47 / 75
4章。ホムンクルスのルーチェ
47話。人造聖女ルーチェがレッサーデーモンを殲滅する
しおりを挟む
「マスター、レッサーデーモンたちが逃げ出していきます。一体残らず殲滅することを推奨します」
ルーチェの指摘通り、下級悪魔どもが蜘蛛の子を散らすように逃げ出していた。
悪魔は存在している限り、人を襲う。全滅させたいのはやまやまたが、機神ドラグーンの武装で悪魔を確実に滅ぼせるのは【ホーリー・ファング】だけだ。
「……もちろんだ!」
俺は手近にいた敵から、片っ端から攻撃を加える。
村への被害を防ぐため、一体でも多くのレッサーデーモンを倒しておかなければならない。
「マスター、私にお任せください。【ドラウプニルの指輪】よ【聖炎】……!」
ルーチェの嵌めた銀の指輪が砕けると同時に、眼下の大地を聖なる炎が焼き尽くした。
これは悪魔やアンデッドといった邪悪な者だけを滅ぼす聖なる炎だ。
レッサーデーモンどもは、断末魔を上げる暇もなく消滅する。
「こ、これは聖魔法……!?」
「しかも、信じられないレベルだわ!」
村人たち、特にティアが口をあんぐりと開けて固まった。
ルーチェは魔法の威力を一度だけ5倍に高める【ドラウプニルの指輪】を使って、悪魔どもを全滅させたのだ。
「ルーチェ、大丈夫か!?」
俺は身体の弱いルーチェに、もしものことがあってはと心配になる。
「……はい。問題ありません」
さらには、ルーチェは【時間回帰】の能力を使って、【ドラウプニルの指輪】を復元させた。もし撃ち漏らした敵がいたら、もう一発撃つつもりのようだ。
「もうルーチェは戦う必要はないから、休んでいてくれ。ドラグーン、敵はもう周囲にいないか?」
『付近に敵影なし。だが、国境近くに悪魔の反応が多数あるのを確認した』
機神ドラグーンが表示した地図の座標は、例のA級ダンジョンの近くだ。やはり、例のダンジョンから悪魔が湧き出しているんだな。
『ヘルメス様! ようやく現場に使い魔が到着しました。これより、情報収集を行います!』
ドラニクルの作戦司令室より、少女オペレーターの声が届いた。王宮にレナ王女が不在の上、戦場が辺境であったため、サポートが遅れたらしい。
「ありがとう。例のダンジョンからは、アークデーモンまで出現している。一刻も早く攻略しなくちゃならない。帝国にバレないように、使い魔をダンジョンの偵察に向かわせてくれ」
上位悪魔まで出現したとなると、これはA級ダンジョンどころではなく、世界でも稀なS級ダンジョンに違いない。
攻略には入念な準備が必要だった。
『は、はい! こちらでもアークデーモンの出現を確認しました。すぐに調査に向かいます』
「お兄ちゃん! 村人たちの中には、怪我人もかなりいるようだよ」
シルヴィアがスクリーンに映し出された映像を指差す。重傷を負っている者、すぐに手当てが必要な者が多数いた。
「ティア! 怪我人の治療はできるか?」
「ヘルメス様!? じ、実はもうMPが尽きちゃって無理です!」
ティアがいたたまれなそうな声で答える。
怪我人の中には、俺の好物のパンを焼いてくれたおばさんもいた。
彼らを見殺しにはできない。
「……ルーチェ。すまないが、回復魔法を使ってもらえるか?」
これ以上、ルーチェに無理をさせるのは気が咎めるが、致し方ない。
「了解です。マスター、なぜ辛そうなお顔をなさるのですか? マスターのお役に立つことこそ、私の喜びであり、聖女たることは私の存在意義です」
ルーチェは何事もないかのように平然と告げた。
「そうか。身体に何か不調は無いよな?」
「問題ありません。どうぞ御心のままにご命令ください」
「わかった。行こう」
俺は機神ドラグーンのハッチを開いて、ルーチェとシルヴィアを抱えて外に飛び出した。
「て、天使だ……!」
ルーチェを目の当たりにした村人たちから、感嘆の声が上がった。
