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第39話 日向の過去③笑顔
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「そうか。良い奴だったんだな。……顔?」
「可愛い顔がムカつくって……言われました」
日向は両手でズボンを握りしめたまま俯く。
「日向はいくつだ?」
「13です」
「それなら大丈夫だ。日向はまだ幼い。これから大きくなればかっこよくなる。それに可愛くたっていいじゃないか。可愛いとダメなのか?」
「……僕、こんな見た目だからナメられるんです……」
柾斗の問いかけに日向は顔を上げると、悔しそうな声を出す。
「……なら強くなるか? 」
「え?」
驚き数回瞬きを繰り返す日向。
「俺は白狼9代目総長だ。仲間になるか?」
「いいんですか?」
「ああ」
それから未来は白狼の倉庫に通い仲間になった。
***
「──ってことがあってさ。誰かと付き合うなんて懲り懲りなんだ。……だけど、さっき同じ中学だった子が来て告白された。……僕の顔が好きなんだって……もう大丈夫だと思ったけどやっぱりダメ、みたい」
震える右手を左手で押さえる日向。
「そっか。でも日向はすごいね。女を嫌いにならなかったんだから」
「それは……柾斗さんのおかげかな。柾斗さんが沢山話を聞いてくれたから……」
「そっか。いい人に会えて良かったね。柾斗さんって竜がお世話になってる人?」
「うん。そうだよ!」
葵が問いかければ日向はここに来て初めて笑顔を見せた。
「そっか。誰かと付き合うなんて懲り懲りって言ってたけど、別に誰かと付き合わなくてもいいんじゃない? 今はみんながいる。もし付き合いたいって人と出会えたらすればいいし皆に合わせる必要はないと思う」
「葵ちゃん……ありがとう」
手の震えはいつの間にか治まり、そこにはいつもの日向がいた。
「あーっ! 柚佑いたぞ!」
「2人共なにサボってるの?」
背後から物音がし振り返るとそこには──蓮と柚佑の姿が。
「あ、ごめ──」
「ごめんごめん。男装慣れなくて日向に付き合ってもらってた」
戸惑う日向の言葉を葵が遮る。
「そうか。昨日頑張ってたしな。もう大丈夫か?」
屋上のドアに寄りかかる蓮が心配そうな顔を浮かべ問いかける。
「うん。大丈夫」
「じゃあ残りも頑張るぞ」
「日向も行くよ」
蓮と柚佑はそう言うと、フェンスの方へ歩いてくる。
そして、葵と日向の背中を軽く押し屋上の外へ出す2人。
昨日同様、葵がビラ配りで笑顔を見せれば女の子達は1年2組の教室へ入って行く。
そんなこんなで学園祭は大盛況となった。
「お前ら……お疲れ様。よくやった。でも残念だったなお前たちは2位だ。よって奢りはなしだ」
学園祭も無事終わり、その日の夕方教卓には柊真の姿がある。
その表情はどこか嬉しそうだ。
「学年だと1位だったじゃねぇか!」
「全校で1位なんて聞いてねぇ!」
そんな柊真とは裏腹に生徒達からはブーイングの嵐。
今回の学園祭優勝クラスは2年1組のホストだった。
それは竜と楓のクラスだ。
「そんなこと言われてもな……じゃあお菓子買ってきてやるからな」
「(そんな子供だましに引っかかるような──)」
葵は冷めた表情で柊真を見つめる。
「まじっ!」
「よっしゃー」
「さっきゅー! とっちゃん愛してる!」
柊真の提案に生徒達は嬉しそうに喜ぶ。
「(そういう奴らか……。楽しそうでいいな)」
葵は口角を上げ、辺りを見渡す。
みんな嬉しそうな表情をしていた。
「可愛い顔がムカつくって……言われました」
日向は両手でズボンを握りしめたまま俯く。
「日向はいくつだ?」
「13です」
「それなら大丈夫だ。日向はまだ幼い。これから大きくなればかっこよくなる。それに可愛くたっていいじゃないか。可愛いとダメなのか?」
「……僕、こんな見た目だからナメられるんです……」
柾斗の問いかけに日向は顔を上げると、悔しそうな声を出す。
「……なら強くなるか? 」
「え?」
驚き数回瞬きを繰り返す日向。
「俺は白狼9代目総長だ。仲間になるか?」
「いいんですか?」
「ああ」
それから未来は白狼の倉庫に通い仲間になった。
***
「──ってことがあってさ。誰かと付き合うなんて懲り懲りなんだ。……だけど、さっき同じ中学だった子が来て告白された。……僕の顔が好きなんだって……もう大丈夫だと思ったけどやっぱりダメ、みたい」
震える右手を左手で押さえる日向。
「そっか。でも日向はすごいね。女を嫌いにならなかったんだから」
「それは……柾斗さんのおかげかな。柾斗さんが沢山話を聞いてくれたから……」
「そっか。いい人に会えて良かったね。柾斗さんって竜がお世話になってる人?」
「うん。そうだよ!」
葵が問いかければ日向はここに来て初めて笑顔を見せた。
「そっか。誰かと付き合うなんて懲り懲りって言ってたけど、別に誰かと付き合わなくてもいいんじゃない? 今はみんながいる。もし付き合いたいって人と出会えたらすればいいし皆に合わせる必要はないと思う」
「葵ちゃん……ありがとう」
手の震えはいつの間にか治まり、そこにはいつもの日向がいた。
「あーっ! 柚佑いたぞ!」
「2人共なにサボってるの?」
背後から物音がし振り返るとそこには──蓮と柚佑の姿が。
「あ、ごめ──」
「ごめんごめん。男装慣れなくて日向に付き合ってもらってた」
戸惑う日向の言葉を葵が遮る。
「そうか。昨日頑張ってたしな。もう大丈夫か?」
屋上のドアに寄りかかる蓮が心配そうな顔を浮かべ問いかける。
「うん。大丈夫」
「じゃあ残りも頑張るぞ」
「日向も行くよ」
蓮と柚佑はそう言うと、フェンスの方へ歩いてくる。
そして、葵と日向の背中を軽く押し屋上の外へ出す2人。
昨日同様、葵がビラ配りで笑顔を見せれば女の子達は1年2組の教室へ入って行く。
そんなこんなで学園祭は大盛況となった。
「お前ら……お疲れ様。よくやった。でも残念だったなお前たちは2位だ。よって奢りはなしだ」
学園祭も無事終わり、その日の夕方教卓には柊真の姿がある。
その表情はどこか嬉しそうだ。
「学年だと1位だったじゃねぇか!」
「全校で1位なんて聞いてねぇ!」
そんな柊真とは裏腹に生徒達からはブーイングの嵐。
今回の学園祭優勝クラスは2年1組のホストだった。
それは竜と楓のクラスだ。
「そんなこと言われてもな……じゃあお菓子買ってきてやるからな」
「(そんな子供だましに引っかかるような──)」
葵は冷めた表情で柊真を見つめる。
「まじっ!」
「よっしゃー」
「さっきゅー! とっちゃん愛してる!」
柊真の提案に生徒達は嬉しそうに喜ぶ。
「(そういう奴らか……。楽しそうでいいな)」
葵は口角を上げ、辺りを見渡す。
みんな嬉しそうな表情をしていた。
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