のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

みりん/鷹山リン

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110 ◆挿絵あり

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とりあえず、『愛し子による詳細鑑定の結果』をギルドや国にも(一応今後の為に)情報提供する事にして、現物はさっさと退治しようと思う。
 実は皆に教えてないけど鑑定結果によれば、あいつら食べられるそうだ。ウナギみたいな感じらしい……待ってろよ、俺の蒲焼き達。美味しく食べてやるからな。


「しかし、どうするんだ?」

 転覆させに来るというなら船は使えないぞ、とソランツェは言いたいんだろう。ライアスや領主さんも頷いている。
 わざと誘き寄せてこちらから仕掛けるという手もあるが、港の設備に被害が出るのは駄目だし、人的被害が出ないとも言えないしなあ。

「そうだなー……」

 海からが駄目なら……?陸も駄目だし……りく、かい……くう……くう?

「……あ、空から?」
「は?」
「え?」
「ん?」

 そうだよ、空だ!

「なあ、ソランツェ! 今こそ空中浮遊を試すべきじゃない?!」
「……あぁ。そうだったな」

 ソランツェは少し難しい顔をしていたが、他に思い付かないので已む無しって事で止めはしないらしい。

「大丈夫なのか?」
「うん、多分」

 試すって言ってもぶっつけ本番だけど、まあ大丈夫だろう。飛べる飛べる。

「それならいいが……」

 どうしようかな、生身のまま?ホウキか杖使う?ホウキ……よりは、魔法使いっぽい感じの杖がいいな。昨日やったゲームでも色んな杖が武器や道具であったし似た様なの作り出せないかな……。素材は鉱山とかもらってるしどうとでもなるよな?

「あ、あの? リヒト様は空を……?」
「ん? 飛べるのかって?」

 ライアスと領主さんは一体この人達は何を言ってるんだ?みたいな顔をして訊いてきた。領主さんさっきからプルプルしてるな?大丈夫?

「多分、飛べると思うぞ。リヒトは……例外はあるが色んな事が出来る」
「だから、安心してくださいね。トゥアンニコは俺が護りますから」








++++++









 俺が馬車から降りる前に、領主さんとライアスによる『愛し子による詳細鑑定の結果』の説明が港周辺にいる人達全体へ行われたが、その内容のエグさに避難の為に逃げ出すギャラリーが多く出た。正解、良い事だと思う。
 その一方で残る人も結構多いらしく、俺が馬車から降りてくると、ここはライブ会場かよと言いたくなる様な歓声が上がってちょっと吃驚する。

「危険の無い様に早く終わらせようと思いますが、皆さん気を付けて下さいね」

 慣れないなあ、と思いながらもファンサをするアイドルの如く柔らかく微笑みつつ軽く会釈したり手を振り返したりしてその場を後にする。なんだろう……俺は一体何になってしまったんだろう……。
 それにしても……万が一に備えて、初動で双頭の海蛇の周囲を囲う様にしたブレス対策の結界を張る予定ではあるが逃げなくていいのかよ……まあ、見たいもんは見たいんだろうなあ……。
 あと、野次馬!って感じの人達に紛れて冒険者っぽい人達もいるっぽい。がどうやるか興味があるのかな。


「(あれ、第三王子帰ったの?)」
「(これ幸いとしたらしいぞ)」
「(かあ……)」

 どうやら第三王子は逃げたらしい。まあ、王族だし死ぬ訳にもいかないからしょうがないけど、お前本当に俺を捕まえる事だけの為に来てたんだなって言いたくなる……。何も知らない子供じゃないから捕らえた俺をどうするつもりだったかなんて判っちゃうのが嫌だ。

「(あの人は残ってんだね)」
「(さすがにそんな恥知らずな事は出来ないみたいです)」
「()」

 俺達とは距離を取った位置に第三王子付き以外の兵士達と騎士団長は残っていた。本当に討伐出来るか見届ける気らしい。まだ疑ってんのかね?




「さて……」

 と言いつつ『杖』を出現させてみる。自分で作ろうと思ったけどデザインが思い付かなかったからアシュマルナに俺に合ったそれっぽいの作ってくれって脳内でお願いしたら出て来たこの『杖』。予想より大人しいデザインでよかった。

「何だ?」
「これが無くても多分飛べるだろうけど座って空を飛んだ方が、っぽいかなあと思って」

 そもそも人が空を飛ぶ事なんて無いらしいので『ホウキに乗った魔女』なんてイメージもなく、ソランツェもライアスも首を傾げている。
 
「えいっ」

 杖を宙に浮かせてそこに座る。小学校の時に鉄棒の上に座ったあの感じで懐かしい、と思う。

「おお……本当に浮いているんだな」
「すごいです……」
「ふわふわして面白いよ、これ」

 その場で三メートルほど浮き上がりソランツェ達の周りをクルクル~っと飛んでみる。動く度にキラキラするアシュマルナによるエフェクトが少々鬱陶しいが仕方がない。自分の思い通りに空を飛べるって面白いな。

 あちらこちらで驚愕の声が上がっている中、飛行練習を終える。その途中で信じられないって顔をして俺を見ていた騎士団長と目が合ったのでニコッと笑って手を振ってみたら慌てて目を逸らされてしまった。あはは。


「じゃあ、行ってきまーす」
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