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6章。みんなと合体する。超竜機神アルティメット・ドラグーン
69話。機械仕掛けの悪魔【アスモデウス】
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【聖女ティア視点】
「聖竜機バハムートだと? Dランク聖女ごときが!?」
ランディが舌打ちと共に、風竜機シルフィードを殴り飛ばした。
「グゥ!?」
風竜機は装甲のいたるところに亀裂が入って、噴煙が上がっている。かなりのダメージを受けているみたいだわ。
「ちょ!? もう風竜機がヤラレかけているの!?」
『大丈夫です。聖竜機バハムートは、守りと回復に特化した聖女のための機体です。命じてください【時間回帰】。風竜機の完全回復』
私の頭の中に、ルーチェの声が響いた。
えっ、これって……?
『私は聖竜機の頭脳──システムの一部です。あなたをサポートします』
「わ、わかったわ! 聖竜機、【時間回帰】。風竜機を完全回復させて!」
聖竜機バハムートの目が光ったかと思うと、風竜機の損傷が塞がっていく。時間が巻き戻ったのだ。
「なにッ!?」
「ありがたい聖女よ!」
機能回復した風竜機が、再びランディに立ち向かって行った。
「クソッ! ベヒーモス、ティアをとっとと片付けろ! 聖竜機バハムートと言っても、魔力を供給しているのはDランク聖女にすぎねぇ!」
ベヒーモスが身の毛がよだつような咆哮を上げて、私に襲いかかってきた。
私は縮み上がってしまう。
『恐れないで。聖魔法を使ってください。【聖壁(ホーリー・ウォール)】』
「ほ、【聖壁(ホーリー・ウォール)】!」
ルーチェに促されるままに、聖魔法を放つ。それは聖竜機の回路を通じて何十倍にも効果が増幅され、輝く大盾となってベヒーモスを弾き返した。
ギャオオオオオン!
しかも、私の【聖壁(ホーリー・ウォール)】に触れたベヒーモスは、身体が見えない炎に巻かれたように焼けただれている。
「こ、こここれって……?」
『敵は究極の悪魔系モンスターです。弱点である聖なる力──ここまで高密度な聖魔法に触れれば、甚大なダメージを受けます』
ルーチェの解説に、私は生唾を飲んだ。
Dランクのお漏らし聖女に過ぎない私が、S級ボスモンスターと戦えているなんて……
『自信を持ってください、ティア。ベヒーモスにとって、聖女であるあなたこそ天敵なのです』
胸に希望が溢れてくる。
こんな私でも、ロイの役に立つことが……みんなを守ることができるのね。
「よ、よし! 反撃よ【聖矢(ホーリー・アロー)】!」
私は手のひらをベヒーモスに向けて、攻撃系の聖魔法を放とうとする。
私と霊的にリンクしている聖竜機が、同じ動作をした。聖竜機は今や、私の一部となっていた。
聖竜機より信じられないほど増強、増幅された【聖矢(ホーリー・アロー)】が、ベヒーモスに放たれる。
ギュッオオオオオン!
「まさか、一撃だと……!?」
ベヒーモスは断末魔の雄叫びと共に、塵となって消滅していく。
ランディが驚愕にわなないた。
「か、勝てたの……!?」
『その通りです、ティア。聖女の魔法は、他人のために使ってこそ、威力を発揮します』
他人のため……?
私はずっと自分のためだけに、聖女の力を使ってきた。
うまく行けば調子に乗って大切な人を……ロイを見下し、傷つけてきた。
だけど今は、シルヴィアやお父さんを守りたい。なにより、両親を失ってずっと辛い思いをしてきたロイをこれ以上、悲しませたくない。
「よ、よし、とにかく、やったわ! コレでS級ダンジョンは消滅して、ロイが戻って来れるのね!」
『その通りです』
よし、あと、もう一踏ん張りよ。
「調子に乗りやがって、ロイの力に頼っているだけのDランク聖女が! クソッ、もう容赦しねぇ。完全に叩き潰してやる!」
ランディは風竜機から距離を取ると、右腕を空に掲げた。
「来い! 機械仕掛けの悪魔【アスモデウス】!」
落雷のような轟音が響き渡り、ランディの背後に鋼鉄の巨人が出現した。
全身が闇より暗い漆黒のオーラに包まれた恐怖の化身。ランディは、その巨人──アスモデウスに向かって跳躍すると、中に吸い込まれた。
ランディも、こんな巨大兵器を隠し持っていたなんて……
「ぐぅっ! 先手必勝よ!」
私は一瞬、立ちすくんだもの聖竜機の【聖矢(ホーリー・アロー)】を叩き込む。
ランディも悪魔の眷属なら、聖魔法は効果てきめんであるハズよ。
「えっ……!?」
だけど聖竜機の放った光の矢は、アスモデウスのまとう漆黒のオーラにかき消された。
嘘、まるでダメージを与えられていないの……?
