66 / 148
64
しおりを挟む
「愚かな女だ、この国の王ですら救えぬお前の命、この男がどうにか出来ると思っているのか」
「いや、こんな事で命なんていらねえし」
入って来るなり言い放ったそこそこイケメン君(と思われる聖騎士)の発言にポロッとついツッコミを入れてしまった俺の頭をソランツェが撫でる。
「リヒトはそうだろうが、リヒトを護る俺達はそうはいかない」
ソランツェの言葉にそこイケ君が頷いている。
「判ってる、判ってるよもう」
++++++
流石に聖騎士が現れたとなれば本気でヤバいのだと理解したうさ耳は大人しくなり、抵抗を止めて連れて行かれた。ギルドマスターも一緒に連れて行かれてそれを見送る周囲も静まり返っている。
軽い嫌がらせとして規模は小さいとはいえ立派な傷害事件ばかり起こしている彼女は、この後領主の方に引き渡されるそうで、過去に被害の訴えがあるのを知りながら野放しにしていたギルドマスターはもちろんの事、彼女の被害に直接遭った人やその話を詳しく知っている人なども後で事情を聞かれるらしい。
「判ってるけどさ……でも、俺相手だったからって言って特別視しないでって……、それだけの事で極刑みたいな事しないでって一応言ってくれる?俺には未遂だったんだし」
「承知いたしました。リヒト様の御心のままに」
兜を取ったそこそこイケメン君改めライアス・ニングレー君(ようやく聞いた)にお願いすると、了承してくれたし信じるけど……もう俺にはどうなるか判んない。結果が俺の耳に入る事あるかな?……うーん、無さそう。
「そういえば、ギルドマスターの用事はそもそも何だったの?」
近くにいたアレンさんに訊くと苦笑しながら、多分(愛し子の)俺に『挨拶』をしたかっただけだったのではと教えてくれた。
「(上の人間に取り入るのにひどく長けている人でして)」
「(ああ、なるほど)」
すぐさま謝罪したのはそういう所もあるんだろうなって……そうだ。ここに居る人達に謝っておこう。俺達きっかけだもん、これ。
「みなさん、お騒がせしてしまってすみませんでした!」
俺が周りの人達に向けて頭を下げて謝ると、ソランツェやライアスまで一緒に下げてくれた。うおぉ……。まあ、こういう事なんだよなあ……。
顔を上げるとみんなポカンとしてしまっていたが、そのまま続ける。ついでにもういいやとフードも取り、この世界ではいないらしい珍しい髪色を露にすると戸惑いと驚きの声が上がった。
「お疲れのところご迷惑おかけしました。みなさんの疲れが癒えますように」
胸の前で手を組んだそれっぽいポーズで魔法を発動させる。疲労回復と怪我してる人はついでに治癒しておこうかな。
俺の体が柔らかい光に包まれるとギルド内全体に例の花びらと光が舞いみんなに吸収されて消え、どうかな?と思っていると、自分たちの体調の変化に気付いたのかざわざわし始めた。怪我をしていた人達も綺麗に治癒されてる事に気付いて驚いている。
「では、リヒト様」
まだ全員が驚きから立ち直っていない間にライアスの誘導で外に出ようとすると
「あんたらは何も悪くねえんだから気にすんなよ」
「そうそう、災難だったな」
と、言ってくれる声がどこかからか聞こえ他の人達も同意の声をあげてくれてちょっとホッとした。
「ありがとうございます」
++++++
「明日、そっちに行くってジェロイスさんに伝えてくれる?」
ギルドから少し離れた場所で一旦止まりライアスにそう告げるとすぐに了承してくれ、そういう事ならば明日俺達の宿まで迎えに行くとそのまま別れた。
宿屋に戻る前に夕飯を食べようと店まで歩きながら、自由に歩けるのってこれが最後?どうなの?とぐるぐる考える。うーん……。
「……いいのか?」
黙ったまま歩く俺に少し心配そうな声で尋ねてきたソランツェに仕方ないよと返す。それ以外ないよな。
「まさかあの子があんな事やらかすとは思わなかったなあ」
「俺の目の前でやるとはな」
「ホントだよ……」
乾いた笑いしか出てこないわ、マジで。
「……あの時、リヒトが傷付けられそうになった怒りからか……。無意識とはいえ剣まで抜くのは少しやり過ぎたかと思ってな」
「うん」
「そのまま”伴侶”に危害を加えられそうになったから激怒したという風に、どうにかしようと思っていたんだが……」
「は?」
え?俺、慌てて遮ったけど……?
「遮られたと同時に少し冷静になったからか教会の者だろう強い怒気を感じ取れて、”愛し子様”として、これはこのままリヒトに命を庇わせた方がいいかもしれんと」
「そうじゃなかったら……」
「後日物言わぬ姿で発見されていたかもな。しかし、あの女は飛び抜けていたが……」
ファンディオに限らずの話で結構稼いでいる冒険者には群がる者も多くて、互いを蹴落とそうと似た様な事をする人達は男女ともによくいるらしい。うわぁお。
「この先も似た様な事起こりそうだし、やっぱり俺の事公表してもらうしかないんだよなあ……」
触らぬ神に祟りなし状態を自ら作り出すしかないという事に、大きなため息を吐くとクイッと引き寄せられてチュッと軽く頬にキスされた。
「俺が横にいる理由も併せてな」
え~っと、それどっちの理由?
