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第28話 水鉄砲
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「よかったな」
杏介と柊が居なくなると蓮が口を開いた。
「なにが?」
正面で肉を焼く蓮の言っている意味が分からず、問いかける葵。
「あいつらから肉もらっただろ? 葵のこと仲間だと思ったってことだろ?」
「まあ、嬉しかったけど……」
と、言葉を濁す葵。
俯く葵はそのまま肉を口に放り込んだ。
「素直じゃないな。そこは素直に喜べばいいだろ?」
「よほこんでる(喜んでる)」
葵は口の中に肉が残っている為、上手く喋れずにいた。
「へえ。ならいいや」
ある程度肉を焼き終えた蓮は自身の皿に肉を盛り食べ始める。
「ん、うめぇ!」
「(ほんとに美味しそうに食べるな……全て顔に出るから羨まし。あたしとは正反対だ)」
頬を綻ばせながら肉を頬張る蓮を葵は羨ましそうに見ていた。
「うわぁ! やめて!」
「こっち来るなよ」
「(なんだろ?)」
日向と柚佑声が聞こえ、視線を移す葵。
「あいつら何やってんだ?」
「さあ? あ、水鉄砲?」
蓮と葵は水鉄砲のようなものを持ちながら走り回る4人の男達を目で追っていた。
前を走るのは日向と柚佑。
その後ろを走るのが杏介と柊だ。
「下っ端くん達に負けてんじゃん」
「だな」
下っ端に追いかけられる幹部2人。
そんな様子を葵と蓮は笑いながら見ていた。
杏介と柊は手加減をせず水鉄砲の水をかけまくる。
日向と柚佑も反撃はするが逃げるので精一杯だ。
「なあ、なんか……あいつらこっちに……向かって来てないかっ!」
「来てるね! 肉が危ないから……とりあえず逃げる」
蓮の言った通り日向と柚佑の進行方向は葵達がいる方へ向かっていた。
このままでは肉やコンロに被害が出ると考えた2人は立ち上がり、走りだした。
「冷たっ! なんでこっちにかけてくんだよ!」
突然、背中になにかが当たったと思ったら、洋服を染みて肌に直接冷たさを感じる。
蓮はその冷たさから1度止まり振り返る。
「目の前にいたから?」
柚佑はそう言いのけた。
「お前な……俺と葵は焼肉食ってたんだよ。巻込むなよ」
「焼肉……でも楽しんでるみたいだけど」
柚佑は1度焼肉に視線を移した後、葵を見つめた。
そこには日向と杏介、柊と仲良く水鉄砲で遊ぶ葵の姿があった。
「なんなんだよ。ああいうの苦手じゃないのかよ」
不服そうに葵を見つめる蓮。
「不満?」
「あいつ俺の前であんなに笑ってんの見たことねえよ」
「それってヤキモチ?」
「はあ? ふざけんなよ! 誰があいつにヤキモチやくかよ!」
蓮は声を荒らげ葵から視線を逸らす。
「みんなで遊んでれば見れるじゃん」
「……」
蓮は1度楓に視線を移すとまた、葵を見つめていた。
杏介と柊が居なくなると蓮が口を開いた。
「なにが?」
正面で肉を焼く蓮の言っている意味が分からず、問いかける葵。
「あいつらから肉もらっただろ? 葵のこと仲間だと思ったってことだろ?」
「まあ、嬉しかったけど……」
と、言葉を濁す葵。
俯く葵はそのまま肉を口に放り込んだ。
「素直じゃないな。そこは素直に喜べばいいだろ?」
「よほこんでる(喜んでる)」
葵は口の中に肉が残っている為、上手く喋れずにいた。
「へえ。ならいいや」
ある程度肉を焼き終えた蓮は自身の皿に肉を盛り食べ始める。
「ん、うめぇ!」
「(ほんとに美味しそうに食べるな……全て顔に出るから羨まし。あたしとは正反対だ)」
頬を綻ばせながら肉を頬張る蓮を葵は羨ましそうに見ていた。
「うわぁ! やめて!」
「こっち来るなよ」
「(なんだろ?)」
日向と柚佑声が聞こえ、視線を移す葵。
「あいつら何やってんだ?」
「さあ? あ、水鉄砲?」
蓮と葵は水鉄砲のようなものを持ちながら走り回る4人の男達を目で追っていた。
前を走るのは日向と柚佑。
その後ろを走るのが杏介と柊だ。
「下っ端くん達に負けてんじゃん」
「だな」
下っ端に追いかけられる幹部2人。
そんな様子を葵と蓮は笑いながら見ていた。
杏介と柊は手加減をせず水鉄砲の水をかけまくる。
日向と柚佑も反撃はするが逃げるので精一杯だ。
「なあ、なんか……あいつらこっちに……向かって来てないかっ!」
「来てるね! 肉が危ないから……とりあえず逃げる」
蓮の言った通り日向と柚佑の進行方向は葵達がいる方へ向かっていた。
このままでは肉やコンロに被害が出ると考えた2人は立ち上がり、走りだした。
「冷たっ! なんでこっちにかけてくんだよ!」
突然、背中になにかが当たったと思ったら、洋服を染みて肌に直接冷たさを感じる。
蓮はその冷たさから1度止まり振り返る。
「目の前にいたから?」
柚佑はそう言いのけた。
「お前な……俺と葵は焼肉食ってたんだよ。巻込むなよ」
「焼肉……でも楽しんでるみたいだけど」
柚佑は1度焼肉に視線を移した後、葵を見つめた。
そこには日向と杏介、柊と仲良く水鉄砲で遊ぶ葵の姿があった。
「なんなんだよ。ああいうの苦手じゃないのかよ」
不服そうに葵を見つめる蓮。
「不満?」
「あいつ俺の前であんなに笑ってんの見たことねえよ」
「それってヤキモチ?」
「はあ? ふざけんなよ! 誰があいつにヤキモチやくかよ!」
蓮は声を荒らげ葵から視線を逸らす。
「みんなで遊んでれば見れるじゃん」
「……」
蓮は1度楓に視線を移すとまた、葵を見つめていた。
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