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1章。偽勇者、本物に成り代わる
8話。ルカ様のような素晴らしい方にお仕えできて、幸せです!
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「……幻獣ユニコーンだと!? そんな隠し玉を持ってやがったなんて、聞いてねぇぞ!」
山のような巨体の黒いドラゴン。魔竜王ヴァルヴァドスが、迫りくるボクたちを睨みつけた。
「知るか! とっとと、くたばれヴァルヴァドス!」
「生意気な小娘が! 最上位精霊に認められたくらいで、調子に乗るんじゃねぇぞ。この俺様を誰だと思ってやがる! 魔王軍の中でも最強の誉れ高いヴァルヴァドス様だぞ!」
ずん、と大気が震えた。
魔竜王の身体から、どす黒い魔力が波動となって周囲に放たれる。気温が一気に低下したような寒気を感じた。
「まずい! 全軍、耐熱。対暗黒属性防御! 魔力をすべて絞り尽くしてもいい! ルカ様に防御を集中しろ!」
エリザがうろたえた様子で叫ぶ。
「攻撃力なら魔王様をも上回る俺様の恐ろしさ、骨の髄までたっぷり味あわせてやるぜ!
ちょいともったいないが、お供の美少女ちゃんたちも皆殺しだ!」
ヴァルヴァドスは顎を大きく開き、真っ赤な口腔をボクに向けた。
なにか、とてつもない攻撃が来る……!
怖い、めちゃくちゃ怖いけれど……ボクが、みんなを守らなくちゃ。
「フェリオ。走ってくれ。全速力だ!」
フェリオの腹を蹴って、さらなる加速をうながす。
彼は抗議するような声をあげたが、すぐにボクの意を汲んでくれた。さすがは人の心が読める幻獣ユニコーンだ。
聖騎士団を振り切るほどの疾風となって走る。
このまま少女たちの先頭にいたら、ボクを狙った攻撃で、みんなが巻き添えを喰らってしまうだろう。
そのため、右に旋回しながら突出して、少女たちを攻撃の射線からずらそうとした。
途中にいた邪魔な魔物は、すべてフェリオが魔法障壁で蹴散らしてくれる。
「逃げようってか!? 無駄なあがきだぜ! 竜言語魔法奥義【破滅の火(メギド・フレイム)】だ!」
噴火のような轟音と共に、ヴァルヴァドスの顎から黒い炎の本流が放たれる。
それは奴の配下の兵たちも飲み込みながら、一直線にボクに迫った。
真っ黒に塗りつぶされる視界。迫りくる破滅を拒否しようと、ボクは叫んだ。
「【光翼(シャイニング・フェザー)】!」
ボクの背中から、光輝く二対の翼が伸びる。
アルビオン王家は、女神の血を引く一族だという。
これはその血を色濃く受け継いだ、イルティアに生まれながらに備わっていたスキルだ。
その翼は暗黒の力に反発する神聖属性エネルギーの塊だった。
【光翼(シャイニング・フェザー)】でフェリオごと身を包んでガード。フェリオも魔法障壁を前方に展開して、着弾に備えた。
直後、意識が飛ぶような、すさまじい衝撃。
ボクの身を守る光の翼が弾かれ、地獄の業火に飲み込まれる。
痛み止めの薬を服用していたが、苦痛が強烈すぎて、思考が消し飛ぶ。
「ひ、姫様ぁあああ!?」
エルザと聖騎士団の絶叫が聞こえた。
だが。
「はぁ!? ……む、無傷だと!? この俺様、最大の攻撃を……!」
ヴァルヴァドスが目を剥く。
ボクが身にまとったドワーフ王の鎧は、あちこちひび割れ、破損し、無残なありさまになっていた。
だが、ボク自身は、スキル【コピー復元】のおかげで、受けた傷はすべて復元されていた。
はた目からは、きっと防ぎきったと見えただろう。
「よかった。みんな無事だな!」
尾を引く痛みに耐えながら、聖騎士団の女の子たちに手をふる。
「まさか、まさか……! ルカ姫様は私たちをかばって、ひとりで奴の攻撃を!?」
「な、なんと、無茶をなさいますの!?」
「これは、お説教! 帰ったら日が暮れるまでお説教です……!」
「ぐぅうう! 私、ルカ様のような素晴らしい方にお仕えできて、幸せです!」
すぐさま聖騎士団の隊列に合流したボクを、みなが歓呼と共に迎え入れてくれた。
山のような巨体の黒いドラゴン。魔竜王ヴァルヴァドスが、迫りくるボクたちを睨みつけた。
「知るか! とっとと、くたばれヴァルヴァドス!」
「生意気な小娘が! 最上位精霊に認められたくらいで、調子に乗るんじゃねぇぞ。この俺様を誰だと思ってやがる! 魔王軍の中でも最強の誉れ高いヴァルヴァドス様だぞ!」
ずん、と大気が震えた。
魔竜王の身体から、どす黒い魔力が波動となって周囲に放たれる。気温が一気に低下したような寒気を感じた。
「まずい! 全軍、耐熱。対暗黒属性防御! 魔力をすべて絞り尽くしてもいい! ルカ様に防御を集中しろ!」
エリザがうろたえた様子で叫ぶ。
「攻撃力なら魔王様をも上回る俺様の恐ろしさ、骨の髄までたっぷり味あわせてやるぜ!
ちょいともったいないが、お供の美少女ちゃんたちも皆殺しだ!」
ヴァルヴァドスは顎を大きく開き、真っ赤な口腔をボクに向けた。
なにか、とてつもない攻撃が来る……!
怖い、めちゃくちゃ怖いけれど……ボクが、みんなを守らなくちゃ。
「フェリオ。走ってくれ。全速力だ!」
フェリオの腹を蹴って、さらなる加速をうながす。
彼は抗議するような声をあげたが、すぐにボクの意を汲んでくれた。さすがは人の心が読める幻獣ユニコーンだ。
聖騎士団を振り切るほどの疾風となって走る。
このまま少女たちの先頭にいたら、ボクを狙った攻撃で、みんなが巻き添えを喰らってしまうだろう。
そのため、右に旋回しながら突出して、少女たちを攻撃の射線からずらそうとした。
途中にいた邪魔な魔物は、すべてフェリオが魔法障壁で蹴散らしてくれる。
「逃げようってか!? 無駄なあがきだぜ! 竜言語魔法奥義【破滅の火(メギド・フレイム)】だ!」
噴火のような轟音と共に、ヴァルヴァドスの顎から黒い炎の本流が放たれる。
それは奴の配下の兵たちも飲み込みながら、一直線にボクに迫った。
真っ黒に塗りつぶされる視界。迫りくる破滅を拒否しようと、ボクは叫んだ。
「【光翼(シャイニング・フェザー)】!」
ボクの背中から、光輝く二対の翼が伸びる。
アルビオン王家は、女神の血を引く一族だという。
これはその血を色濃く受け継いだ、イルティアに生まれながらに備わっていたスキルだ。
その翼は暗黒の力に反発する神聖属性エネルギーの塊だった。
【光翼(シャイニング・フェザー)】でフェリオごと身を包んでガード。フェリオも魔法障壁を前方に展開して、着弾に備えた。
直後、意識が飛ぶような、すさまじい衝撃。
ボクの身を守る光の翼が弾かれ、地獄の業火に飲み込まれる。
痛み止めの薬を服用していたが、苦痛が強烈すぎて、思考が消し飛ぶ。
「ひ、姫様ぁあああ!?」
エルザと聖騎士団の絶叫が聞こえた。
だが。
「はぁ!? ……む、無傷だと!? この俺様、最大の攻撃を……!」
ヴァルヴァドスが目を剥く。
ボクが身にまとったドワーフ王の鎧は、あちこちひび割れ、破損し、無残なありさまになっていた。
だが、ボク自身は、スキル【コピー復元】のおかげで、受けた傷はすべて復元されていた。
はた目からは、きっと防ぎきったと見えただろう。
「よかった。みんな無事だな!」
尾を引く痛みに耐えながら、聖騎士団の女の子たちに手をふる。
「まさか、まさか……! ルカ姫様は私たちをかばって、ひとりで奴の攻撃を!?」
「な、なんと、無茶をなさいますの!?」
「これは、お説教! 帰ったら日が暮れるまでお説教です……!」
「ぐぅうう! 私、ルカ様のような素晴らしい方にお仕えできて、幸せです!」
すぐさま聖騎士団の隊列に合流したボクを、みなが歓呼と共に迎え入れてくれた。
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