「いや、こんな事で命なんていらねえし」
入って来るなり言い放ったそこそこイケメン君(と思われる聖騎士)の発言にポロッとついツッコミを入れてしまった俺の頭をソランツェが撫でる。
「リヒトはそうだろうが、リヒトを護る俺達はそうはいかない」
ソランツェの言葉にそこイケ君が頷いている。
「判ってる、判ってるよもう」
++++++
流石に聖騎士が現れたとなれば本気でヤバいのだと理解したうさ耳は大人しくなり、抵抗を止めて連れて行かれた。ギルドマスターも一緒に連れて行かれてそれを見送る周囲も静まり返っている。
軽い嫌がらせとして規模は小さいとはいえ立派な傷害事件ばかり起こしている彼女は、この後領主の方に引き渡されるそうで、過去に被害の訴えがあるのを知りながら野放しにしていたギルドマスターはもちろんの事、彼女の被害に直接遭った人やその話を詳しく知っている人なども後で事情を聞かれるらしい。
「判ってるけどさ……でも、俺相手だったからって言って特別視しないでって……、それだけの事で極刑みたいな事しないでって一応言ってくれる?俺には未遂だったんだし」
「承知いたしました。リヒト様の御心のままに」
兜を取ったそこそこイケメン君改めライアス・ニングレー君(ようやく聞いた)にお願いすると、了承してくれたし信じるけど……もう俺にはどうなるか判んない。結果が俺の耳に入る事あるかな?……うーん、無さそう。
「そういえば、ギルドマスターの用事はそもそも何だったの?」
近くにいたアレンさんに訊くと苦笑しながら、多分(愛し子の)俺に『挨拶』をしたかっただけだったのではと教えてくれた。
「(上の人間に取り入るのにひどく長けている人でして)」
「(ああ、なるほど)」
すぐさま謝罪したのはそういう所もあるんだろうなって……そうだ。ここに居る人達に謝っておこう。俺達きっかけだもん、これ。
「みなさん、お騒がせしてしまってすみませんでした!」
俺が周りの人達に向けて頭を下げて謝ると、ソランツェやライアスまで一緒に下げてくれた。うおぉ……。まあ、こういう事なんだよなあ……。
顔を上げるとみんなポカンとしてしまっていたが、そのまま続ける。ついでにもういいやとフードも取り、この世界ではいないらしい珍しい髪色を露にすると戸惑いと驚きの声が上がった。
「お疲れのところご迷惑おかけしました。みなさんの疲れが癒えますように」
胸の前で手を組んだそれっぽいポーズで魔法を発動させる。疲労回復と怪我してる人はついでに治癒しておこうかな。
俺の体が柔らかい光に包まれるとギルド内全体に例の花びらと光が舞いみんなに吸収されて消え、どうかな?と思っていると、自分たちの体調の変化に気付いたのかざわざわし始めた。怪我をしていた人達も綺麗に治癒されてる事に気付いて驚いている。
「では、リヒト様」
まだ全員が驚きから立ち直っていない間にライアスの誘導で外に出ようとすると
「あんたらは何も悪くねえんだから気にすんなよ」
「そうそう、災難だったな」
と、言ってくれる声がどこかからか聞こえ他の人達も同意の声をあげてくれてちょっとホッとした。
「ありがとうございます」
++++++
「明日、そっちに行くってジェロイスさんに伝えてくれる?」
ギルドから少し離れた場所で一旦止まりライアスにそう告げるとすぐに了承してくれ、そういう事ならば明日俺達の宿まで迎えに行くとそのまま別れた。
宿屋に戻る前に夕飯を食べようと店まで歩きながら、自由に歩けるのってこれが最後?どうなの?とぐるぐる考える。うーん……。
「……いいのか?」
黙ったまま歩く俺に少し心配そうな声で尋ねてきたソランツェに仕方ないよと返す。それ以外ないよな。
「まさかあの子があんな事やらかすとは思わなかったなあ」
「俺の目の前でやるとはな」
「ホントだよ……」
乾いた笑いしか出てこないわ、マジで。
「……あの時、リヒトが傷付けられそうになった怒りからか……。無意識とはいえ剣まで抜くのは少しやり過ぎたかと思ってな」
「うん」
「そのまま”伴侶”に危害を加えられそうになったから激怒したという風に、どうにかしようと思っていたんだが……」
「は?」
え?俺、慌てて遮ったけど……?
「遮られたと同時に少し冷静になったからか教会の者だろう強い怒気を感じ取れて、”愛し子様”として、これはこのままリヒトに命を庇わせた方がいいかもしれんと」
「そうじゃなかったら……」
「後日物言わぬ姿で発見されていたかもな。しかし、あの女は飛び抜けていたが……」
ファンディオに限らずの話で結構稼いでいる冒険者には群がる者も多くて、互いを蹴落とそうと似た様な事をする人達は男女ともによくいるらしい。うわぁお。
「この先も似た様な事起こりそうだし、やっぱり俺の事公表してもらうしかないんだよなあ……」
触らぬ神に祟りなし状態を自ら作り出すしかないという事に、大きなため息を吐くとクイッと引き寄せられてチュッと軽く頬にキスされた。
「俺が横にいる理由も併せてな」
え~っと、それどっちの理由?
53
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる