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3章。妹と合体する。風竜機神シルフィード
18話。妹と王女様から取り合いをされる
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「もちろん、シルヴィアとも会う機会が増えるだろうけど。王宮での接触は必要最低限にする。婚約者の付き人と親密にして、変な噂が立ったら困るだろう?」
「むぅ~っ」
シルヴィアは不満げに唇を尖らした。
「だって、お兄ちゃんは将来、私と結婚するって約束したもん!」
「い、いや、それは子供の頃の話だし、何を言っているんだ?」
レナ王女も苦笑している。
「ティアなんていうゴミ女と、ようやく別れてくれた訳だし。これからは、将来を誓い合った私と本当の愛を育んでいくんだよね!?」
「……シルヴィア。実は俺の命を狙う者が、また現れたみたいなんだ」
「……えっ? ホントなの」
シルヴィアの表情が凍り付く。
レナ王女が説明を補足する。
「はい。その者らは、ロイ様の婚約者だった聖女ティアを2度も襲いました。ロイ様の素性が、万が一にもバレた場合、妹であるシルヴィアさんにも危害が加えられる危険が高いです。なので、今のうちから、王宮であなたを保護したいと考えています」
「大丈夫なのお兄ちゃん!?」
シルヴィアは切迫した声を出す。俺の身を案じてくれているようだ。
「俺が襲われるなら、何も問題はない。もう子供の頃とは違うし、Sランク冒険者のレナもついていてくれるからな」
「はい、その通りですロイ様!」
「……レナ? えっ、さっきから、王女殿下を呼び捨てにしている?」
妹の眉が吊り上がった。
「はい。婚約するのですから当然です。ロイ様のことは、できれば今後は、旦那様とお呼びしたいと思っています」
レナ王女はまるでシルヴィアに見せつけるように、俺に寄り添ってきた。
「いや、それはちょっと……」
「王女殿下、あくまで兄とは『偽装!』婚約ですよね!?」
「……そうですわね。まだ早かったです。結婚するまで、自重しますわ」
「結婚しないでしょ!?」
シルヴィアが全力でツッコミを入れる。
「えっと……もしレナとの偽装婚約が解消となった場合でも、シルヴィアは王宮で守って欲しいんだけど、大丈夫かな?」
俺はレナ王女に確認した。
この国でもっとも安全で、堅牢なのが王城だ。いざとなれば、シルヴィアをドラニクルの作戦司令室に匿うこともできる。
「はい、もちろんです! シルヴィアさんは、末永く一緒に暮らす家族ですから!」
「ありがとう」
なんか引っかかる言い方だが、これでシルヴィアの身の安全は守れるだろう。
「姉妹として、仲良くしましょうね、シルヴィアさん」
「レナ王女殿下。私は王女殿下の付き人となります。分別を持って、あくまで付き人として王女殿下にお仕えさせていただきます」
シルヴィアは棘のある口調で、頭を下げた。
「……はい。もちろんですが、わたくしとふたりっきりの時は、お姉様と呼んでいただけると、うれしいですわ。言葉遣いもロイ様に対するのと同じ、もっと砕けた感じで構いません。家族ですから」
「壁に耳ありと申しますので、その儀についてはお許しください。そ、それとお兄ちゃんの腰に手を回すのはやめなさいよ! あくまで『偽装!』婚約でしょう!?」
シルヴィアは感情的になって叫んだ。
おい、貴族令嬢のメッキが剥がれているぞ。
「それは建前です。わたくしとお父様は本気で、ロイ様を王家にお迎えしたいと考えています。なによりも、わたくしとロイ様はすでに合体まで体験した仲です」
「えっ、ちょっと……建前?」
レナ王女は俺に抱擁してきた。大きな双丘が押し付けられて、俺は硬直してしまう。
「レナ! 今、俺はヘルメスではなく、ロイだぞ! 離れてくれ」
「あっ、これは申し訳ありませんわ、ロイ様。では、続きは今夜のベッドの中で……」
「いや、しないから!」
「くぅううううっ……! 合体ですって!? まさか、私のお兄ちゃんを傷物に!?」
レナ王女とシルヴィアの間で、なにやらバチバチと火花が散る。俺は慌てて補足した。
「前に話した機神の【竜融合(ドラゴニック・フュージョン)】のことだからな! 変な意味じゃない!」
シルヴィアが俺の腕にしがみつく。
「お兄ちゃん! 久しぶりにふたりっきりで、お庭を散歩しようよ! レナ王女殿下はそろそろお帰りいただいた方がよろしいかと存じます。あまり長居されると、ヘルメスの正体露見に繋がる恐れがあるかと……!」
「そうですわねロイ様。婚約発表パーティーの段取りについて話し合う必要がありますので、そろそろここをお暇しましょう。婚約指輪の交換セレモニーの練習をしなくては……!」
レナ王女も負けじと、俺の身体を引っ張った。
「えっ、ちょっと……!」
ふたりの美少女から綱引きされて、俺はよろめいてしまう。
「違うもん! お兄ちゃんは私に会いに来てくれたんだから、私と過ごしたいよね!?」
「ロイ様! 婚約指輪がそろそろ、王宮に届けられる時間ですわ! ふたりで見に行きましょう!」
ドンドン、ふたりはヒートアップしていく。
「ぐっううう! お兄ちゃん! お兄ちゃんが世界で一番愛しているのはシルヴィアだよね!?」
「ロイ様とわたくしは、これから神様の前で、永遠の愛を誓い合うんですよね!?」
