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メーディヴィラを出た俺達は予定通り昼過ぎにはガルゴドン王国側の国境の街・ドイドラに到着。ここはまだ海に面しておらず、ただのゲートとしての役割なだけらしく街の規模としてはそこまで大きくはない普通の街。
休憩なしでここまで来たのでお腹が減っていて、ソランツェとどんな料理があるんだろうなんて話しつつ入国の為に列に並んでいると、俺の髪色や目の色を見てチラチラ見てくる人が結構いる。
実はピヴィラから発つ時に髪を隠すのを忘れていたと気付いたが、何だかもういいやと開き直ってそのままだから注目されても仕方ないし、ただ単純に珍しがってる分は放っておこうかなと思う。誘拐云々に関しては、力の使い方ももう判ってる俺には恐れる事は無いし。
どうもこの調子だとファンディオやララタスは別としてお披露目の効力で面が割れるのはまだまだ先っぽいなと予想。自由に動ける時にいっぱい動こう。
さて、何事もなく手続きをして門をくぐり街の中へ入ると、見覚えのある人物がすぐ近くで待っていた。予想通りだしもう慣れたよ。
「お待ちしておりました」
白いレースアップシャツに皮革製の胸当てとガントレットをつけソードベルトにはロングソード、背中には皮革製の盾を引っ掛けた鞄を斜め掛けにし、黒いズボンにレザーブーツといった冒険者風の格好でライアスは立っていた。甲冑の時はオールバックにしている髪を無造作に下ろしたままのラフな感じなライアスは、俺達にすぐに近寄りながら小声で挨拶をする。
ライアスは髪を下ろしてた方がカッコいいじゃんと思いつつ
「はーい、お疲れ様でーす」
何となくハイタッチと思ってライアスの方へスッと手を出すと、ライアスがきょとんとした顔で俺の手と顔を見る。ん?と思っているとソランツェも不思議そうな顔をしている。
「あ、ごめん。ハイタッチ、いや、ハイファイブか? 手をお互い叩き合って軽く挨拶……とかってしないのか」
もしやと思って訊くとそういうのは知らないらしい。そういえば、ソランツェもライアスも貴族→聖騎士コースだったと思い出し、この世界にハイタッチ文化(?)が存在し知っていたとしてもこんな砕けたのはやらないのではと思われる。すいません、庶民育ちなもんで……。
なので、初対面同士というより慣れた相手とって感じだよ、と説明している内に気付いたが、俺は見慣れた+ラフな感じのライアスに、何となく友達ではないが、職場の同僚感というか後輩感というか一種のチーム感を抱き、親しみを見出してしまっていたらしい。チーム愛し子ご一行。
「こう、手を合わせる様に……」
今度から挨拶これでいいじゃん堅苦しいの嫌なんだよなと思い、パチンッとだよとライアスの腕を取って誘導しやってみた。ライアスは少々戸惑っている様だけど、俺のやりたい様にさせてくれる。
その時に判ったが、手を合わせたライアスの手もソランツェと同様に自分の手よりもかなり大きい。結構な違いがあるぞ……?
どのくらい違うのかはっきり確かめてみたいと、ガントレットを取ってもらって手を重ねてみたら、指も太いし長さは軽く一センチ以上は大きい。すごい。
「うわー、俺の手ってやっぱり貧弱~!」
「あ、あの……?」
俺の好きなソランツェの手もそうな様にライアスも武器を扱うから皮膚が所々固くなっていて、こんなになるまで鍛錬とかやってるって事を単純にすごいよなあと思いつつ、その手を撫でながら自分の手の貧弱さをケラケラ笑っていると、急に後ろから体を引っ張られてライアスから引き離される。
「うおぉ?!」
「ライアスが困っているぞ?」
「……え?」
耳元でソランツェのいつもより低~い声を聞き、慌ててライアスの方へ目を向けるとソランツェの態度のせいかちょっと気まずそう……。
「あー……れぇ?」
これは何だかやらかしたって事?手の大きさ比べって駄目なの?
