外れスキル《魔王城クリエイト》で無敵の城を築け!〜魔王の娘であることが発覚して実家を追放された聖女は、最強城塞を築いて引きこもります

こはるんるん

文字の大きさ
31 / 37
3章。魔王城、攻防戦

31話。聖女シルヴィア、軍勢を率いて出陣する

しおりを挟む
「城塞都市ゼルビアに送り込んだ、試験部隊が全滅だと!?」


 伝書鳩の知らせを受けたロイドお父様が、驚きに声を震わせていた。


「どうしたんですの、お父様?」


 聖女である私の問いかけを無視して、お父様は食い入るようにメモ書きを読む。


「な、なんということだ……アルフィンによって、エンジェル・ダストの実験が中止に追い込まれたらしい。天兵を魔王城に送り込む計画は御破算だ!」


「はあ?」


 私は間の抜けた声を上げてしまった。


「クソっ! 捕らえられた聖騎士どもの口から、俺の名前が出るようなことがあったら……お、俺の名声に傷がつくではないか!?」


 お父様は腹立ち紛れに近くの壁を殴りつける。壁は陥没して、大穴が開いた。

 名声ですって? そんなツマラナイことにこだわっている場合ではない。


「それはつまり、アルフィンお姉様の抹殺がうまくいっていないどころか。逆にこちらが攻め込まれている、ということじゃありませんの!?」


 私は激怒してお父様に詰め寄る。


「あ、ありていに言えば、そういうことだが……」


 お父様はしどろもどろになった。

 まるで状況の深刻さを理解していないようだった。敵は先手を打って、こちらの切り札を潰しにきたんですのよ?

 このまま手をこまねいていれば、防戦一方になる恐れがある。


「わかりました! 結構です! お父様になど、任せてはおけませんわ。私が出陣して、お姉様を討ち取ります!」


「い、いや、しかし、お前に万が一のことがあったら……」


「はぁッ!? 聖女である私が、魔王の娘ごときに負けるとお思いですの!?」


 私は地団駄を踏んだ。


「それに私とエルトシャン殿下の仲は、現在最悪ですわ! 殿下は、熱に浮かされたように、毎日、毎日、アルフィン、アルフィンって! もう私、気がおかしくなりそうなんですのよ!」


 お父様は私にエルトシャン殿下を落とせというけれど、そんなことは絶対に無理だった。

 解決策はひとつしかない。


「一秒でも早く、あの魔女をこの世から抹殺しなければ、私に幸せな未来などありえませんわ。お父様、ヴェルトハイム聖騎士団の指揮権をいただきます!

 それと傭兵を雇い入れて、魔王城を徹底的に叩きますのよ!」


「指揮権とは……お前が軍の指揮を取るのか?」


 お父様は怪訝な面持ちになった。


「ええっ。腰抜けのお父様になど、任せてはおけませんわ。聖女である私が先頭に立って戦います!」


「こ、腰抜けだと……!?」


 お父様は一瞬、怒気をにじませたが、怒りをぐっと飲み込んだ。

 権力と名声が欲しいこの人は、そのための重要な駒である私に頭が上がらない。強気に出れば、簡単に折れる。


「し、しかし、それには聖王陛下から遠征のお許しをだな。マケドニア王国からも軍勢の通行許可をもらう必要がある。

 聖王国軍を魔王城に差し向けるためには、準備に相当な時間が……」


 アルフィンが魔王の血を引いていたことを隠したいお父様は、聖王国軍全体を動かすことを渋っていた。

 そのために、子飼いの聖騎士たちを使って、天兵の実験などしていたのだが、もうそんな悠長なことをしている暇はない。


「そんなことをしている間に、アルフィンお姉様はどんどん力を付けていきますわ! 今ある動かせる私兵を使って、即刻叩きます! 魔王と戦うのに反対するような奴がいたら、聖女の権威で黙らせますわ!」


 私が叩き付けるように言うと、お父様は勢いに呑まれて、コクコクと頷いた。


「わ、わかった……それなら俺も出陣しよう。アルフィンをこのまま放置しておけば、やがて俺の名声も危うくなるだろうからな……」


 保身しか頭に無いお父様らしい物言いだった。

 魔王ランギルスに勝てないにしても、勇者であるお父様が優れた駒であることは、間違いない。


 その時、私の脳裏に閃く物があった。

 天使の力を得るというエンジェル・ダストの実験については、私もある程度の話を聞いていた。


 それによると、エンジェル・ダストによって得られる力には個人差があるらしい。

 まったく力を得られずに副作用で廃人になってしまう者もいれば、爆発的な力を得た者もいたとか……


 なら勇者であるお父様に大量投与したら、どうなるかしら? 勇者は『神に勝利を約束された者』と呼ばれる。天使との相性は良いハズ……

 かなり上位の天使を降臨させることができるかも知れませんわね。


 その結果、お父様は廃人になってしまう危険もあるけれど……尊い犠牲というものですわ。アルフィンさえ倒せれば、お父様はもう用済みですもの。

 私は内心、ほくそ笑んだ。


「では、お父様、ヴェルトハイム聖騎士団5000にさっそく出陣の命令を。魔王を再び倒せば、お父様の名声は盤石となります。エルトシャン殿下も、きっと私に振り向いてくれますわ!」


「わ、わかったシルヴィア。この俺とお前の輝かしい未来のため、共に戦おうではないか!」


 私は聖女としての力を磨き、天使の7番目の位階にある権天使を召喚できるようになっていた。

 天兵と呼ばれる大天使より、上位の天使だ。


 奥の手も確保したし、これであの憎き魔女アルフィンをズタズタにしてやれると思うと、笑みが溢れてくる。


 さあ、思い知らせてやりますわよ、アルフィンお姉様……!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! 圧倒的不利な状況を武と知略で切り抜ける! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

自分をドラゴンロードの生まれ変わりと信じて止まない一般少女

神谷モロ
ファンタジー
 主人公ルーシーは10歳の少女である。  彼女はなぜか自分を「呪いのドラゴンロード」の生まれ変わりと信じてやまない。  そんな彼女の日常と少しばかりの冒険のお話。 ※この作品は『カイルとシャルロットの冒険~ドラゴンと魔剣~』のエピローグから10年後のお話です。  どちらの作品も主人公が違うので時系列を追う必要はありませんが興味を持たれたらご一読お願いします。  カクヨムでも投稿しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する

うーぱー
ファンタジー
アーサーはハズレスキル『レベル1固定』を授かったため、家を追放されてしまう。 そして、ショック死してしまう。 その体に転成した主人公は、とりあえず、目の前にいた弟を腹パンざまぁ。 屋敷を逃げ出すのであった――。 ハズレスキル扱いされるが『レベル1固定』は他人のレベルを1に落とせるから、ツヨツヨだった。 スキルを活かしてアーサーは大活躍する……はず。

処理中です...