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100 ◆挿絵あり
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「ん?」
「何かあるのか?」
ライアスは黙ったまま頷いて、俺達を路地裏の人気のない場所へと誘導する。聞かれちゃ何かまずい事なのかな?
「実は……」
まだドイドラには伝わって来ていない事だが、今日の早朝トゥアンニコの沖に突如巨大な双頭のウミヘビの様な魔物二匹が現れたそう。
「……は?」
「なんだと?」
その異変に漁師達は漁に出る前に気付いたらしいので今の所被害は無いが、過去に見た事も聞いた事も無い魔物の出現に現在トゥアンニコは大混乱となっているらしい。そして、当然の様に街は恐怖に支配されており、そろそろ我先にと避難した人達がここへと辿り着くと思われる。なので、出来れば行って欲しくないが、もしトゥアンニコに行くのならばその点に注意して欲しいと。
「何だそりゃ……」
話を聞いて頭がクラッと来てしまい、ソランツェに支えられる……。ちょっと、もう……海の魔物って……。
「現在、魔物が何か仕掛けてくるという気配はない様ですが、二匹で沖をウロウロと泳いでいて船を出せる様な状況ではないそうです」
「それが続くのは観光業と漁業が主要産業のこの国では非常にまずいだろう……」
「はい、王国軍も動く様ですし、既に冒険者ギルドにも緊急討伐依頼が出されました」
俺達が行く場合警護の人員を増やす予定なので現在ライアス以外のいつものメンバーが現地で調整中らしい、なんて事をソランツェとライアスが真剣に話しているのをソランツェの腕の中で見つめる。「漁の邪魔」をする「海の魔物」は……。
「(ああ、もう心当たりがあり過ぎる……)」
「何か言ったか?」
「いや……あー……」
ソランツェの腕から離れ盛大な溜息を吐きながら、その場で頭を抱える。昨日寝る前に海の魔物の事を考えた俺が悪いのかもしれないが、雑なやり方でフラグ回収してくるんじゃねえよ、クソが……。
俺が「うー」やら「あー」やらと一人唸っているその様子にソランツェ達はどうしたのかと戸惑っている様子だが、気にしていられない。何してんのマジで。この仕業がアシュマルナじゃないって事は判るが今度はどういう理由だよ。
「おいコラ、アシュマルナ。テメー判ってんだろ、説明しろや」
スマホを取り出しいつもの様にアシュマルナに呼び掛ける、が。
「え?」
「リヒト!?」
驚くライアスと焦るソランツェの重なった声で気付いた。
「あ、やべ。ライアス居たわ」
『本当にお前はいつもいつも迂闊だのう』
誤魔化そうかと思ったが、ライアスは声の発生源(スマホ)と俺の顔を何が起こった?みたいな顔で交互に見ているし、アシュマルナも(多分わざと)応えちゃったんで、そんな訳にもいかず。
「……いやあ、自分でも吃驚」
アッハッハッハッ!と笑って、一呼吸。
「……もうライアスも巻き込むしかないか」
「は? あ? え? あの?」
「リヒト……」
呆れ返っているソランツェを横目に、不遜な態度で神の名前を呼び捨てた俺に戸惑いっぱなしのライアスに近付いて行ってスマホを見せる。持ち運びできる携帯型の通信用の魔道具って言ったら判るかな、と説明した上で画面を指差しご紹介。
「これね、俺の親」
『小僧も我の名はよく知っておろう』
アシュマルナって言うよ!お仕事は神様!本物だよ!ってウインクしたら、ライアスが静かに倒れて行った。キャパオーバーあるある?
「あらら」
『弱いのう』
「可哀想な事を……」
頭を打たない様に咄嗟に支えたソランツェに非難の目を向けられたが、誤魔化せないんだから仕方ない……。せめて軽く伝えてみようかと思ったんだよ、たぶん重めに伝えても結果は同じ様な気がしたしさ。キャパオーバーはどうしようもない。起きたら謝る。
ソランツェに介抱を任せ、その間にアシュマルナと話しておこうと一応結界を張る。何を今更感が強いが一応。
「で、今回はどういう?」
『知らん』
「知らん、じゃねぇ~お前のパートナーだろうが~」
『ま、大方あのダンジョンと変わらんだろう』
「また俺へのお小遣いになるから好きにやっちゃえ的な?」
『今回は判り易いのう』
いっそ、普通にお金くれたらいいのに……。
「お前の”自分好みに飾り立てた他にない華やかさで俺を知らしめたい”っつうのも非常に迷惑だけどさ、俺に力使わせて”力によって俺を知らしめたい”ってのは周り巻き込む分桁違いで迷惑過ぎて、お前の所業がめちゃくちゃ霞むな」
『褒めるでない』
「あっれぇ? 言葉通じてない?」
欠片も褒めてねえ。
「何かあるのか?」
ライアスは黙ったまま頷いて、俺達を路地裏の人気のない場所へと誘導する。聞かれちゃ何かまずい事なのかな?