「リヒトの手は女性的というのではないが白く綺麗なだけで貧弱という訳でもないだろう」
背後から俺の手を取られて人差し指を軽く噛まれた。驚いて後ろを振り返ると、ソランツェはニッコリと微笑みを見せる。あ、ソランツェ基準では駄目なのな……。
「ごめん……?」
一応、謝ってみると俺に他意はないのは判っているという顔で頷いた後、俺の頭を撫でて腕から解放してくれた。本当に許されたんだろうか、今日の夜の俺に頑張れと心の中でエールを送っていると、仕切り直すようにライアスが口を開いた。
「今日はこのままここに滞在されますか?」
「えーっと……どうしよう?」
ここから出て南に少し行くと海岸線へと出て、そこからまた少し行くとガルゴドン第二の都市トゥアンニコへと着く。今から馬で出ると夕方くらいには辿り着くかどうかの距離のようだ。
どうしようかとソランツェと話していると、ライアスは神妙な面持ちで、どちらにしても耳に入れておいて欲しい事があると言い出した。
休憩なしでここまで来たのでお腹が減っていて、ソランツェとどんな料理があるんだろうなんて話しつつ入国の為に列に並んでいると、俺の髪色や目の色を見てチラチラ見てくる人が結構いる。
実はピヴィラから発つ時に髪を隠すのを忘れていたと気付いたが、何だかもういいやと開き直ってそのままだから注目されても仕方ないし、ただ単純に珍しがってる分は放っておこうかなと思う。誘拐云々に関しては、力の使い方ももう判ってる俺には恐れる事は無いし。
どうもこの調子だとファンディオやララタスは別としてお披露目の効力で面が割れるのはまだまだ先っぽいなと予想。自由に動ける時にいっぱい動こう。
さて、何事もなく手続きをして門をくぐり街の中へ入ると、見覚えのある人物がすぐ近くで待っていた。予想通りだしもう慣れたよ。
「お待ちしておりました」
白いレースアップシャツに皮革製の胸当てとガントレットをつけソードベルトにはロングソード、背中には皮革製の盾を引っ掛けた鞄を斜め掛けにし、黒いズボンにレザーブーツといった冒険者風の格好でライアスは立っていた。甲冑の時はオールバックにしている髪を無造作に下ろしたままのラフな感じなライアスは、俺達にすぐに近寄りながら小声で挨拶をする。
ライアスは髪を下ろしてた方がカッコいいじゃんと思いつつ
「はーい、お疲れ様でーす」
何となくハイタッチと思ってライアスの方へスッと手を出すと、ライアスがきょとんとした顔で俺の手と顔を見る。ん?と思っているとソランツェも不思議そうな顔をしている。
「あ、ごめん。ハイタッチ、いや、ハイファイブか? 手をお互い叩き合って軽く挨拶……とかってしないのか」
もしやと思って訊くとそういうのは知らないらしい。そういえば、ソランツェもライアスも貴族→聖騎士コースだったと思い出し、この世界にハイタッチ文化(?)が存在し知っていたとしてもこんな砕けたのはやらないのではと思われる。すいません、庶民育ちなもんで……。
なので、初対面同士というより慣れた相手とって感じだよ、と説明している内に気付いたが、俺は見慣れた+ラフな感じのライアスに、何となく友達ではないが、職場の同僚感というか後輩感というか一種のチーム感を抱き、親しみを見出してしまっていたらしい。チーム愛し子ご一行。
「こう、手を合わせる様に……」
今度から挨拶これでいいじゃん堅苦しいの嫌なんだよなと思い、パチンッとだよとライアスの腕を取って誘導しやってみた。ライアスは少々戸惑っている様だけど、俺のやりたい様にさせてくれる。
その時に判ったが、手を合わせたライアスの手もソランツェと同様に自分の手よりもかなり大きい。結構な違いがあるぞ……?
どのくらい違うのかはっきり確かめてみたいと、ガントレットを取ってもらって手を重ねてみたら、指も太いし長さは軽く一センチ以上は大きい。すごい。
「うわー、俺の手ってやっぱり貧弱~!」
「あ、あの……?」
俺の好きなソランツェの手もそうな様にライアスも武器を扱うから皮膚が所々固くなっていて、こんなになるまで鍛錬とかやってるって事を単純にすごいよなあと思いつつ、その手を撫でながら自分の手の貧弱さをケラケラ笑っていると、急に後ろから体を引っ張られてライアスから引き離される。
「うおぉ?!」
「ライアスが困っているぞ?」
「……え?」
耳元でソランツェのいつもより低~い声を聞き、慌ててライアスの方へ目を向けるとソランツェの態度のせいかちょっと気まずそう……。
「あー……れぇ?」
これは何だかやらかしたって事?手の大きさ比べって駄目なの?
「リヒトの手は女性的というのではないが白く綺麗なだけで貧弱という訳でもないだろう」
背後から俺の手を取られて人差し指を軽く噛まれた。驚いて後ろを振り返ると、ソランツェはニッコリと微笑みを見せる。あ、ソランツェ基準では駄目なのな……。
「ごめん……?」
一応、謝ってみると俺に他意はないのは判っているという顔で頷いた後、俺の頭を撫でて腕から解放してくれた。本当に許されたんだろうか、今日の夜の俺に頑張れと心の中でエールを送っていると、仕切り直すようにライアスが口を開いた。
「今日はこのままここに滞在されますか?」
「えーっと……どうしよう?」
ここから出て南に少し行くと海岸線へと出て、そこからまた少し行くとガルゴドン第二の都市トゥアンニコへと着く。今から馬で出ると夕方くらいには辿り着くかどうかの距離のようだ。
どうしようかとソランツェと話していると、ライアスは神妙な面持ちで、どちらにしても耳に入れておいて欲しい事があると言い出した。
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