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今日も俺の目覚めはソランツェの腕の中。抱き締められて眠るのって良いな。離れたくないなあって今日もすりすりとソランツェに擦りついていたらギュッと頭を抱き締められて動きを止めさせられる。
「ソランツェ、苦しいってば」
「これ以上は今はダメだ」
抗議の声を上げるとダメなんて言いながら腰をクイッと押し付けてきたので、ダメってのに色んな意味があるなあと笑ってしまった。一旦離してもらって顔をあげると悪戯っぽい笑みを浮かべたソランツェの顔があってどちらからともなく軽くおはようのキスをする。
「やらしいなあ」
「昨日は大人しく寝たからな」
昨日は届けられた夕飯を食べた後、気が抜けたのか早々に眠くなってしまったのでソランツェと一緒にベッドに入ってすんなりと寝た。寝ようという意思を持てば一瞬で寝れるからな、アシュマルナのおかげで。
食器は廊下に出して置いてくれというのでそうしたから、昨日テッドさん達とアルミオ達が話したかどうかも知らない。起きたら聞こうとは思うけど……
「まだ早いよな」
「ああ」
「じゃあ、もうちょっとだけくっついてよっと」
そう言って腕を上げて誘うとスッと体が入り込んで来て抱き締めてきた。そのままソランツェは首筋や鎖骨周辺を痕にならない強さで何回もキスしてきたり腰をやらしい手付きで揉んだりしてくるので身体が反応してしまいそうになる。
「もう……ダメなんじゃないのかよ」
「くっついてるだけだが?」
「うーん、見解の相違があるな」
「あるなら無くせばいい」
二人でクスクス笑いながら抱き合う。お互いの手付きにこれはもう単純に抱き合うだけじゃないなあ、なんて。
++++++
さて、すっきりした朝ですね!って感じでお着替えしましょうか。魔法でですけど。
「まずはテッドさん達の方でいいかな」
昨日、あれから話したのかどうか聞きに行く。一階の受付に顔を出すとすぐに俺達に気付いたテッドさんは穏やかな笑顔で挨拶をしてくれた。その表情から良い方向に話が進んだのかなって予想できる。
「おはようございます。昨日はどうでした?」
「おはようございます。お陰様でって言い方も変ですが、はい」
昨日はアルミオ達の夕食後に話したそうだけど、すぐに話はまとまったらしい。アルミオから「本当にお願いしても大丈夫なんでしょうか」と言われた時に、昔コルアディオさんも住み込みでと提案した時に同じ言葉を言ったなと思い出し、そう告げ親子なんだねえと言うとアルミオがわんわん泣き出したそうだ。
「もう、私も泣いてしまいましたよ」
イルムはイルムで泣いているアルミオの横で「俺はこれから宿屋さんになるんだよね!」と言って喜んでいたそうだが、ミルロレーヌさんも当時「私はこれから宿屋さんになるのね!」とこれまた言っていたそうで、こりゃすごいとあまりの偶然に大笑いしたそうだ。
「私もアルミオも涙がどっか行ってねえ」
「そりゃそうなりますよねえ」
聞いただけでもこっちまで笑ってしまう。あー、本当によかったなあって思う。
「話し合った結果、アルミオ達には宿屋の仕事を手伝ってもらう事にしたんです」
アルミオは、初めはただ置いてもらうのは出来ないとイルムが宿屋の手伝いをしてアルミオが変わらずギルドで依頼を熟してお金を稼いで渡すという事にしようと思っていたらしいが、今回の事を経験してイルムがギルドの仕事はもう嫌だ、しないでと泣いて嫌がったので二人で宿屋の仕事を手伝う事でも良いだろうかと申し訳無さそうに言ってきたらしい。
そんな事考えなくていい、まずは健康的な体になるのが先だよとは言ったが全てが父親似のアルミオがそれだけでは良しと出来ないだろうと思ったので受け入れ、手伝ってもらう事にしたそうだ。
「まずは部屋の清掃とか買い物とかからですがね」
聞くとアルミオは”おそらく平民ではない”両親からの教育のおかげか字は書けるし読めるし算術も問題ないらしく、慣れたら色々手伝ってもらう事が増えそうですと笑っていた。
「でも、まずは兄弟二人ともに安らいでもらいたいですね」
