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第38話 日向の過去②光
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「何となく? それにその可愛い顔がムカつくのよね。男なのにあたしより可愛いなんて許せない。そんな顔じゃ一生彼女出来ないんじゃない? あー彼氏ならできるかもね」
エリカがそう言うと男と共に笑い出す。
それは相手をバカにするような笑い声だ。
「なんで……なんで……っ! エリカさん……ッ! う、嘘だよね……?」
日向は声を上げるとエリカの右腕にしがみつく。
「ちょっと! なにするのよ!」
「お前なぁ、俺のエリカに何してんだよ? あぁ? エリカと付き合ってるのはこの俺だ。エリカがお前みたいなガキ相手にするわけねぇだろ」
男はエリカから日向を引き離すと鳩尾を右足で蹴り飛ばす。
男より小柄な日向は勢いよく飛び外壁にぶつかる。
「お前はエリカに遊ばれてたんだよ。それくらい分かれクソガキが!」
男は日向の上に馬乗りになると顔を拳で殴り続ける。
どれくらい殴られただろうか。
「おい、何やってる?」
しばらくすると、男の背後からはドスの効いた声が聞こえてくる。
殴るのを中断した男が振り向こうとした瞬間、後から来た人物により蹴り飛ばされた。
「え! ちょっと大丈夫!?」
エリカは急いで飛ばされた男の元へ向かう。
「君、大丈夫か?」
男を蹴り飛ばした人物は日向の前にしゃがみ込むと優しく問いかける。
月明かりに照らされ、その人物の顔がはっきりと見えた。
金髪に黒のメッシュ、目鼻立ちが整った男だ。
「……っ! あ、僕……」
「あまり喋らない方がいい」
金髪黒メッシュの男は日向を抱きかかえると歩き出すと近くに停めてあった車の後部座席に乗り込む。
「え……」
「そんなに怯えるな。おまえを取って食おうなんて思ってない」
車に乗せられた日向は怯えた目で金髪黒メッシュの男を見つめる。
そんな日向に優しく声をかける金髪黒メッシュの男。
「あ、えっと……助けてくれてありがとう、ございます。あの……お名前を」
「ああ。別に気にする事はない。俺は藤本柾斗(フジモト マサト)。君は?」
「柾斗さんありがとうございます。僕は……北原日向です」
「北原……日向、兄弟は?」
日向の名前を聞いた柾斗は少し考えると問いかける。
「えっと、兄が1人います」
「名前は?」
「えっと……日景(ヒカゲ)です」
「やっぱりか……。俺は君のお兄さんの友達だ。安心しろ」
たまたま助けてくれた柾斗は日向の兄、日景の友人だった。
「兄さんの……?」
「ああ。あいつ呼ぶからちょっと待ってろよ」
柾斗はそう言うと携帯を操作する。
「あ……すいません」
「なんで謝る。お前は悪くない。何があったか知らないが好きだったんだろ?」
「はい……好きでした……っ! 入学式の時道に迷った僕に声をかけてくれたんです。他の人は目を逸らしていたのに彼女だけだったんです! それで一目惚れして……やっと付き合えたと思ったのにっ……。付き合ってる時も僕は楽しかった……。なんでこんな顔で生まれできちゃったんだろ」
日向は両手でスボンを握りしめる。
エリカがそう言うと男と共に笑い出す。
それは相手をバカにするような笑い声だ。
「なんで……なんで……っ! エリカさん……ッ! う、嘘だよね……?」
日向は声を上げるとエリカの右腕にしがみつく。
「ちょっと! なにするのよ!」
「お前なぁ、俺のエリカに何してんだよ? あぁ? エリカと付き合ってるのはこの俺だ。エリカがお前みたいなガキ相手にするわけねぇだろ」
男はエリカから日向を引き離すと鳩尾を右足で蹴り飛ばす。
男より小柄な日向は勢いよく飛び外壁にぶつかる。
「お前はエリカに遊ばれてたんだよ。それくらい分かれクソガキが!」
男は日向の上に馬乗りになると顔を拳で殴り続ける。
どれくらい殴られただろうか。
「おい、何やってる?」
しばらくすると、男の背後からはドスの効いた声が聞こえてくる。
殴るのを中断した男が振り向こうとした瞬間、後から来た人物により蹴り飛ばされた。
「え! ちょっと大丈夫!?」
エリカは急いで飛ばされた男の元へ向かう。
「君、大丈夫か?」
男を蹴り飛ばした人物は日向の前にしゃがみ込むと優しく問いかける。
月明かりに照らされ、その人物の顔がはっきりと見えた。
金髪に黒のメッシュ、目鼻立ちが整った男だ。
「……っ! あ、僕……」
「あまり喋らない方がいい」
金髪黒メッシュの男は日向を抱きかかえると歩き出すと近くに停めてあった車の後部座席に乗り込む。
「え……」
「そんなに怯えるな。おまえを取って食おうなんて思ってない」
車に乗せられた日向は怯えた目で金髪黒メッシュの男を見つめる。
そんな日向に優しく声をかける金髪黒メッシュの男。
「あ、えっと……助けてくれてありがとう、ございます。あの……お名前を」
「ああ。別に気にする事はない。俺は藤本柾斗(フジモト マサト)。君は?」
「柾斗さんありがとうございます。僕は……北原日向です」
「北原……日向、兄弟は?」
日向の名前を聞いた柾斗は少し考えると問いかける。
「えっと、兄が1人います」
「名前は?」
「えっと……日景(ヒカゲ)です」
「やっぱりか……。俺は君のお兄さんの友達だ。安心しろ」
たまたま助けてくれた柾斗は日向の兄、日景の友人だった。
「兄さんの……?」
「ああ。あいつ呼ぶからちょっと待ってろよ」
柾斗はそう言うと携帯を操作する。
「あ……すいません」
「なんで謝る。お前は悪くない。何があったか知らないが好きだったんだろ?」
「はい……好きでした……っ! 入学式の時道に迷った僕に声をかけてくれたんです。他の人は目を逸らしていたのに彼女だけだったんです! それで一目惚れして……やっと付き合えたと思ったのにっ……。付き合ってる時も僕は楽しかった……。なんでこんな顔で生まれできちゃったんだろ」
日向は両手でスボンを握りしめる。
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