「実は……」
まだドイドラには伝わって来ていない事だが、今日の早朝トゥアンニコの沖に突如巨大な双頭のウミヘビの様な魔物二匹が現れたそう。
「……は?」
「なんだと?」
その異変に漁師達は漁に出る前に気付いたらしいので今の所被害は無いが、過去に見た事も聞いた事も無い魔物の出現に現在トゥアンニコは大混乱となっているらしい。そして、当然の様に街は恐怖に支配されており、そろそろ我先にと避難した人達がここへと辿り着くと思われる。なので、出来れば行って欲しくないが、もしトゥアンニコに行くのならばその点に注意して欲しいと。
「何だそりゃ……」
話を聞いて頭がクラッと来てしまい、ソランツェに支えられる……。ちょっと、もう……海の魔物って……。
「現在、魔物が何か仕掛けてくるという気配はない様ですが、二匹で沖をウロウロと泳いでいて船を出せる様な状況ではないそうです」
「それが続くのは観光業と漁業が主要産業のこの国では非常にまずいだろう……」
「はい、王国軍も動く様ですし、既に冒険者ギルドにも緊急討伐依頼が出されました」
俺達が行く場合警護の人員を増やす予定なので現在ライアス以外のいつものメンバーが現地で調整中らしい、なんて事をソランツェとライアスが真剣に話しているのをソランツェの腕の中で見つめる。「漁の邪魔」をする「海の魔物」は……。
「(ああ、もう心当たりがあり過ぎる……)」
「何か言ったか?」
「いや……あー……」
ソランツェの腕から離れ盛大な溜息を吐きながら、その場で頭を抱える。昨日寝る前に海の魔物の事を考えた俺が悪いのかもしれないが、雑なやり方でフラグ回収してくるんじゃねえよ、クソが……。
俺が「うー」やら「あー」やらと一人唸っているその様子にソランツェ達はどうしたのかと戸惑っている様子だが、気にしていられない。何してんのマジで。この仕業がアシュマルナじゃないって事は判るが今度はどういう理由だよ。
「おいコラ、アシュマルナ。テメー判ってんだろ、説明しろや」
スマホを取り出しいつもの様にアシュマルナに呼び掛ける、が。
「え?」
「リヒト!?」
驚くライアスと焦るソランツェの重なった声で気付いた。
「あ、やべ。ライアス居たわ」
『本当にお前はいつもいつも迂闊だのう』
誤魔化そうかと思ったが、ライアスは声の発生源(スマホ)と俺の顔を何が起こった?みたいな顔で交互に見ているし、アシュマルナも(多分わざと)応えちゃったんで、そんな訳にもいかず。
「……いやあ、自分でも吃驚」
アッハッハッハッ!と笑って、一呼吸。
「……もうライアスも巻き込むしかないか」
「は? あ? え? あの?」
「リヒト……」
呆れ返っているソランツェを横目に、不遜な態度で神の名前を呼び捨てた俺に戸惑いっぱなしのライアスに近付いて行ってスマホを見せる。持ち運びできる携帯型の通信用の魔道具って言ったら判るかな、と説明した上で画面を指差しご紹介。
「これね、俺の親」
『小僧も我の名はよく知っておろう』
アシュマルナって言うよ!お仕事は神様!本物だよ!ってウインクしたら、ライアスが静かに倒れて行った。キャパオーバーあるある?
「あらら」
『弱いのう』
「可哀想な事を……」
頭を打たない様に咄嗟に支えたソランツェに非難の目を向けられたが、誤魔化せないんだから仕方ない……。せめて軽く伝えてみようかと思ったんだよ、たぶん重めに伝えても結果は同じ様な気がしたしさ。キャパオーバーはどうしようもない。起きたら謝る。
ソランツェに介抱を任せ、その間にアシュマルナと話しておこうと一応結界を張る。何を今更感が強いが一応。
「で、今回はどういう?」
『知らん』
「知らん、じゃねぇ~お前のパートナーだろうが~」
『ま、大方あのダンジョンと変わらんだろう』
「また俺へのお小遣いになるから好きにやっちゃえ的な?」
『今回は判り易いのう』
いっそ、普通にお金くれたらいいのに……。
「お前の”自分好みに飾り立てた他にない華やかさで俺を知らしめたい”っつうのも非常に迷惑だけどさ、俺に力使わせて”力によって俺を知らしめたい”ってのは周り巻き込む分桁違いで迷惑過ぎて、お前の所業がめちゃくちゃ霞むな」
『褒めるでない』
「あっれぇ? 言葉通じてない?」
欠片も褒めてねえ。
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