【機神の錬金術師】「無能のあんたが憧れの錬金術師なわけない!」と俺を振った幼馴染。俺が結婚したかった人だと知り死ぬほど後悔してるがもう遅い

こはるんるん

文字の大きさ
33 / 75
3章。妹と合体する。風竜機神シルフィード

33話。アゼルの協力

しおりを挟む
「おおっ、ヘルメスよ! 我が息子よ! よくやってくれた!」

 国王陛下が作戦司令室に顔を出して、感極まって叫んだ。

「おぬしが勝利してくれたおかげで、いけ好かないゼバルティア帝国の使者を黙らせることができたぞ! 我が国の軍事力の強大さを国内外の貴族に見せつけることができたな! ワハハハハハッ」
「王国の発展は、すべてヘルメス様のおかげですわ! その上、機神ドラグーンの力を知れば、帝国もおいそれとは、王国に邪心は抱かないでしょう! 我が国の平和は守られたのです!」
「お兄ちゃんは、この国に無くてはならないスーパーヒーローだね!」

 レナ王女も俺の手を取って喜ぶ。シルヴィアも無邪気に賞賛してくれた。
 結果として、国王陛下の望む武威の誇示にも貢献してしまったな……

「もし機神の開発や運用に必要がモノがあれば、何でも言ってくれ! 何よりも優先して、手配しよう!」

 国王陛下が胸を叩いて請け負った。
 
「……それでは【薔薇十字団(ローゼンクロイツ)】という組織について、調べていただけませんか? 今回の事件の黒幕です」

 俺が今、なによりも知りたいことだった。
 国王陛下は浮かれているが、敵の力を知った俺はとてもそんな気分にはなれない。早急に対策を立てていく必要があった。
 
「なぬっ? 【薔薇十字団(ローゼンクロイツ)】とな……?」

 国王陛下は顔を引きつらせた。何か知っているようだ。

「お父様、お心当たりが……?」
「う、うむ。実在するかは確かではないのだが【薔薇十字団(ローゼンクロイツ)】とは、世界各地の伝説にたびたび顔を出す魔法秘密結社だ。神の血を引く人間だけをメンバーとし、古代魔法の英知を継承しているという。時の権力者と結びついて、歴史を自分たちの都合の良いように動かしているとかなんとか……」
「神の血を引く人間だけをメンバーに……?」

 そう言えばオデッセは俺のことを【資格無き者】などと呼んでいたな。
 自分たちの血統を特別視し、それ以外の人間を、そのような俗称で呼んでいる可能性がある。

「神の血を引く人間は、【薔薇の紋章】が身体に浮き出るらしい」
「【薔薇の紋章】? まさか……俺の両親を殺した男の手にもあった痣のことですか?」
「ちょっと、お兄ちゃん……!」

 俺が深刻な顔をしたためか、シルヴィアが心配そうな声をかけた。

「ただ、ワシは王位を継いで20年になるが……未だに【薔薇十字団(ローゼンクロイツ)】などという輩から接触されたことはない。時の権力者と結びつくというのに……ワシが小国の王だからか? ヘルメスのおかげで我が国は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いだというのに……」

 国王陛下は、しょんぼりしていた。
 今の話は、オデッセの言葉と合致する部分がある。
 あの【機械仕掛けの神】ルドラも、古代魔法の英知で造られたと考えれば、納得できた。

「その【薔薇十字団(ローゼンクロイツ)】が、我が国とヘルメス様を危険視して攻撃を仕掛けてきたということでしょうか?」

 レナ王女は不安そうな顔になる。

「可能性としては、かなり高いと思う。歴史を自分たちの都合の良いように操っているとしたら、この国の急激な発展や、機神ドラグーンのような超兵器の存在は許せないのかも知れないな」
「なんで!? お兄ちゃんの開発した魔導具のおかげで、私のような足の不自由な子もふつうに生活ができるようになったし、冒険者も命を落とすことが減って、みんな助かっているのに? なんで、それが許せないの!?」

 シルヴィアが怒りに拳を握り締めた。

「力を独占し、特権的な立場を得た者は、それを脅かす存在が許せんのだよ。ワシも王だから、良くわかる」

 国王陛下がウンウンと頷く。

「そんな組織の好きにさせるわけにはいきませんわ。あっ、もしかすると、ドラゴンやケルベロスの襲来も【薔薇十字団(ローゼンクロイツ)】の仕業では?」
「……その可能性は高いだろうな」

 奴らは、王宮に攻撃を仕掛けてくるような危険な組織だ。法を犯すことや、他人を傷つけることを何とも思っていない。
 そんな組織の暗躍を許す訳にはいかないな。
 それに、あの男も一連の事件に深く関わっている気がする。

「国王陛下、【聖竜機バハムート】の開発を急ぎたいと思います。希少金属の聖銀(ミスリル)が足りていないので、追加で10トンほど、提供していただくことはできませんか?」
「10トンものミスリルじゃと!? お、おぬしは毎回、とんでもない無茶を言うのう。ミスリルは今、世界的に不足して値段が高騰しておるのだ……」

 ミスリルは、悪魔やアンデッドといった邪悪な魔物を滅ぼすことのできる聖なる武器の材料となる。
 【聖竜機バハムート】の開発に、必要不可欠な素材だった。

「それは俺様が提供しよう!」

 それまで、俺たちのやり取りを黙って見ていたアゼルが声を上げた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

処理中です...