「ハハハハハッ! この【アスモデウス】は、元々、最高位の天使だった悪魔王アスモデウスを模した機体だ。聖魔法への耐性もある完全無欠の存在だ! 格が違うんだよ!」
勝ち誇ったランディの高笑いが、響き渡った。
「そら! コイツで終いだ!」
アスモデウスの手元に大剣が出現する。闇をまとった禍々しい刃。
それが、息を飲む私に振り下ろされた。
「ぐぅっ! 【聖壁(ホーリー・ウォール)】!」
聖竜機バハムートを通して、超高密度の聖なる魔法障壁を展開する。
だけど、その輝く壁が、強引に斬り裂かれていく。
「はぅうううううッ!?」
今度こそ恐怖に、オシッコを漏らしそうになってしまう。
「身の程を知れ、小便たれ小娘! てめぇなんぞには、誰も守れやしねぇよ! 雑魚は雑魚らしく、ととっと死んどけ!」
「聖女よ!」
風竜機シルフィードが、アスモデウスにありとあらゆる風魔法攻撃を加えるも、ヤツは蚊にさされたほどの損傷も受けていない。
「うぁあああっ、ロイ……!」
最後にもう一度、ロイに会って、今までのことを全部謝りたかった。彼に感謝を伝えたかった。
で、でも、最期にシルヴィアを守り抜けたのなら、きっとロイは私のことを許してくれるハズだよね。
アスモデウスの大剣が私の頭上に振り下ろされる。私はギュッと目をつぶった。
「おう!」
だけど、死の瞬間は訪れなかった。
空間転移してきた機神ドラグーンが、悪魔王の大剣を受け止めていた。
「聖竜機バハムートだと? Dランク聖女ごときが!?」
ランディが舌打ちと共に、風竜機シルフィードを殴り飛ばした。
「グゥ!?」
風竜機は装甲のいたるところに亀裂が入って、噴煙が上がっている。かなりのダメージを受けているみたいだわ。
「ちょ!? もう風竜機がヤラレかけているの!?」
『大丈夫です。聖竜機バハムートは、守りと回復に特化した聖女のための機体です。命じてください【時間回帰】。風竜機の完全回復』
私の頭の中に、ルーチェの声が響いた。
えっ、これって……?
『私は聖竜機の頭脳──システムの一部です。あなたをサポートします』
「わ、わかったわ! 聖竜機、【時間回帰】。風竜機を完全回復させて!」
聖竜機バハムートの目が光ったかと思うと、風竜機の損傷が塞がっていく。時間が巻き戻ったのだ。
「なにッ!?」
「ありがたい聖女よ!」
機能回復した風竜機が、再びランディに立ち向かって行った。
「クソッ! ベヒーモス、ティアをとっとと片付けろ! 聖竜機バハムートと言っても、魔力を供給しているのはDランク聖女にすぎねぇ!」
ベヒーモスが身の毛がよだつような咆哮を上げて、私に襲いかかってきた。
私は縮み上がってしまう。
『恐れないで。聖魔法を使ってください。【聖壁(ホーリー・ウォール)】』
「ほ、【聖壁(ホーリー・ウォール)】!」
ルーチェに促されるままに、聖魔法を放つ。それは聖竜機の回路を通じて何十倍にも効果が増幅され、輝く大盾となってベヒーモスを弾き返した。
ギャオオオオオン!
