行こう!」
「外? なにするの?」
「行ってからのお楽しみ」
夏休みも中盤に差し掛かった頃、日向は嬉しそうに笑みを浮かべながら葵を外に連れ出した。
階段を降り、倉庫を出ると何やら騒がしい。
「(なんだ?)」
葵は不思議に思い首を傾ける。
「竜さん、無理です。変わってください」
蓮は申し訳なさそうに何かを竜に託していた。
「ああ」
竜はそれを受け取ると慣れた手つきで何かを行う。
竜の手元からは次第に煙と共に赤い炎が見えてくる。
「おぉ! 付いた! 竜さんありがとうございます!」
蓮は嬉しそうに礼を伝えると、
「ああ」
ぶっきらぼうに答える竜。
「あっ! 日向と葵も早く来いよ! バーベキューするぞ!」
日向と葵の姿に気づいた蓮が声を上げる。
本日は白狼総勢でバーベキューだ。
倉庫の前にはバーベキュー用のコンロが3つ等間隔に設置されていた。
2台は下っ端が次々と肉などを焼いていた。
もう1台のコンロの前には蓮が立ち、肉や野菜などを焼き始めていた。
「美味しそう」
葵はコンロの上に焼かれた肉の香ばしい匂いに釣られ蓮の前に行く。
そして、鼻から息を吸うと匂いを堪能した。
「(いい匂い。バーベキューなんて久々だな)」
懐かしさに頬を緩める葵。
「食べるか?」
「ありがとう」
蓮から紙皿と割り箸を受け取る。
その中には肉や野菜が均等に入れられていた。
近くに設置されているテーブルには辛さの違うタレが3本置かれていた。
葵はその中の辛口を手に取ると肉や野菜にかける。
「うまっ!」
タレのついた肉や野菜を口に入れると頬をほころばせる。
「だろ! 俺が焼いたからな!」
そう言った蓮は得意気な顔をしていた。
「あ、あのっ! 俺らも焼いたのでよかったら食べてください!」
「お願いします!」
葵が肉を食べていると、肉と野菜が乗った紙皿を手に2人組の男がやってきた。
2人は紙皿の入った手を伸ばし、腰は90度近く曲げていた。
「……あ、ありがとう」
「杏介、柊(シュウ)そんな勢いよく渡したら流石の葵もびっくりするだろ」
若干引き気味で答えた葵を庇うかのように蓮が口を挟む。
肉を持ってきた2人組は白狼の下っ端だ。
向かって右にいるのが下っ端リーダーの杏介。
目付きが悪く、怖い印象を与えるがちゃんと話すのが初めてな葵に肉を分ける等、優しい一面もあるようだ。
杏介の隣にいるのが柊、緑色の髪の毛が特徴的だ。
「す、すいません!」
杏介と柊は声を揃え1度上げた頭を再度下げる。
「大丈夫だから。それより、肉冷めちゃう。もらっていい?」
葵は頭を下げる2人に優しく問いかける。
下っ端の2人に声をかけられたのが、余程嬉しかったのだろう。
その頬は緩んでいた。
「すいません。どうぞ」
「お願いします」
葵は杏介と柊が焼いた肉と野菜を皿に取り分け、口に運ぶ。
「ん、美味しい。杏介と柊の所もいい焼き具合じゃん」
葵に褒められたことが余程嬉しかったのだろう。
顔を見合わせた2人の頬は若干赤くなっていた。
「ありがとうございます!!」
2人は声を揃え礼を告げた。
「葵ちゃん外行こう!」
「外? なにするの?」
「行ってからのお楽しみ」
夏休みも中盤に差し掛かった頃、日向は嬉しそうに笑みを浮かべながら葵を外に連れ出した。
階段を降り、倉庫を出ると何やら騒がしい。
「(なんだ?)」
葵は不思議に思い首を傾ける。
「竜さん、無理です。変わってください」
蓮は申し訳なさそうに何かを竜に託していた。
「ああ」
竜はそれを受け取ると慣れた手つきで何かを行う。
竜の手元からは次第に煙と共に赤い炎が見えてくる。
「おぉ! 付いた! 竜さんありがとうございます!」
蓮は嬉しそうに礼を伝えると、
「ああ」
ぶっきらぼうに答える竜。
「あっ! 日向と葵も早く来いよ! バーベキューするぞ!」
日向と葵の姿に気づいた蓮が声を上げる。
本日は白狼総勢でバーベキューだ。
倉庫の前にはバーベキュー用のコンロが3つ等間隔に設置されていた。
2台は下っ端が次々と肉などを焼いていた。
もう1台のコンロの前には蓮が立ち、肉や野菜などを焼き始めていた。
「美味しそう」
葵はコンロの上に焼かれた肉の香ばしい匂いに釣られ蓮の前に行く。
そして、鼻から息を吸うと匂いを堪能した。
「(いい匂い。バーベキューなんて久々だな)」
懐かしさに頬を緩める葵。
「食べるか?」
「ありがとう」
蓮から紙皿と割り箸を受け取る。
その中には肉や野菜が均等に入れられていた。
近くに設置されているテーブルには辛さの違うタレが3本置かれていた。
葵はその中の辛口を手に取ると肉や野菜にかける。
「うまっ!」
タレのついた肉や野菜を口に入れると頬をほころばせる。
「だろ! 俺が焼いたからな!」
そう言った蓮は得意気な顔をしていた。
「あ、あのっ! 俺らも焼いたのでよかったら食べてください!」
「お願いします!」
葵が肉を食べていると、肉と野菜が乗った紙皿を手に2人組の男がやってきた。
2人は紙皿の入った手を伸ばし、腰は90度近く曲げていた。
「……あ、ありがとう」
「杏介、柊(シュウ)そんな勢いよく渡したら流石の葵もびっくりするだろ」
若干引き気味で答えた葵を庇うかのように蓮が口を挟む。
肉を持ってきた2人組は白狼の下っ端だ。
向かって右にいるのが下っ端リーダーの杏介。
目付きが悪く、怖い印象を与えるがちゃんと話すのが初めてな葵に肉を分ける等、優しい一面もあるようだ。
杏介の隣にいるのが柊、緑色の髪の毛が特徴的だ。
「す、すいません!」
杏介と柊は声を揃え1度上げた頭を再度下げる。
「大丈夫だから。それより、肉冷めちゃう。もらっていい?」
葵は頭を下げる2人に優しく問いかける。
下っ端の2人に声をかけられたのが、余程嬉しかったのだろう。
その頬は緩んでいた。
「すいません。どうぞ」
「お願いします」
葵は杏介と柊が焼いた肉と野菜を皿に取り分け、口に運ぶ。
「ん、美味しい。杏介と柊の所もいい焼き具合じゃん」
葵に褒められたことが余程嬉しかったのだろう。
顔を見合わせた2人の頬は若干赤くなっていた。
「ありがとうございます!!」
2人は声を揃え礼を告げた。
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