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第67話 不穏な空気②
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「……ん。どこだ? ここ」
どれくらい経っただろうか──
葵が目を覚ますと、そこは打ちっぱなしのコンクリートでできた部屋だった。
葵は状況を理解すると自分の体の後ろに回った手を必死に動かす。
「取れないか……」
無機質な部屋のど真ん中には、パイプ椅子に座った状態の葵がいた。
手足はロープで縛られ、口にはガムテープが貼られている。
「……よし、やるか」
葵は周りを見渡し誰も居ないことを確認すると呟いた。
後ろに回った腕の間にお尻と足を通し前に持っていく。
「椅子に固定されてなくて良かった……これならいけるな……」
椅子に手足が固定されていたら、こうも上手くいかなっただろう。
自由がきく指先で足首のロープを器用に解いていく。
その手で口に付いたガムテープを剥がし、手首のロープを口で解き始める。
「よし、あと少し……」
固く縛られているうえ、口で解こうとしている為、簡単にはいかないようだ。
すると、ドアの向こうから数人の足音が聞こえてきた。
「は? なんで解いてんだよ」
蛇塚を含めた黒蛇5人が部屋に入って来た。
葵の手首はローブで縛られたままだ。
「痛かったから……? 別に逃げはしないからいいでしょ?」
「お前自分の立場分かってるのか? 人質だぞ」
「あたしは人質になった覚えはないけど。ただ、白狼を守りたかったから着いてきただけ。ここに来る時にも言ってたでしょ? 着いて来いって」
「ああ。確かに言ったな。面白ぇ女」
蛇塚は葵の返答に苦笑する。
「……で、あたしをここに連れてきてどうするわけ?」
「白狼を呼ぶためだ」
「え? なんで、可愛がってるって……それは嘘?」
葵の顔から血の気が引いていく。
「正解だよ。お姫様。君は騙されてここに来たんだ」
「(萩ちゃんに言われたことが当たったってことか。信じないって言ったのにな……)」
「……騙された訳か。じゃあ、みんなは今どこにいるんだ?」
「あいつらは仲間の応援に向かってる。倉庫に残ってた奴少なかったろ?」
「……じゃあ、お前たちは白狼の下っ端くん達を襲って仲間が向かった時を狙ったってわけ?」
「大正解。頭のキレる女は嫌いじゃねえよ」
「……」
口角を上げた蛇塚を葵は冷めた目で見つめた。
「(可愛がってるっていうのもあながち間違えじゃなかった……か。だからか……こういうことがあるからあたしは家にいてほしかったんだな……)」
「お嬢さんがここにいることは白狼の奴らは誰も知らない。あいつら呼びたいから携帯、貸してくれる?」
蛇塚と同じく首に黒い蛇が彫られた金髪の男が葵に近づく。
「嫌だ」
「(あいつらのお荷物になんかなりたくない。迷惑かけたくない。本当ならあたし1人でも、こいつらならどうにかできるだろうけど……今は手塞がってるし、どうするかな)」
葵は体の前で縛られた手首に視線を落とす。
突如、静かな部屋に着信音が鳴り響く。
「(やばっ! あたしのか。手塞がってて取れないっ……)」
「お嬢さん携帯、鳴ってるよ」
金髪の男の言葉に葵は顔をしかめる。
「はい、動くなよ」
ズボンの後ろポケットに入れていた携帯は蛇塚により意図も簡単に奪われた。
「もしもし、白狼の大事なお姫様は俺たち黒蛇が預かっている。助けたければ俺たちの倉庫に来い」
蛇塚はそれだけ言うと電話を切って葵の近くに放り投げた。
どうやら葵が連れて来られたのは黒蛇の倉庫だった。
誰からの電話だったのか分からないまま時間だけが過ぎていく。
数台の単車のエンジン音がだんだんと近づいてきた。
「(え、この音……)」
聞き覚えのある音に葵は目を見開く。
近づいてきたそれは爆音となり、音が止まった。
