28 / 100
第一章
4-8.お遊びはまだ
しおりを挟む
「――ぁ」
指が、声が、赤が。与えられる全てが、クラロを貫く。
本当に立ち向かいたいのなら、そうするべきはクラロではなく彼らだったはずだと。泣く子どもをあやす指は、どこまでも柔らかなまま。
「僕らのことを君に教えるよりも、村の外がどうであるかを伝えるよりも先に。まだ幼い君に、僕らに対抗できる方法を教え込む以前に。危険を顧みず、君と一緒に立ち向かうべき人間を集めるべきだった。まだ幼い救世主と共に戦ってくれる大人を、他でもないその大人たちが」
聞いてはいけない。伝えられるのは全部、クラロを諦めさせるための戯言。
勇者と聖女でさえ敵わなかった相手に、ただの人間が勝てるはずがない。逃げるのは卑怯ではなく正しいことだと、クラロは理解している。分かっている。納得している。
それは、仕方のなかったことだと。
「彼らも無駄だって分かってた。でも、諦めきれずに全部君に押しつけた。だって自分たちはただのか弱い人間。勇者や聖女のような選ばれた存在ではない。そんな自分たちが行動したって、なんの意味もないんだって」
それなのに、そうではないと否定する声が、突き立てられる言葉が、クラロの暗い感情を引き摺り出そうとする。
優しく、甘く、柔らかく。それはまさしく、快楽に堕とそうとする化け物。
組み敷いた獲物を喰らわんとする牙は、まだ笑む唇の中に隠されたまま。
「捕まりたくない。奴隷になんてされたくない。だからあの場所に留まり続けた。どこよりも安全な場所で、無条件に自分たちを守ってくれる存在のそばで。本当なら自分たちが守らなくてはならない子どもに、彼らは全部押しつけたんだよ」
ひどいよね、と。同情する声までもがクラロの熱を押し上げる。もはや、どれで快楽を拾い、何でこんなに苦しいのかさえわからない。
ぐちゃぐちゃに掻き混ぜられて、訳がわからなくて。それでも、辛うじて残った正気がクラロを繋ぎ止める。聞いてはいけないと。その言葉を受け入れては、駄目なのだと。
そう抗い、呻くクラロに向けられる赤さえも、今は彼を苛むものでしかない。
「もし彼らが犠牲を覚悟で行動していれば、君はここに来ることだってなかった。もし連絡だけでもとれていたなら、集まることはできなくても、君と共に立ち向かうだけの土台を作ることはできたはずだ」
そうだろうと、頬を撫でる手に漏れるのは呻きか、喘ぎか。
そうでもなく、ただ否定したかっただけなのか。それすらも、否定しなければならないという焦燥感にかられたものだったのか。
「そうすれば、君が一人で戦うことだってなかった。たった一人きりでここに来て、真実を知ることだってなく。何も知らなければ僕らを憎むだけで済んだのに、それだって許されない。……せめて、ここに来る前に、誰かに出会えていたらよかったのにね」
違うと、お前のたちのせいだと。全部、お前が悪いのだと。そう叫びたかった。叫ぶべきだった。
憎い。だけど、彼ら以上に許せないのが誰かを、クラロはもう知ってしまった。
考えないようにしていた。思い出さないようにしていた。だって、それらはもう無意味なものなのだ。
復讐は既に、クラロの手から離れた場所で済まされた。その最期を知っただけでは、その胸の内が癒やされることはない。
燻り続けた怒りは、まだその胸の奥。深い場所で眠っていたそれは、今は男の手の中に曝け出されて、弄ばれている。
全部知っていると。もはや、隠す必要はないのだと。
「無駄だってわかってるのに立ち向かうのは怖かったよね。嫌なことを強いられるのは辛かったね。助けてほしいのに、縋られるばかりは苦しかったよね。聖女の息子ってだけで、全部押しつけてくるなんて、みんなひどかったね」
いい子、いい子。かわいそうな子。
泣き叫びたかった。駄目だと、止めてくれと、それ以上なにも言わないでくれと。これ以上、なにも暴かないでと。