しかも、私の【聖壁(ホーリー・ウォール)】に触れたベヒーモスは、身体が見えない炎に巻かれたように焼けただれている。
「こ、こここれって……?」
『敵は究極の悪魔系モンスターです。弱点である聖なる力──ここまで高密度な聖魔法に触れれば、甚大なダメージを受けます』
ルーチェの解説に、私は生唾を飲んだ。
Dランクのお漏らし聖女に過ぎない私が、S級ボスモンスターと戦えているなんて……
『自信を持ってください、ティア。ベヒーモスにとって、聖女であるあなたこそ天敵なのです』
胸に希望が溢れてくる。
こんな私でも、ロイの役に立つことが……みんなを守ることができるのね。
「よ、よし! 反撃よ【聖矢(ホーリー・アロー)】!」
私は手のひらをベヒーモスに向けて、攻撃系の聖魔法を放とうとする。
私と霊的にリンクしている聖竜機が、同じ動作をした。聖竜機は今や、私の一部となっていた。
聖竜機より信じられないほど増強、増幅された【聖矢(ホーリー・アロー)】が、ベヒーモスに放たれる。
ギュッオオオオオン!
「まさか、一撃だと……!?」
ベヒーモスは断末魔の雄叫びと共に、塵となって消滅していく。
ランディが驚愕にわなないた。
「か、勝てたの……!?」
『その通りです、ティア。聖女の魔法は、他人のために使ってこそ、威力を発揮します』
他人のため……?
私はずっと自分のためだけに、聖女の力を使ってきた。
うまく行けば調子に乗って大切な人を……ロイを見下し、傷つけてきた。
だけど今は、シルヴィアやお父さんを守りたい。なにより、両親を失ってずっと辛い思いをしてきたロイをこれ以上、悲しませたくない。
「よ、よし、とにかく、やったわ! コレでS級ダンジョンは消滅して、ロイが戻って来れるのね!」
『その通りです』
よし、あと、もう一踏ん張りよ。
「調子に乗りやがって、ロイの力に頼っているだけのDランク聖女が! クソッ、もう容赦しねぇ。完全に叩き潰してやる!」
ランディは風竜機から距離を取ると、右腕を空に掲げた。
「来い! 機械仕掛けの悪魔【アスモデウス】!」
落雷のような轟音が響き渡り、ランディの背後に鋼鉄の巨人が出現した。
全身が闇より暗い漆黒のオーラに包まれた恐怖の化身。ランディは、その巨人──アスモデウスに向かって跳躍すると、中に吸い込まれた。
ランディも、こんな巨大兵器を隠し持っていたなんて……
「ぐぅっ! 先手必勝よ!」
私は一瞬、立ちすくんだもの聖竜機の【聖矢(ホーリー・アロー)】を叩き込む。
ランディも悪魔の眷属なら、聖魔法は効果てきめんであるハズよ。
「えっ……!?」
だけど聖竜機の放った光の矢は、アスモデウスのまとう漆黒のオーラにかき消された。
嘘、まるでダメージを与えられていないの……?
「ハハハハハッ! この【アスモデウス】は、元々、最高位の天使だった悪魔王アスモデウスを模した機体だ。聖魔法への耐性もある完全無欠の存在だ! 格が違うんだよ!」
勝ち誇ったランディの高笑いが、響き渡った。
「そら! コイツで終いだ!」
アスモデウスの手元に大剣が出現する。闇をまとった禍々しい刃。
それが、息を飲む私に振り下ろされた。
「ぐぅっ! 【聖壁(ホーリー・ウォール)】!」
聖竜機バハムートを通して、超高密度の聖なる魔法障壁を展開する。
だけど、その輝く壁が、強引に斬り裂かれていく。
「はぅうううううッ!?」
今度こそ恐怖に、オシッコを漏らしそうになってしまう。
「身の程を知れ、小便たれ小娘! てめぇなんぞには、誰も守れやしねぇよ! 雑魚は雑魚らしく、ととっと死んどけ!」
「聖女よ!」
風竜機シルフィードが、アスモデウスにありとあらゆる風魔法攻撃を加えるも、ヤツは蚊にさされたほどの損傷も受けていない。
「うぁあああっ、ロイ……!」
最後にもう一度、ロイに会って、今までのことを全部謝りたかった。彼に感謝を伝えたかった。
で、でも、最期にシルヴィアを守り抜けたのなら、きっとロイは私のことを許してくれるハズだよね。
アスモデウスの大剣が私の頭上に振り下ろされる。私はギュッと目をつぶった。
「おう!」
だけど、死の瞬間は訪れなかった。
空間転移してきた機神ドラグーンが、悪魔王の大剣を受け止めていた。
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