柔らかく笑うテッドさんに心から同意して、まだ部屋にいるアルミオ達に会いに行こう。
++++++
「入っていいか?」
アルミオ達の部屋をソランツェにノックしてもらう。ええ、俺は手が塞がっているのです。調子乗って作り過ぎた服をそれぞれのものに分けて袋に詰めて抱えてるんですね。
どうぞ、と開けてくれたアルミオがソランツェの後ろの俺をみてちょっと戸惑っているが、そのまま中に入りベッドの上にドンと袋を置く。
「リヒト兄ちゃんこれなに?」
本当は完全におじさん年齢なのに兄ちゃんと呼んでくれるイルムに少々後ろめたさを感じつつ、大きな袋に興味津々のイルムに袋の中身を見せる。
「これさ、作り過ぎちゃってもらって欲しいんだ」
「服?」
「そうだよ」
「すごい!いっぱいだ!」
袋の中身を見て無邪気に喜ぶイルムに、予想通りめちゃくちゃ戸惑っているアルミオがいる。
「あ、あの……」
「拾ったとでも思ってくれ。必要な物だしと作り過ぎたらしい」
「あんなにいっぱい、いいんでしょうか……というか、作ったって……」
「……詳しくは言えないが、作る事に関して彼には何の負担も無いから気にするな」
「はあ……あの、はい、有難うございます」
イルムと袋の中身を出してキャッキャッとしつつもソランツェとアルミオの会話に聞き耳を立てていたので、アルミオが一応受け入れたのを確認してから着替えてみようかとイルムに提案する。うん!と言ってくれたので
「アルミオもね」
「え?あ、はい。え?」
「あっ、待て!リヒ――「はい、いくよ~」
パチンと指を鳴らして二人を着替えさせた。着替えさせた服は俺が作ったやつの一着だったけど、アシュマルナが無駄に光と花びらのエフェクト付けてくれたもんで、イルムは純粋にすごいすごいとはしゃいでいたが、アルミオは驚き戸惑っていて、どういう事かといった目で俺を見てソランツェを見てと何回も繰り返している。
「……詳しく言っても良いが聞きたいか?」
アルミオが顔をめちゃくちゃブンブン振っている横で俺はソランツェに軽くではあるけど拳骨を喰らった……。めっちゃくちゃ痛いっす。
「ソランツェ、苦しいってば」
「これ以上は今はダメだ」
抗議の声を上げるとダメなんて言いながら腰をクイッと押し付けてきたので、ダメってのに色んな意味があるなあと笑ってしまった。一旦離してもらって顔をあげると悪戯っぽい笑みを浮かべたソランツェの顔があってどちらからともなく軽くおはようのキスをする。
「やらしいなあ」
「昨日は大人しく寝たからな」
昨日は届けられた夕飯を食べた後、気が抜けたのか早々に眠くなってしまったのでソランツェと一緒にベッドに入ってすんなりと寝た。寝ようという意思を持てば一瞬で寝れるからな、アシュマルナのおかげで。
食器は廊下に出して置いてくれというのでそうしたから、昨日テッドさん達とアルミオ達が話したかどうかも知らない。起きたら聞こうとは思うけど……
「まだ早いよな」
「ああ」
「じゃあ、もうちょっとだけくっついてよっと」
そう言って腕を上げて誘うとスッと体が入り込んで来て抱き締めてきた。そのままソランツェは首筋や鎖骨周辺を痕にならない強さで何回もキスしてきたり腰をやらしい手付きで揉んだりしてくるので身体が反応してしまいそうになる。
「もう……ダメなんじゃないのかよ」
「くっついてるだけだが?」
「うーん、見解の相違があるな」
「あるなら無くせばいい」
二人でクスクス笑いながら抱き合う。お互いの手付きにこれはもう単純に抱き合うだけじゃないなあ、なんて。
++++++
さて、すっきりした朝ですね!って感じでお着替えしましょうか。魔法でですけど。
「まずはテッドさん達の方でいいかな」
昨日、あれから話したのかどうか聞きに行く。一階の受付に顔を出すとすぐに俺達に気付いたテッドさんは穏やかな笑顔で挨拶をしてくれた。その表情から良い方向に話が進んだのかなって予想できる。
「おはようございます。昨日はどうでした?」
「おはようございます。お陰様でって言い方も変ですが、はい」