それこそ子どものように。なりふり構わず、その毒を止められるのなら何だって。
どうして、どうして。……どうして。
ずっと求めていた言葉を、よりにもよって、この男が投げかけてくるのか。
肯定されたかった。ずっと、ずっと。諦めでも、逃避でもなく。淫魔に敵わないことは事実なのだと。
クラロ一人で。一人きりで立ち向かえるはずがないのだと、ずっと。
「いいんだよ、クラロ」
葛藤も、混乱も、悲しみも、怒りも。全てがふわりと浮かんで、沈むのはその言葉だけ。
「もう頑張らなくていい。助けて、なんて無責任な言葉に苦しまなくていい。もう知られることを怖がることだってないんだ」
だって、もう全部分かっている。もう全て知っている。だから、あとは諦めるだけでいいのだと。甘く、低く、揺さぶる声がそのまま快楽となる。
問いかける声こそ音にならず。そもそも、聞く必要すらなかったのかもしれない。
滲む世界の中で赤だけが鮮明で、溺れる水色に添えられる手は、更にクラロを沈めていくもの。
迫る赤に、それまで抱いていた焦燥感はどこにもない。
ふわふわと心地よい微睡の中。囁かれた許しの言葉が何度もこだまして、それ以外には何も考えられない。考えたくない。
だって、本当じゃないか。今までのことも、隠してきたことも、全部。いつかこうなるって、自分でも分かっていたじゃないか。
どれだけ抵抗したって、自分では敵わないと。だけど、それを認めることは、許されなかったから、だから、
「クラロ」
それ以上は考えなくていいのだと。自分への言い訳もしなくていいんだと。
唇は目から頬へ、慰めるように、慈しむように、これまで耐え続けていた子どもを褒めるように。柔らかく落とされる。
ついばまれ、撫でられ、くすぐられ。それは、大人が子に与えるにはあまりにも優しく、そして深いもの。
そうして吐息が触れ合うことさえも心地よく、泣き出したくなるほどの幸福感に堪らず手を伸ばし、
――そこで、クラロは正気に戻った。
乾いた音はすぐ目の前。重なる寸前だった口の間、差し込んだ手によって。
甲高い耳鳴りにも似た、不快な音。微睡から引き上げる高音はクラロの耳にしか届かずとも、その変化は明らかであった。
晒された水色、熱で潤んでいた瞳に宿るのは微睡んだ光ではなく正気。
靄がかっていた頭の中は今、まるで風が吹いたかのように鮮明だ。
怠さも、熱も、息が当たるだけで反応してしまっていた過敏さもない。
クラロが自分の身を守るための最終手段。クラロ自身の意思では出せない、本当の、奥の手。
胸に湧き上がるのは幸福ではなく、露見してしまったことへの苛立ち。
与えられた毒が一定量を超えた際に、無意識でかけられる回復魔法。
本来ならクラロには扱えないはずのそれは、生まれ持った体質。邪なものに対する防衛本能。
それこそ、母親と。聖女と同じ体質を受け継いだ、聖女の息子である何よりの証拠。
「何度も申し上げておりますが」
息は乱れず、声に焦りもなく。強制的に戻された精神は、むしろ落ち着きすぎて異常にも思える。
だが、今のクラロはそれを疑問に抱くことはなく。ただ、真っ直ぐに自分の敵を見上げ、訂正するだけ。
「オラの名前はペーターですよ。……ベゼ様」
だから違うのだと。
押し倒され、肌を露わにされ。それでも、まだ、堕ちるわけにはいかないのだと。
もう与えられていた快楽はどこにも残っていないはずなのに、疼くような感覚を振り払うように睨み付けた先。押さえた手に与えられたのは、歪む唇の感触。
「……ふ、ふふ、」
漏れた息は指を舐め、そうしてゆっくりと離れていく。唇を押さえる手はクラロから男自身のものに。
吐息は治まりきらない笑いへ代わり、やがて明確にクラロの鼓膜を叩く物になった。
「くくっ……あはははは!」
身体を曲げ、腹を抱え。そうして子どものように笑う男を、クラロはただただ見つめ続ける。