ルーチェの指摘通り、下級悪魔どもが蜘蛛の子を散らすように逃げ出していた。
悪魔は存在している限り、人を襲う。全滅させたいのはやまやまたが、機神ドラグーンの武装で悪魔を確実に滅ぼせるのは【ホーリー・ファング】だけだ。
「……もちろんだ!」
俺は手近にいた敵から、片っ端から攻撃を加える。
村への被害を防ぐため、一体でも多くのレッサーデーモンを倒しておかなければならない。
「マスター、私にお任せください。【ドラウプニルの指輪】よ【聖炎】……!」
ルーチェの嵌めた銀の指輪が砕けると同時に、眼下の大地を聖なる炎が焼き尽くした。
これは悪魔やアンデッドといった邪悪な者だけを滅ぼす聖なる炎だ。
レッサーデーモンどもは、断末魔を上げる暇もなく消滅する。
「こ、これは聖魔法……!?」
「しかも、信じられないレベルだわ!」
村人たち、特にティアが口をあんぐりと開けて固まった。
ルーチェは魔法の威力を一度だけ5倍に高める【ドラウプニルの指輪】を使って、悪魔どもを全滅させたのだ。
「ルーチェ、大丈夫か!?」
俺は身体の弱いルーチェに、もしものことがあってはと心配になる。
「……はい。問題ありません」
さらには、ルーチェは【時間回帰】の能力を使って、【ドラウプニルの指輪】を復元させた。もし撃ち漏らした敵がいたら、もう一発撃つつもりのようだ。
「もうルーチェは戦う必要はないから、休んでいてくれ。ドラグーン、敵はもう周囲にいないか?」
『付近に敵影なし。だが、国境近くに悪魔の反応が多数あるのを確認した』
機神ドラグーンが表示した地図の座標は、例のA級ダンジョンの近くだ。やはり、例のダンジョンから悪魔が湧き出しているんだな。
『ヘルメス様! ようやく現場に使い魔が到着しました。これより、情報収集を行います!』
ドラニクルの作戦司令室より、少女オペレーターの声が届いた。王宮にレナ王女が不在の上、戦場が辺境であったため、サポートが遅れたらしい。
「ありがとう。例のダンジョンからは、アークデーモンまで出現している。一刻も早く攻略しなくちゃならない。帝国にバレないように、使い魔をダンジョンの偵察に向かわせてくれ」
上位悪魔まで出現したとなると、これはA級ダンジョンどころではなく、世界でも稀なS級ダンジョンに違いない。
攻略には入念な準備が必要だった。
『は、はい! こちらでもアークデーモンの出現を確認しました。すぐに調査に向かいます』
「お兄ちゃん! 村人たちの中には、怪我人もかなりいるようだよ」
シルヴィアがスクリーンに映し出された映像を指差す。重傷を負っている者、すぐに手当てが必要な者が多数いた。
「ティア! 怪我人の治療はできるか?」
「ヘルメス様!? じ、実はもうMPが尽きちゃって無理です!」
ティアがいたたまれなそうな声で答える。
怪我人の中には、俺の好物のパンを焼いてくれたおばさんもいた。
彼らを見殺しにはできない。
「……ルーチェ。すまないが、回復魔法を使ってもらえるか?」
これ以上、ルーチェに無理をさせるのは気が咎めるが、致し方ない。
「了解です。マスター、なぜ辛そうなお顔をなさるのですか? マスターのお役に立つことこそ、私の喜びであり、聖女たることは私の存在意義です」
ルーチェは何事もないかのように平然と告げた。
「そうか。身体に何か不調は無いよな?」
「問題ありません。どうぞ御心のままにご命令ください」
「わかった。行こう」
俺は機神ドラグーンのハッチを開いて、ルーチェとシルヴィアを抱えて外に飛び出した。
「て、天使だ……!」
ルーチェを目の当たりにした村人たちから、感嘆の声が上がった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,121
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる