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彼女について
カツアゲ組に絡まれた
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朝、学校に行くとカツアゲ組に絡まれた。
「な、なんですか」
「お前さ、昨日の先輩誰か知ってるだろ」
「は、はい。高校一年生のみ、御厨二葉さんです」
教室がざわめいた。廊下までざわめいた。
「御厨先輩だって?」
「あの美人だがめちゃ食べることで有名な御厨先輩か」
あの先輩、変な目立ち方してるなぁ、と思う。基本的に他人事だ。僕の精神は教室には入れない。多分本能的に拒絶しているのだろう。だって教室は僕の精神に害を与えることはあっても利を与えることはないから。
「御厨先輩がどうしてお前みたいなのと会話できてんだ?」
正直、僕にもわからない。だがさすがに僕もそれを言えばまた面倒なことになると理解している。仕方ない、僕は何があったか順々に説明していく。
カツアゲされたあと、二葉先輩に会ったこと。
菓子パンを貰ったこと。
家に連行されたこと。
勉強を教えてもらい、そのあと夕飯をいただいたこと。
洗いざらい全て話した。口が疲れた。こんなに話すこと滅多にない。一度下を向き、もう一度彼らを見上げると、悔しさに苛立ちを入れて珈琲牛乳にしたような視線を注がれた。僕の嫌いな珈琲牛乳みたいな視線だ。さて、どうなると思ったら
「なんだよ、俺らのおかげでお前は御厨先輩と仲良くやってるんだって?」
「意味がわからない。どうしてそうなるんだ」
「そもそもなんで御厨先輩があそこに来たんだ」
結果は逆恨みらしい。いきなり目の前に拳が現れ、僕の顔に衝突した。
「ぐふぉ」
潰れたアヒルみたいな声が出た。気持ち悪い。見たこともない潰れたアヒルを想像したら気持ち悪くなった。そして後からやってきた痛み。痛い、痛いじゃないか。痛いのは嫌だ。ようやく正気を取り戻したのか教室の隅で女子の悲鳴が上がる。そんなことしてるからモテないんだろうな、と思うが教えてあげない。自分の為にもだが、あいつらにそれを気づかせたくない、というのもある。それにしてもこりゃだいぶキレてる。教室で殴りかかることなど滅多にない。そんなに御厨先輩に関わりたいのか、、、、、、?よくわからない。確かに御厨先輩といるとふわふわしてなんとなく幸せになれる。だがその為にここまでキレるのはよくわからない。でも元々よくわからない奴らだった。そんなことを考える間にも拳は僕にぶつかる。足も出てきた。上靴で制服が汚れるからやめてほしい。だがそれも終わった。廊下から
「何しとんやお前ら」
聞きなれた関西弁。全員が攻撃をやめ声の主の方を見る。そこには御厨二葉先輩が居た。
「あんたらなぁ、なんで彼にそんなどつくねん。いい子やん。それに顔殴ったらしたら折角別嬪さんやのに値が落ちるわ。アホか。次手ぇ出してみい。うちが許さんからな。そこの窓から落としたるからな」
近くにいた人間は普段とのギャップに倒れている。可哀想に。僕を蹴ったり殴ったりしていた奴らは萎れたほうれん草のようになっている。こちらは可哀想ではない。
「じゃあ、さいなら」
可愛らしい笑みを浮かべて手を振り帰る姿は見ていてとても幸せになる。後から聞いた話だが、廊下で知り合いに見張らせているらしい。何かあったら来れるように、とのことだった。意味がわからない。二葉さんも、それを了承したひとたちも。だが有難いので何も言わないでおく。
「な、なんですか」
「お前さ、昨日の先輩誰か知ってるだろ」
「は、はい。高校一年生のみ、御厨二葉さんです」
教室がざわめいた。廊下までざわめいた。
「御厨先輩だって?」
「あの美人だがめちゃ食べることで有名な御厨先輩か」
あの先輩、変な目立ち方してるなぁ、と思う。基本的に他人事だ。僕の精神は教室には入れない。多分本能的に拒絶しているのだろう。だって教室は僕の精神に害を与えることはあっても利を与えることはないから。
「御厨先輩がどうしてお前みたいなのと会話できてんだ?」
正直、僕にもわからない。だがさすがに僕もそれを言えばまた面倒なことになると理解している。仕方ない、僕は何があったか順々に説明していく。
カツアゲされたあと、二葉先輩に会ったこと。
菓子パンを貰ったこと。
家に連行されたこと。
勉強を教えてもらい、そのあと夕飯をいただいたこと。
洗いざらい全て話した。口が疲れた。こんなに話すこと滅多にない。一度下を向き、もう一度彼らを見上げると、悔しさに苛立ちを入れて珈琲牛乳にしたような視線を注がれた。僕の嫌いな珈琲牛乳みたいな視線だ。さて、どうなると思ったら
「なんだよ、俺らのおかげでお前は御厨先輩と仲良くやってるんだって?」
「意味がわからない。どうしてそうなるんだ」
「そもそもなんで御厨先輩があそこに来たんだ」
結果は逆恨みらしい。いきなり目の前に拳が現れ、僕の顔に衝突した。
「ぐふぉ」
潰れたアヒルみたいな声が出た。気持ち悪い。見たこともない潰れたアヒルを想像したら気持ち悪くなった。そして後からやってきた痛み。痛い、痛いじゃないか。痛いのは嫌だ。ようやく正気を取り戻したのか教室の隅で女子の悲鳴が上がる。そんなことしてるからモテないんだろうな、と思うが教えてあげない。自分の為にもだが、あいつらにそれを気づかせたくない、というのもある。それにしてもこりゃだいぶキレてる。教室で殴りかかることなど滅多にない。そんなに御厨先輩に関わりたいのか、、、、、、?よくわからない。確かに御厨先輩といるとふわふわしてなんとなく幸せになれる。だがその為にここまでキレるのはよくわからない。でも元々よくわからない奴らだった。そんなことを考える間にも拳は僕にぶつかる。足も出てきた。上靴で制服が汚れるからやめてほしい。だがそれも終わった。廊下から
「何しとんやお前ら」
聞きなれた関西弁。全員が攻撃をやめ声の主の方を見る。そこには御厨二葉先輩が居た。
「あんたらなぁ、なんで彼にそんなどつくねん。いい子やん。それに顔殴ったらしたら折角別嬪さんやのに値が落ちるわ。アホか。次手ぇ出してみい。うちが許さんからな。そこの窓から落としたるからな」
近くにいた人間は普段とのギャップに倒れている。可哀想に。僕を蹴ったり殴ったりしていた奴らは萎れたほうれん草のようになっている。こちらは可哀想ではない。
「じゃあ、さいなら」
可愛らしい笑みを浮かべて手を振り帰る姿は見ていてとても幸せになる。後から聞いた話だが、廊下で知り合いに見張らせているらしい。何かあったら来れるように、とのことだった。意味がわからない。二葉さんも、それを了承したひとたちも。だが有難いので何も言わないでおく。
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