昨日はアルミオ達の夕食後に話したそうだけど、すぐに話はまとまったらしい。アルミオから「本当にお願いしても大丈夫なんでしょうか」と言われた時に、昔コルアディオさんも住み込みでと提案した時に同じ言葉を言ったなと思い出し、そう告げ親子なんだねえと言うとアルミオがわんわん泣き出したそうだ。
「もう、私も泣いてしまいましたよ」
イルムはイルムで泣いているアルミオの横で「俺はこれから宿屋さんになるんだよね!」と言って喜んでいたそうだが、ミルロレーヌさんも当時「私はこれから宿屋さんになるのね!」とこれまた言っていたそうで、こりゃすごいとあまりの偶然に大笑いしたそうだ。
「私もアルミオも涙がどっか行ってねえ」
「そりゃそうなりますよねえ」
聞いただけでもこっちまで笑ってしまう。あー、本当によかったなあって思う。
「話し合った結果、アルミオ達には宿屋の仕事を手伝ってもらう事にしたんです」
アルミオは、初めはただ置いてもらうのは出来ないとイルムが宿屋の手伝いをしてアルミオが変わらずギルドで依頼を熟してお金を稼いで渡すという事にしようと思っていたらしいが、今回の事を経験してイルムがギルドの仕事はもう嫌だ、しないでと泣いて嫌がったので二人で宿屋の仕事を手伝う事でも良いだろうかと申し訳無さそうに言ってきたらしい。
そんな事考えなくていい、まずは健康的な体になるのが先だよとは言ったが全てが父親似のアルミオがそれだけでは良しと出来ないだろうと思ったので受け入れ、手伝ってもらう事にしたそうだ。
「まずは部屋の清掃とか買い物とかからですがね」
聞くとアルミオは”おそらく平民ではない”両親からの教育のおかげか字は書けるし読めるし算術も問題ないらしく、慣れたら色々手伝ってもらう事が増えそうですと笑っていた。
「でも、まずは兄弟二人ともに安らいでもらいたいですね」
柔らかく笑うテッドさんに心から同意して、まだ部屋にいるアルミオ達に会いに行こう。
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「入っていいか?」
アルミオ達の部屋をソランツェにノックしてもらう。ええ、俺は手が塞がっているのです。調子乗って作り過ぎた服をそれぞれのものに分けて袋に詰めて抱えてるんですね。
どうぞ、と開けてくれたアルミオがソランツェの後ろの俺をみてちょっと戸惑っているが、そのまま中に入りベッドの上にドンと袋を置く。
「リヒト兄ちゃんこれなに?」
本当は完全におじさん年齢なのに兄ちゃんと呼んでくれるイルムに少々後ろめたさを感じつつ、大きな袋に興味津々のイルムに袋の中身を見せる。
「これさ、作り過ぎちゃってもらって欲しいんだ」
「服?」
「そうだよ」
「すごい!いっぱいだ!」
袋の中身を見て無邪気に喜ぶイルムに、予想通りめちゃくちゃ戸惑っているアルミオがいる。
「あ、あの……」
「拾ったとでも思ってくれ。必要な物だしと作り過ぎたらしい」
「あんなにいっぱい、いいんでしょうか……というか、作ったって……」
「……詳しくは言えないが、作る事に関して彼には何の負担も無いから気にするな」
「はあ……あの、はい、有難うございます」
イルムと袋の中身を出してキャッキャッとしつつもソランツェとアルミオの会話に聞き耳を立てていたので、アルミオが一応受け入れたのを確認してから着替えてみようかとイルムに提案する。うん!と言ってくれたので
「アルミオもね」
「え?あ、はい。え?」
「あっ、待て!リヒ――「はい、いくよ~」
パチンと指を鳴らして二人を着替えさせた。着替えさせた服は俺が作ったやつの一着だったけど、アシュマルナが無駄に光と花びらのエフェクト付けてくれたもんで、イルムは純粋にすごいすごいとはしゃいでいたが、アルミオは驚き戸惑っていて、どういう事かといった目で俺を見てソランツェを見てと何回も繰り返している。
「……詳しく言っても良いが聞きたいか?」
アルミオが顔をめちゃくちゃブンブン振っている横で俺はソランツェに軽くではあるけど拳骨を喰らった……。めっちゃくちゃ痛いっす。
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