感情の起伏が乏しくなった瞳は、より男の神経を撫でる物なのだったのだろう。落ち着くどころか涙さえ浮かびはじめ、とても情事が始まる前だったとは思えぬほどの賑やかさ。
いつになったら落ち着くのかと。そう思いはじめてようやく、男の呼吸が大きく伸びたものへと変わる。
「あははは……はーっ……ほんっと、君って最高だね」
嫌味でも、苦し紛れでもない。想定外の抵抗を為したクラロに与えられる、心の底からの賞賛。
楽しくて仕方がないと、満面の笑みを浮かべる男にあるのは怒りではなく歓喜。
「いいよ、まだ見逃してあげる。まだ君のお遊びに付き合ってあげるよ。……だから、」
まだクラロで楽しめるのだと。そう確信する男が、腕を掴み、引き上げる。
抵抗する気もない弛緩した身体を抱きしめる力は、温かく、そして強く。
「――また遊ぼうね、ペーター」
鼓膜を舐める声。低い響きに、忘れていた痺れが腰から上がってきて、呻きは音にならぬまま。
解放された身体は机の上に。遠ざかる男は、呆気なく扉の向こうへ。
ここに連れてきたアモルの姿もなく。一人、取り残されたクラロが吐き出す息は震えたもの。
嵐のように押し寄せていた感情。魔法によって強制的に押さえ込まれていたそれらが、ゆっくりと解き放たれていく衝動に、途方もない空虚感。
唇を噛み、本当に耐えたかったのは何だったのか。答えは出ず、落ち着くこともなく。
そして、静かに流れる涙を掬い取る手は、もうここにはなかった。
指が、声が、赤が。与えられる全てが、クラロを貫く。
本当に立ち向かいたいのなら、そうするべきはクラロではなく彼らだったはずだと。泣く子どもをあやす指は、どこまでも柔らかなまま。
「僕らのことを君に教えるよりも、村の外がどうであるかを伝えるよりも先に。まだ幼い君に、僕らに対抗できる方法を教え込む以前に。危険を顧みず、君と一緒に立ち向かうべき人間を集めるべきだった。まだ幼い救世主と共に戦ってくれる大人を、他でもないその大人たちが」
聞いてはいけない。伝えられるのは全部、クラロを諦めさせるための戯言。
勇者と聖女でさえ敵わなかった相手に、ただの人間が勝てるはずがない。逃げるのは卑怯ではなく正しいことだと、クラロは理解している。分かっている。納得している。
それは、仕方のなかったことだと。
「彼らも無駄だって分かってた。でも、諦めきれずに全部君に押しつけた。だって自分たちはただのか弱い人間。勇者や聖女のような選ばれた存在ではない。そんな自分たちが行動したって、なんの意味もないんだって」
それなのに、そうではないと否定する声が、突き立てられる言葉が、クラロの暗い感情を引き摺り出そうとする。
優しく、甘く、柔らかく。それはまさしく、快楽に堕とそうとする化け物。
組み敷いた獲物を喰らわんとする牙は、まだ笑む唇の中に隠されたまま。
「捕まりたくない。奴隷になんてされたくない。だからあの場所に留まり続けた。どこよりも安全な場所で、無条件に自分たちを守ってくれる存在のそばで。本当なら自分たちが守らなくてはならない子どもに、彼らは全部押しつけたんだよ」
ひどいよね、と。同情する声までもがクラロの熱を押し上げる。もはや、どれで快楽を拾い、何でこんなに苦しいのかさえわからない。
ぐちゃぐちゃに掻き混ぜられて、訳がわからなくて。それでも、辛うじて残った正気がクラロを繋ぎ止める。聞いてはいけないと。その言葉を受け入れては、駄目なのだと。
そう抗い、呻くクラロに向けられる赤さえも、今は彼を苛むものでしかない。
「もし彼らが犠牲を覚悟で行動していれば、君はここに来ることだってなかった。もし連絡だけでもとれていたなら、集まることはできなくても、君と共に立ち向かうだけの土台を作ることはできたはずだ」
そうだろうと、頬を撫でる手に漏れるのは呻きか、喘ぎか。
そうでもなく、ただ否定したかっただけなのか。それすらも、否定しなければならないという焦燥感にかられたものだったのか。