このままじゃ埒が明かないというか、俺の身が持たない。
「えーっと! じゃあ3人で王宮を散歩して回ろう!」
俺は大声で叫んで、争いを強引に打ち切った。
「むぅ~っ」
シルヴィアは不満げに唇を尖らした。
「だって、お兄ちゃんは将来、私と結婚するって約束したもん!」
「い、いや、それは子供の頃の話だし、何を言っているんだ?」
レナ王女も苦笑している。
「ティアなんていうゴミ女と、ようやく別れてくれた訳だし。これからは、将来を誓い合った私と本当の愛を育んでいくんだよね!?」
「……シルヴィア。実は俺の命を狙う者が、また現れたみたいなんだ」
「……えっ? ホントなの」
シルヴィアの表情が凍り付く。
レナ王女が説明を補足する。
「はい。その者らは、ロイ様の婚約者だった聖女ティアを2度も襲いました。ロイ様の素性が、万が一にもバレた場合、妹であるシルヴィアさんにも危害が加えられる危険が高いです。なので、今のうちから、王宮であなたを保護したいと考えています」
「大丈夫なのお兄ちゃん!?」
シルヴィアは切迫した声を出す。俺の身を案じてくれているようだ。
「俺が襲われるなら、何も問題はない。もう子供の頃とは違うし、Sランク冒険者のレナもついていてくれるからな」
「はい、その通りですロイ様!」
「……レナ? えっ、さっきから、王女殿下を呼び捨てにしている?」
妹の眉が吊り上がった。
「はい。婚約するのですから当然です。ロイ様のことは、できれば今後は、旦那様とお呼びしたいと思っています」
レナ王女はまるでシルヴィアに見せつけるように、俺に寄り添ってきた。
「いや、それはちょっと……」
「王女殿下、あくまで兄とは『偽装!』婚約ですよね!?」
「……そうですわね。まだ早かったです。結婚するまで、自重しますわ」
「結婚しないでしょ!?」
シルヴィアが全力でツッコミを入れる。
「えっと……もしレナとの偽装婚約が解消となった場合でも、シルヴィアは王宮で守って欲しいんだけど、大丈夫かな?」
俺はレナ王女に確認した。
この国でもっとも安全で、堅牢なのが王城だ。いざとなれば、シルヴィアをドラニクルの作戦司令室に匿うこともできる。
「はい、もちろんです! シルヴィアさんは、末永く一緒に暮らす家族ですから!」
「ありがとう」
なんか引っかかる言い方だが、これでシルヴィアの身の安全は守れるだろう。
「姉妹として、仲良くしましょうね、シルヴィアさん」
「レナ王女殿下。私は王女殿下の付き人となります。分別を持って、あくまで付き人として王女殿下にお仕えさせていただきます」
シルヴィアは棘のある口調で、頭を下げた。
「……はい。もちろんですが、わたくしとふたりっきりの時は、お姉様と呼んでいただけると、うれしいですわ。言葉遣いもロイ様に対するのと同じ、もっと砕けた感じで構いません。家族ですから」
「壁に耳ありと申しますので、その儀についてはお許しください。そ、それとお兄ちゃんの腰に手を回すのはやめなさいよ! あくまで『偽装!』婚約でしょう!?」
シルヴィアは感情的になって叫んだ。
おい、貴族令嬢のメッキが剥がれているぞ。
「それは建前です。わたくしとお父様は本気で、ロイ様を王家にお迎えしたいと考えています。なによりも、わたくしとロイ様はすでに合体まで体験した仲です」
「えっ、ちょっと……建前?」
レナ王女は俺に抱擁してきた。大きな双丘が押し付けられて、俺は硬直してしまう。
「レナ! 今、俺はヘルメスではなく、ロイだぞ! 離れてくれ」
「あっ、これは申し訳ありませんわ、ロイ様。では、続きは今夜のベッドの中で……」
「いや、しないから!」
「くぅううううっ……! 合体ですって!? まさか、私のお兄ちゃんを傷物に!?」
レナ王女とシルヴィアの間で、なにやらバチバチと火花が散る。俺は慌てて補足した。
「前に話した機神の【竜融合(ドラゴニック・フュージョン)】のことだからな! 変な意味じゃない!」
シルヴィアが俺の腕にしがみつく。
「お兄ちゃん! 久しぶりにふたりっきりで、お庭を散歩しようよ! レナ王女殿下はそろそろお帰りいただいた方がよろしいかと存じます。あまり長居されると、ヘルメスの正体露見に繋がる恐れがあるかと……!」
「そうですわねロイ様。婚約発表パーティーの段取りについて話し合う必要がありますので、そろそろここをお暇しましょう。婚約指輪の交換セレモニーの練習をしなくては……!」
レナ王女も負けじと、俺の身体を引っ張った。
「えっ、ちょっと……!」
ふたりの美少女から綱引きされて、俺はよろめいてしまう。
「違うもん! お兄ちゃんは私に会いに来てくれたんだから、私と過ごしたいよね!?」
「ロイ様! 婚約指輪がそろそろ、王宮に届けられる時間ですわ! ふたりで見に行きましょう!」
ドンドン、ふたりはヒートアップしていく。
「ぐっううう! お兄ちゃん! お兄ちゃんが世界で一番愛しているのはシルヴィアだよね!?」
「ロイ様とわたくしは、これから神様の前で、永遠の愛を誓い合うんですよね!?」
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俺は大声で叫んで、争いを強引に打ち切った。
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