のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

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　ピヴィラからブランに乗って出発し、途中で昼食休憩を取って夕方にはメーディヴィラに到着した。総教国は国土が狭いので明日ここから出発したら、昼過ぎくらいにはガルゴドン王国側の国境の街に着く。海（産物）が俺を呼んでいる。待ってろ。

　メーディヴィラはピヴィラが大きくなっただけという以外あんまり見た目も変わらない。ただ別方面の都市に続く街道が交わっているので人は多めかなという印象。　
　着いて早々に宿を確保したが、やっぱりここも綺麗な所だった。これで窓から見える景色が素敵なら何も言う事は無いが見えるのは街道と向かい側の宿屋のみ。まあ、しょうがないか。ガルゴドンに期待しよう。

「そういえば……」

　景色と言えば思い出したが、日本一周するにあたって一応旅の記録をつけようかとスマホは写真が綺麗に撮れる最新の物にしたし写真映え重視系SNSのアカウント作ってたんだった。存在自体あの世界から消えてるんでそのアカウントを思い出したところでという話だけど、そんな事は関係なくこの世界でも立ち寄った所の写真を撮るのはいいかもしれないと思い付く。あー、ララタスやピヴィラでも写真撮っておけば良かったな。

「感想はメモ機能に書き連ねておこう」
「紀行文か」
「ああ、そういう事になるのかな。そこまでかっちり書くつもりはないんだけど」
「書き溜めて本にでもすれば喜ぶ者も多く居そうだな」
「それはどうかと……」

　ああ、でも（異）世界旅行記ねえ……もし作ったら誰がともどこがとも言わないが普及に尽力してくれちゃうんだろうなあ……。旅行のガイド雑誌にもならない内容でもな。








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　夕飯は一階の酒場兼食堂で食べた。掲げられていたメニューボードには魚料理があると書いてあったので、それを注文すると出て来たのは何の魚か判らないけどアクアパッツァみたいなやつ。おお、着実に海が近付いて来ているのを感じる。いいねいいね。期待が高まるなあ。ソランツェは変わらず肉だったけど。

「ガルゴドンで海釣りって自由に出来るかな？」

　所謂漁協的なものがあったりするんだろうか。父さんが釣り竿を持っていた様な気がするので、出来る事ならちょっとやってみたいと思う。どんな魚が釣れるのか興味あるんだけど、釣りってした事ないんだよな。

「釣りか……先に言っておくが俺はやり方を知らない」
「肉好き男子だもんな……」

　ぶっちゃけ初めからソランツェには期待はしていなかったから大丈夫だよ、という顔をしていたら頬を抓られた。ひどい。

「痛い……」
「魚は平気なのか？」

　痛む頬を擦っていると、ちょっと不思議そうな顔で訊ねてきた。

「ん？」
「生きているやつは触れるのか？　何だか駄目そうな感じなんだが」
「あ」

　魚は一応三枚おろしは出来るけど、それは死んでるからであって、ビチビチ跳ねているのは無理かもしれない……。

「釣りあげた瞬間に魔法で即締めすればいいか……？」
「最終的には竿を使わず魔法の力で魚を海から引き上げそうな気がするな」
「たしかに……」

　俺の事よく判ってるね。








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　部屋に戻った後は、魔法で身綺麗にしてから昨日に引き続きゲーム機を出して王道RPGをやってみる。
　懐かしいってのもあるけど、『呪文』とかってどんなのがあったかなという復習が目的。呪文の他、武器・防具なども揃っているクリア直前や裏ボス前のセーブデータが使えたのでそれでプレイしてみているけど、改めてみると色んな『呪文』があって面白い。
　ゲームだからいいけど昼夜逆転させるやつとか、プレイヤーパーティーはいいかもしれないけど他の人達からしたら迷惑だよなとか。
　あと、武器によっては『技』っぽいのもあるしこれも真似してみるのも面白そうかも。重い武器は持てる筋力が無いけど鞭とかブーメランなら俺でもイケるかもしれない？売ってるかな？作る？


「字が読めないから物語は判らないが、魔物と戦っているのだろうという事は判るな」
「さっきのは氷の魔法だったの判った？」
「ああ」

　ベッドでヘッドボードに凭れて座っているソランツェに凭れて座るという体勢でゲームをしているのでソランツェも同じ画面を見ているが、戦闘中の呪文エフェクトとか興味津々っぽい。あと、ここの世界にいる魔物と似ている魔物も出て来るのがちょっと楽しいみたい。あ、うん……この世界を作るにあたっての参考資料の一部ですからね……。

「面白いものだな」
「だねぇ～……」

　うぅ、心が痛い……。全部アシュマルナの所為だ。
　まあ、何はともあれ『呪文』知識も仕入れたので、実戦で似たようなのを使ってみようかなと思う。ガルゴドンに入ればまた魔物達はいっぱいいるんだろうし実験するにはいいね。ゲームにありがちな漁とか航海の邪魔する海の魔物とかいたりしない……よな？