「そうすれば、君が一人で戦うことだってなかった。たった一人きりでここに来て、真実を知ることだってなく。何も知らなければ僕らを憎むだけで済んだのに、それだって許されない。……せめて、ここに来る前に、誰かに出会えていたらよかったのにね」
違うと、お前のたちのせいだと。全部、お前が悪いのだと。そう叫びたかった。叫ぶべきだった。
憎い。だけど、彼ら以上に許せないのが誰かを、クラロはもう知ってしまった。
考えないようにしていた。思い出さないようにしていた。だって、それらはもう無意味なものなのだ。
復讐は既に、クラロの手から離れた場所で済まされた。その最期を知っただけでは、その胸の内が癒やされることはない。
燻り続けた怒りは、まだその胸の奥。深い場所で眠っていたそれは、今は男の手の中に曝け出されて、弄ばれている。
全部知っていると。もはや、隠す必要はないのだと。
「無駄だってわかってるのに立ち向かうのは怖かったよね。嫌なことを強いられるのは辛かったね。助けてほしいのに、縋られるばかりは苦しかったよね。聖女の息子ってだけで、全部押しつけてくるなんて、みんなひどかったね」
いい子、いい子。かわいそうな子。
泣き叫びたかった。駄目だと、止めてくれと、それ以上なにも言わないでくれと。これ以上、なにも暴かないでと。
それこそ子どものように。なりふり構わず、その毒を止められるのなら何だって。
どうして、どうして。……どうして。
ずっと求めていた言葉を、よりにもよって、この男が投げかけてくるのか。
肯定されたかった。ずっと、ずっと。諦めでも、逃避でもなく。淫魔に敵わないことは事実なのだと。
クラロ一人で。一人きりで立ち向かえるはずがないのだと、ずっと。
「いいんだよ、クラロ」
葛藤も、混乱も、悲しみも、怒りも。全てがふわりと浮かんで、沈むのはその言葉だけ。
「もう頑張らなくていい。助けて、なんて無責任な言葉に苦しまなくていい。もう知られることを怖がることだってないんだ」
だって、もう全部分かっている。もう全て知っている。だから、あとは諦めるだけでいいのだと。甘く、低く、揺さぶる声がそのまま快楽となる。
問いかける声こそ音にならず。そもそも、聞く必要すらなかったのかもしれない。
滲む世界の中で赤だけが鮮明で、溺れる水色に添えられる手は、更にクラロを沈めていくもの。
迫る赤に、それまで抱いていた焦燥感はどこにもない。
ふわふわと心地よい微睡の中。囁かれた許しの言葉が何度もこだまして、それ以外には何も考えられない。考えたくない。
だって、本当じゃないか。今までのことも、隠してきたことも、全部。いつかこうなるって、自分でも分かっていたじゃないか。
どれだけ抵抗したって、自分では敵わないと。だけど、それを認めることは、許されなかったから、だから、
「クラロ」
それ以上は考えなくていいのだと。自分への言い訳もしなくていいんだと。
唇は目から頬へ、慰めるように、慈しむように、これまで耐え続けていた子どもを褒めるように。柔らかく落とされる。
ついばまれ、撫でられ、くすぐられ。それは、大人が子に与えるにはあまりにも優しく、そして深いもの。
そうして吐息が触れ合うことさえも心地よく、泣き出したくなるほどの幸福感に堪らず手を伸ばし、
――そこで、クラロは正気に戻った。
乾いた音はすぐ目の前。重なる寸前だった口の間、差し込んだ手によって。
甲高い耳鳴りにも似た、不快な音。微睡から引き上げる高音はクラロの耳にしか届かずとも、その変化は明らかであった。
晒された水色、熱で潤んでいた瞳に宿るのは微睡んだ光ではなく正気。
靄がかっていた頭の中は今、まるで風が吹いたかのように鮮明だ。
怠さも、熱も、息が当たるだけで反応してしまっていた過敏さもない。
クラロが自分の身を守るための最終手段。クラロ自身の意思では出せない、本当の、奥の手。
