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第30話 楓とお迎え
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***
バーベキューから数日経ったある日。
──夏休みもそろそろ終わりを迎える。
「あれ? 今日は楓なんだ」
夏休み中も倉庫へ行く為、誰かしらが迎えに来る。
いつもの待ち合わせ場所に向かうと、そこに居たのは楓だった。
「みんな用事ある。前も言ったけど──」
「掴まるなでしょ? わかってるから大丈夫」
楓の言葉を遮った葵は笑みを浮かべ、単車の後ろに跨った。
楓は葵が跨ったのを確認すると単車を走らせる。
「(やっぱりみんな安全運転だな。あたしとしてはもっとスピード出しても大丈夫なんだけどな)」
そんなことも言えず、葵はただ過ぎ去る街並みを眺めていた。
「楓、バイクが2台ずっと付いて来てる」
単車を走らせること数分、葵がふとミラーに視線を移すと赤色と青色のバイク2台が一定の距離を取りながら暫く付いて来ていることに気づいた。
「……ああ。やっぱり掴まってろ」
葵の言葉に楓はミラーに視線を移すとスピードを上げた。
「大丈夫」
葵はそう言うと車体を掴む手に力を入れた。
「(やっぱり付いて来てたか……。どこかの族か?)」
葵はミラー越しに確認するもヘルメットで顔が見えない上、距離もありどこの暴走族か判別出来なかった。
楓がスピードを上げれば2台のバイクもスピードを上げてくる。
これで尾行されていることが明白となった。
楓は細い路地裏や脇道を通って行く。
「撒いたか……」
バイクの姿が見えなくなり、楓は一度単車を停めた。
「もう付いて来てないみたい」
葵も辺りを見渡し誰も居ないことを確認した次の瞬間──
***
「楓さんが迎えで大丈夫かな?」
楓が葵を迎えに行った頃、日向はシャーペン片手に心配そうな顔を浮かべていた。
「大丈夫だろ。前に甘いもん食いに行ってたし」
日向の隣に座る蓮が何かを書き込みながら答える。
「はい、そこ喋らないで。夏休み終わっちゃうよ」
日向と蓮の真向かいに座る柚佑が喋る2人を注意する。
その顔は若干呆れているようにも見えた。
幹部以上が入れるいつもの部屋のローテーブルには宿題を広げる日向と蓮の姿があった。
夏休みもあと数日だというのに、日向と蓮は宿題が終わらず柚佑に泣きついたのだ。
「でも、心配じゃない? 楓さんの後ろに乗る時、絶対触るなとか言いそうだし」
「確かに! 」
「腰に手回したら怒りそう」
日向の言葉に納得する蓮と柚佑。
「やっぱり、僕たちが行った方がよかったんじゃ……」
「竜さんが行けばよかった……って居ないのか」
蓮が顔を上げ見渡すも竜の姿はなかった。
「今日は柾斗(マサト)さんの所に行くって言ってたよ。僕たちがちゃんと宿題やってたらこんな心配しなくてよかったのか……」
「そういうこと。さっさと終わらせないと残りの夏休みずっとこうだからね」
落ち込む日向へ更に追い討ちをかけるよう言った柚佑。
日向と蓮が落ち込んだのは言うまでもない。
バーベキューから数日経ったある日。
──夏休みもそろそろ終わりを迎える。
「あれ? 今日は楓なんだ」
夏休み中も倉庫へ行く為、誰かしらが迎えに来る。
いつもの待ち合わせ場所に向かうと、そこに居たのは楓だった。
「みんな用事ある。前も言ったけど──」
「掴まるなでしょ? わかってるから大丈夫」
楓の言葉を遮った葵は笑みを浮かべ、単車の後ろに跨った。
楓は葵が跨ったのを確認すると単車を走らせる。
「(やっぱりみんな安全運転だな。あたしとしてはもっとスピード出しても大丈夫なんだけどな)」
そんなことも言えず、葵はただ過ぎ去る街並みを眺めていた。
「楓、バイクが2台ずっと付いて来てる」
単車を走らせること数分、葵がふとミラーに視線を移すと赤色と青色のバイク2台が一定の距離を取りながら暫く付いて来ていることに気づいた。
「……ああ。やっぱり掴まってろ」
葵の言葉に楓はミラーに視線を移すとスピードを上げた。
「大丈夫」
葵はそう言うと車体を掴む手に力を入れた。
「(やっぱり付いて来てたか……。どこかの族か?)」
葵はミラー越しに確認するもヘルメットで顔が見えない上、距離もありどこの暴走族か判別出来なかった。
楓がスピードを上げれば2台のバイクもスピードを上げてくる。
これで尾行されていることが明白となった。
楓は細い路地裏や脇道を通って行く。
「撒いたか……」
バイクの姿が見えなくなり、楓は一度単車を停めた。
「もう付いて来てないみたい」
葵も辺りを見渡し誰も居ないことを確認した次の瞬間──
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「楓さんが迎えで大丈夫かな?」
楓が葵を迎えに行った頃、日向はシャーペン片手に心配そうな顔を浮かべていた。
「大丈夫だろ。前に甘いもん食いに行ってたし」
日向の隣に座る蓮が何かを書き込みながら答える。
「はい、そこ喋らないで。夏休み終わっちゃうよ」
日向と蓮の真向かいに座る柚佑が喋る2人を注意する。
その顔は若干呆れているようにも見えた。
幹部以上が入れるいつもの部屋のローテーブルには宿題を広げる日向と蓮の姿があった。
夏休みもあと数日だというのに、日向と蓮は宿題が終わらず柚佑に泣きついたのだ。
「でも、心配じゃない? 楓さんの後ろに乗る時、絶対触るなとか言いそうだし」
「確かに! 」
「腰に手回したら怒りそう」
日向の言葉に納得する蓮と柚佑。
「やっぱり、僕たちが行った方がよかったんじゃ……」
「竜さんが行けばよかった……って居ないのか」
蓮が顔を上げ見渡すも竜の姿はなかった。
「今日は柾斗(マサト)さんの所に行くって言ってたよ。僕たちがちゃんと宿題やってたらこんな心配しなくてよかったのか……」
「そういうこと。さっさと終わらせないと残りの夏休みずっとこうだからね」
落ち込む日向へ更に追い討ちをかけるよう言った柚佑。
日向と蓮が落ち込んだのは言うまでもない。
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