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「そこ、やっぱり知りたいよね」
急な問い掛けにイリヤは苦笑してお茶を啜り、オースティンも僕の思考を察したらしく頭を下げた。
「すまない、俺が口を挟んだから」
「そうだね。オースティンには後でしっかり反省してもらうよ」
もう口を挟まないでね、と口許だけ笑みを作ったイリヤが釘を刺す。オースティンはそれに無言で頷いた。
「神子っていうのは、女神アリウムの声を聞く力を持った人のことなんだ」
「女神の声、ですか」
「そう。我が国は女神アリウムから国王が助言を授かって政を行って来たんだ」
「え? 国王? 神子じゃないんですか」
「そこなんだよね。なぜか分からないけど、現国王は女神アリウムの声を聞くことが出来ないんだ。だから、神の声を聞くことが出来る神子を召喚することになった。神子は女神と同郷の者と伝わっていたからね」
「……」
「召喚でこちらへ来てくれたのが、アオイくんとーーサキヤ様だった」
サキヤーー紗季也、なのか……。
やっぱりと納得する気持ち以上に異世界に来てもまだ義弟に苦しめられるのかという絶望感が襲って来る。
ぽたり、とティーカップに涙が落ちた。
きっとまた、周囲に取り入って暴力を振るわれるんだろう。
朝から晩まで働かされ、休むことは許されない。
あの生活が続いていくんだ。
異世界に来たと気付いた時、戸惑ったし怖かったけど、心の奥底では安堵していた。
継母と義弟から解放される、と。
でもーー。
ここにも、紗季也がいる。
そして神官は僕が神子を、紗季也を害そうとしたと言った。
イリヤが最初、探るような目で僕を見ていたのも、きっと紗季也が嘘を吹聴してたんだろう。
止めどなく溢れては落ちる涙を拭うことも出来ず、声を殺して泣き続けていると、左右からそっと抱き締められた。
「大丈夫、アオイくんは私たちが守るよ」
「そうだ。俺とイリヤがいれば大丈夫だ」
「権力も実力も、私たちに叶う人ってそうそういないから、ね」
「誰が相手でも守ってやれるだけの力はある」
2人の優しさにもっと泣けて来る。
こちらへ来てから僕は泣いたり怯えたりするばかりで、その度に2人は嫌な顔せずに優しく抱き締めてくれた。
「イリヤさん……オースティンさん……すみません、僕……」
迷惑かけてばかりで申し訳なくなって謝ると、涙で濡れた両頬にちゅっと音を立ててキスされた。
「ーー!」
「約束したの忘れたのか?」
「それとも私たちにキスして欲しかったのかな?」
紗季也のことでいっぱいいっぱいになって、約束したことをすっかり忘れていた。
「すみません、忘れて、ました……んッ」
忘れていたことを謝ると、今度はオースティンが目元に口付けてきた。ニヤっと笑ったイリヤも負けじと耳朶を食んでくる。
「ーー今のは絶対わざとだよね?」
いつもより低めの声を耳に直接吹き込まれ、背筋が震えた。
本当にそんなつもりは無かったのに。
そう訴えるように2人を見ると。
「そんな目で見られると我慢出来なくなっちゃいそう」
「全くだ」
「でも、さすがに今すぐ手を出すわけにはいかないからね、オースティン?」
「分かっている」
2人は僕を見ながら訳の分からないことを話し出す。話について行けずにきょとんとしていると、イリヤが笑って頭を撫でてくれた。
「この話は追々ね。ーーそれより、涙が止まったみたいで良かったよ」
イリヤの言う通り、とめどなく流れていた涙はいつの間にか止まっていた。
安心したみたいに笑い掛けてくれる2人を見て、決意する。
きっとイリヤとオースティンなら、僕の話をちゃんと聞いて、信じてくれるだろう。
濡れた目元や頬を両手で拭うと、紗季也にこれまでされて来たこと、異世界へ来る直前に殴られたことを話し出した。
急な問い掛けにイリヤは苦笑してお茶を啜り、オースティンも僕の思考を察したらしく頭を下げた。
「すまない、俺が口を挟んだから」
「そうだね。オースティンには後でしっかり反省してもらうよ」
もう口を挟まないでね、と口許だけ笑みを作ったイリヤが釘を刺す。オースティンはそれに無言で頷いた。
「神子っていうのは、女神アリウムの声を聞く力を持った人のことなんだ」
「女神の声、ですか」
「そう。我が国は女神アリウムから国王が助言を授かって政を行って来たんだ」
「え? 国王? 神子じゃないんですか」
「そこなんだよね。なぜか分からないけど、現国王は女神アリウムの声を聞くことが出来ないんだ。だから、神の声を聞くことが出来る神子を召喚することになった。神子は女神と同郷の者と伝わっていたからね」
「……」
「召喚でこちらへ来てくれたのが、アオイくんとーーサキヤ様だった」
サキヤーー紗季也、なのか……。
やっぱりと納得する気持ち以上に異世界に来てもまだ義弟に苦しめられるのかという絶望感が襲って来る。
ぽたり、とティーカップに涙が落ちた。
きっとまた、周囲に取り入って暴力を振るわれるんだろう。
朝から晩まで働かされ、休むことは許されない。
あの生活が続いていくんだ。
異世界に来たと気付いた時、戸惑ったし怖かったけど、心の奥底では安堵していた。
継母と義弟から解放される、と。
でもーー。
ここにも、紗季也がいる。
そして神官は僕が神子を、紗季也を害そうとしたと言った。
イリヤが最初、探るような目で僕を見ていたのも、きっと紗季也が嘘を吹聴してたんだろう。
止めどなく溢れては落ちる涙を拭うことも出来ず、声を殺して泣き続けていると、左右からそっと抱き締められた。
「大丈夫、アオイくんは私たちが守るよ」
「そうだ。俺とイリヤがいれば大丈夫だ」
「権力も実力も、私たちに叶う人ってそうそういないから、ね」
「誰が相手でも守ってやれるだけの力はある」
2人の優しさにもっと泣けて来る。
こちらへ来てから僕は泣いたり怯えたりするばかりで、その度に2人は嫌な顔せずに優しく抱き締めてくれた。
「イリヤさん……オースティンさん……すみません、僕……」
迷惑かけてばかりで申し訳なくなって謝ると、涙で濡れた両頬にちゅっと音を立ててキスされた。
「ーー!」
「約束したの忘れたのか?」
「それとも私たちにキスして欲しかったのかな?」
紗季也のことでいっぱいいっぱいになって、約束したことをすっかり忘れていた。
「すみません、忘れて、ました……んッ」
忘れていたことを謝ると、今度はオースティンが目元に口付けてきた。ニヤっと笑ったイリヤも負けじと耳朶を食んでくる。
「ーー今のは絶対わざとだよね?」
いつもより低めの声を耳に直接吹き込まれ、背筋が震えた。
本当にそんなつもりは無かったのに。
そう訴えるように2人を見ると。
「そんな目で見られると我慢出来なくなっちゃいそう」
「全くだ」
「でも、さすがに今すぐ手を出すわけにはいかないからね、オースティン?」
「分かっている」
2人は僕を見ながら訳の分からないことを話し出す。話について行けずにきょとんとしていると、イリヤが笑って頭を撫でてくれた。
「この話は追々ね。ーーそれより、涙が止まったみたいで良かったよ」
イリヤの言う通り、とめどなく流れていた涙はいつの間にか止まっていた。
安心したみたいに笑い掛けてくれる2人を見て、決意する。
きっとイリヤとオースティンなら、僕の話をちゃんと聞いて、信じてくれるだろう。
濡れた目元や頬を両手で拭うと、紗季也にこれまでされて来たこと、異世界へ来る直前に殴られたことを話し出した。
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