胸に湧き上がるのは幸福ではなく、露見してしまったことへの苛立ち。
与えられた毒が一定量を超えた際に、無意識でかけられる回復魔法。
本来ならクラロには扱えないはずのそれは、生まれ持った体質。邪なものに対する防衛本能。
それこそ、母親と。聖女と同じ体質を受け継いだ、聖女の息子である何よりの証拠。
「何度も申し上げておりますが」
息は乱れず、声に焦りもなく。強制的に戻された精神は、むしろ落ち着きすぎて異常にも思える。
だが、今のクラロはそれを疑問に抱くことはなく。ただ、真っ直ぐに自分の敵を見上げ、訂正するだけ。
「オラの名前はペーターですよ。……ベゼ様」
だから違うのだと。
押し倒され、肌を露わにされ。それでも、まだ、堕ちるわけにはいかないのだと。
もう与えられていた快楽はどこにも残っていないはずなのに、疼くような感覚を振り払うように睨み付けた先。押さえた手に与えられたのは、歪む唇の感触。
「……ふ、ふふ、」
漏れた息は指を舐め、そうしてゆっくりと離れていく。唇を押さえる手はクラロから男自身のものに。
吐息は治まりきらない笑いへ代わり、やがて明確にクラロの鼓膜を叩く物になった。
「くくっ……あはははは!」
身体を曲げ、腹を抱え。そうして子どものように笑う男を、クラロはただただ見つめ続ける。
感情の起伏が乏しくなった瞳は、より男の神経を撫でる物なのだったのだろう。落ち着くどころか涙さえ浮かびはじめ、とても情事が始まる前だったとは思えぬほどの賑やかさ。
いつになったら落ち着くのかと。そう思いはじめてようやく、男の呼吸が大きく伸びたものへと変わる。
「あははは……はーっ……ほんっと、君って最高だね」
嫌味でも、苦し紛れでもない。想定外の抵抗を為したクラロに与えられる、心の底からの賞賛。
楽しくて仕方がないと、満面の笑みを浮かべる男にあるのは怒りではなく歓喜。
「いいよ、まだ見逃してあげる。まだ君のお遊びに付き合ってあげるよ。……だから、」
まだクラロで楽しめるのだと。そう確信する男が、腕を掴み、引き上げる。
抵抗する気もない弛緩した身体を抱きしめる力は、温かく、そして強く。
「――また遊ぼうね、ペーター」
鼓膜を舐める声。低い響きに、忘れていた痺れが腰から上がってきて、呻きは音にならぬまま。
解放された身体は机の上に。遠ざかる男は、呆気なく扉の向こうへ。
ここに連れてきたアモルの姿もなく。一人、取り残されたクラロが吐き出す息は震えたもの。
嵐のように押し寄せていた感情。魔法によって強制的に押さえ込まれていたそれらが、ゆっくりと解き放たれていく衝動に、途方もない空虚感。
唇を噛み、本当に耐えたかったのは何だったのか。答えは出ず、落ち着くこともなく。
そして、静かに流れる涙を掬い取る手は、もうここにはなかった。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます
まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。
するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。
初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。
しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。
でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。
執着系α×天然Ω
年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。
Rシーンは※付けます
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる