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3章。国王との決戦
48話。国王との一騎打ち
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まさか魔王となってまで女神を滅ぼそうとするなんて。
仮にも元勇者が、なぜここまで狂気に支配されたのか、理解できない。
「余は一騎打ちにおいては小細工は好まん。真っ向勝負でお前を斬り伏せる」
国王の身体が何倍にも膨れあがったかのような威圧を感じた。
腰を深く落としたその構えには、見覚えがあった。
師匠から伝授された奥義の構えそのものだ。
まさか、国王も破神流を学んでいたのか?
奥義は防御も回避も不可能な技。対抗するにはこちらも奥義で迎え撃つしかない。
ボクも【光翼(シャイニング・フェザー)】を展開し、能力値を引き上げる。そして、即席の魔法の鞘で聖剣を覆った。
「永らく待ちわびたぞ、この時を!」
シュナイゼルから歓喜の声がほどはしる。
「「天破雷神閃!」」
閃光がぶつかり合った。
ボクは弾き飛ばされ、余波で部屋に深い亀裂が幾筋も入った。
空中都市に激震が走り、床が傾く。
「ルカ様!」
衝撃に両腕がへし折るが、生命力を無限回復するスキル【コピー復元】のおかげで、怪我はすぐに復元された。
慌てて聖剣を構え直す。
「ほう。余の雷神閃と、ほぼ互角か」
シュナイゼルは無傷だが、剣が砕け散っていた。
「この魔剣はSランクの神話級の武器なのだが、貴様の聖剣と比べたら形無しだな」
今の一撃でわかった。能力値では、国王はボクをはるかに上回っている。
だが、武器ならボクに分がある。
この聖剣は、大勢の人の想いの結晶だ。どんな武器とぶつかり合っても、へし折れることはないだろう。
「だが、この程度が余の力のすべてではないぞ」
国王の目の前の空間に黒い穴が開く。彼はその中に手を差し入れると、燦然たる輝きを放つ宝剣を取り出した。
「武器をいくら破壊しても無駄ということか……」
「しかり。余の宝物庫には、世界中から収集、略奪した神話級のアイテムが眠っておるのでな」
長期戦になれば、こちらが不利。
しかも、国王にはまだ奥の手があるようだった。
ボクの背に冷たい汗が流れ落ちる。
「ルカ様! 加勢いたします!」
「至強を決する闘いぞ。控えぬか下郎」
エリザがボクを庇おうと前に出るが、それをルディア姫が阻んだ。
「お父様の邪魔はさせません」
「くっ!」
吹き付けられる殺気に、力の差を感じ取ってエリザがうめく。
やはりこのルディア姫は、他の天魔騎士とは別格のようだ。
「エリザ、大丈夫だ。下がっていてくれ」
国王が一対一の闘いにこだわってくれるな、望むところだ。
「ルディア。エリザが邪魔に入ったら、遠慮なく叩き潰せ。だが、殺してはならん。アナスタシア姫の大事な妹君であるからな」
「なに……?」
国王の言葉に、ボクは目を瞬く。
そんなことは初耳だ。エリザが言っていた奴隷にされた姉とは、アナスタシア姫のことだったのか?
「ルカ様、申し訳ありません。隠していたのではなく、人間の血が混じった私はエルフの王族を名乗ることを固く禁じられているのです」
エリザが罪悪感のこもった声で告白する。
つまり、エリザはエルフの王女ということだ。
「くだらない掟です。エリザ、あなたを王都から追放したわたくしのために、身を粉にするのは、どうかやめてください!」
「いいえ! 姉上をお助けし、エルフ王国を再建するのが、エリザの悲願です! 姉上が王座に着いてくだされば、私のようなハーフエルフも胸を張って生きていけます!」
エリザがアナスタシア姫を見つめながら叫ぶ。
「エリザ……わたくしが王座になど、わたくしにはそんな資格はないのです」
「なにを仰せですか、姉上!」
アナスタシア姫は、うつむいて涙を流した。
その姿を目の当たりにして、ボクは闘志を新たにする。
「シュナイゼル、次の一撃で決着をつけてやる!」
ボクは腰を落として、再び雷神閃の構えを取った。
出し惜しみはしていられない。奥義はヤツに届かなかったが、こちらにもまだ切り札はある。
仮にも元勇者が、なぜここまで狂気に支配されたのか、理解できない。
「余は一騎打ちにおいては小細工は好まん。真っ向勝負でお前を斬り伏せる」
国王の身体が何倍にも膨れあがったかのような威圧を感じた。
腰を深く落としたその構えには、見覚えがあった。
師匠から伝授された奥義の構えそのものだ。
まさか、国王も破神流を学んでいたのか?
奥義は防御も回避も不可能な技。対抗するにはこちらも奥義で迎え撃つしかない。
ボクも【光翼(シャイニング・フェザー)】を展開し、能力値を引き上げる。そして、即席の魔法の鞘で聖剣を覆った。
「永らく待ちわびたぞ、この時を!」
シュナイゼルから歓喜の声がほどはしる。
「「天破雷神閃!」」
閃光がぶつかり合った。
ボクは弾き飛ばされ、余波で部屋に深い亀裂が幾筋も入った。
空中都市に激震が走り、床が傾く。
「ルカ様!」
衝撃に両腕がへし折るが、生命力を無限回復するスキル【コピー復元】のおかげで、怪我はすぐに復元された。
慌てて聖剣を構え直す。
「ほう。余の雷神閃と、ほぼ互角か」
シュナイゼルは無傷だが、剣が砕け散っていた。
「この魔剣はSランクの神話級の武器なのだが、貴様の聖剣と比べたら形無しだな」
今の一撃でわかった。能力値では、国王はボクをはるかに上回っている。
だが、武器ならボクに分がある。
この聖剣は、大勢の人の想いの結晶だ。どんな武器とぶつかり合っても、へし折れることはないだろう。
「だが、この程度が余の力のすべてではないぞ」
国王の目の前の空間に黒い穴が開く。彼はその中に手を差し入れると、燦然たる輝きを放つ宝剣を取り出した。
「武器をいくら破壊しても無駄ということか……」
「しかり。余の宝物庫には、世界中から収集、略奪した神話級のアイテムが眠っておるのでな」
長期戦になれば、こちらが不利。
しかも、国王にはまだ奥の手があるようだった。
ボクの背に冷たい汗が流れ落ちる。
「ルカ様! 加勢いたします!」
「至強を決する闘いぞ。控えぬか下郎」
エリザがボクを庇おうと前に出るが、それをルディア姫が阻んだ。
「お父様の邪魔はさせません」
「くっ!」
吹き付けられる殺気に、力の差を感じ取ってエリザがうめく。
やはりこのルディア姫は、他の天魔騎士とは別格のようだ。
「エリザ、大丈夫だ。下がっていてくれ」
国王が一対一の闘いにこだわってくれるな、望むところだ。
「ルディア。エリザが邪魔に入ったら、遠慮なく叩き潰せ。だが、殺してはならん。アナスタシア姫の大事な妹君であるからな」
「なに……?」
国王の言葉に、ボクは目を瞬く。
そんなことは初耳だ。エリザが言っていた奴隷にされた姉とは、アナスタシア姫のことだったのか?
「ルカ様、申し訳ありません。隠していたのではなく、人間の血が混じった私はエルフの王族を名乗ることを固く禁じられているのです」
エリザが罪悪感のこもった声で告白する。
つまり、エリザはエルフの王女ということだ。
「くだらない掟です。エリザ、あなたを王都から追放したわたくしのために、身を粉にするのは、どうかやめてください!」
「いいえ! 姉上をお助けし、エルフ王国を再建するのが、エリザの悲願です! 姉上が王座に着いてくだされば、私のようなハーフエルフも胸を張って生きていけます!」
エリザがアナスタシア姫を見つめながら叫ぶ。
「エリザ……わたくしが王座になど、わたくしにはそんな資格はないのです」
「なにを仰せですか、姉上!」
アナスタシア姫は、うつむいて涙を流した。
その姿を目の当たりにして、ボクは闘志を新たにする。
「シュナイゼル、次の一撃で決着をつけてやる!」
ボクは腰を落として、再び雷神閃の構えを取った。
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