外の騒がしい声が聞こえなくなった瞬間、葵達がいる部屋のドアが乱暴に開けられた。
「……ん。どこだ? ここ」
どれくらい経っただろうか──
葵が目を覚ますと、そこは打ちっぱなしのコンクリートでできた部屋だった。
葵は状況を理解すると自分の体の後ろに回った手を必死に動かす。
「取れないか……」
無機質な部屋のど真ん中には、パイプ椅子に座った状態の葵がいた。
手足はロープで縛られ、口にはガムテープが貼られている。
「……よし、やるか」
葵は周りを見渡し誰も居ないことを確認すると呟いた。
後ろに回った腕の間にお尻と足を通し前に持っていく。
「椅子に固定されてなくて良かった……これならいけるな……」
椅子に手足が固定されていたら、こうも上手くいかなっただろう。
自由がきく指先で足首のロープを器用に解いていく。
その手で口に付いたガムテープを剥がし、手首のロープを口で解き始める。
「よし、あと少し……」
固く縛られているうえ、口で解こうとしている為、簡単にはいかないようだ。
すると、ドアの向こうから数人の足音が聞こえてきた。
「は? なんで解いてんだよ」
蛇塚を含めた黒蛇5人が部屋に入って来た。
葵の手首はローブで縛られたままだ。
「痛かったから……? 別に逃げはしないからいいでしょ?」
「お前自分の立場分かってるのか? 人質だぞ」
「あたしは人質になった覚えはないけど。ただ、白狼を守りたかったから着いてきただけ。ここに来る時にも言ってたでしょ? 着いて来いって」
「ああ。確かに言ったな。面白ぇ女」
蛇塚は葵の返答に苦笑する。
「……で、あたしをここに連れてきてどうするわけ?」
「白狼を呼ぶためだ」
「え? なんで、可愛がってるって……それは嘘?」
葵の顔から血の気が引いていく。
「正解だよ。お姫様。君は騙されてここに来たんだ」
「(萩ちゃんに言われたことが当たったってことか。信じないって言ったのにな……)」
「……騙された訳か。じゃあ、みんなは今どこにいるんだ?」
「あいつらは仲間の応援に向かってる。倉庫に残ってた奴少なかったろ?」
「……じゃあ、お前たちは白狼の下っ端くん達を襲って仲間が向かった時を狙ったってわけ?」
「大正解。頭のキレる女は嫌いじゃねえよ」
「……」
口角を上げた蛇塚を葵は冷めた目で見つめた。
「(可愛がってるっていうのもあながち間違えじゃなかった……か。だからか……こういうことがあるからあたしは家にいてほしかったんだな……)」
「お嬢さんがここにいることは白狼の奴らは誰も知らない。あいつら呼びたいから携帯、貸してくれる?」
蛇塚と同じく首に黒い蛇が彫られた金髪の男が葵に近づく。
「嫌だ」
「(あいつらのお荷物になんかなりたくない。迷惑かけたくない。本当ならあたし1人でも、こいつらならどうにかできるだろうけど……今は手塞がってるし、どうするかな)」
葵は体の前で縛られた手首に視線を落とす。
突如、静かな部屋に着信音が鳴り響く。
「(やばっ! あたしのか。手塞がってて取れないっ……)」
「お嬢さん携帯、鳴ってるよ」
金髪の男の言葉に葵は顔をしかめる。
「はい、動くなよ」
ズボンの後ろポケットに入れていた携帯は蛇塚により意図も簡単に奪われた。
「もしもし、白狼の大事なお姫様は俺たち黒蛇が預かっている。助けたければ俺たちの倉庫に来い」
蛇塚はそれだけ言うと電話を切って葵の近くに放り投げた。
どうやら葵が連れて来られたのは黒蛇の倉庫だった。
誰からの電話だったのか分からないまま時間だけが過ぎていく。
数台の単車のエンジン音がだんだんと近づいてきた。
「(え、この音……)」
聞き覚えのある音に葵は目を見開く。
近づいてきたそれは爆音となり、音が止まった。
外の騒がしい声が聞こえなくなった瞬間、葵達がいる部屋のドアが乱暴に開けられた。
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