菓子パンくれた先輩の家に連れてかれた

橘スミレ

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彼女について

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「お邪魔します」
相変わらず二葉さんにお世話になりっぱなしで申し訳なくなる。だが、断れないのは前にわかったので、お世話になっている自分がいる。
「お邪魔します、じゃなくてただいま、って言って欲しいなぁ」
二葉さん?!っと思わず飛び跳ねる。だってあくまでも僕は二葉さんに世話になっている立場なのだから。
「いや、嫌だったら良いんやけど、、、もし良いんやったら、、、ただいまがいいなって思って」
「僕にそんな資格有りませんよ」
思わず断ってしまった。だが二葉さんが少し照れくさそうに、話していたような気がして、断ったら悲しそうな顔をしたような気がして、OKすべきだったか迷う?
「そっかぁ。まぁいいや、じゃあさ。着て欲しい服があるんやけど、、、いい?」
さっきは断ってしまったので即答する。
「はい!」
二葉さんは嬉しそうな顔をして、じゃあついてきて!と僕の腕を引っ張る。
「この部屋に服置いてるから着れたら教えてな。それとなんか問題あっても教えてな」
「はーい」
僕はそう言い、部屋に入る。部屋の中はクローゼットの森のようだった。こっちを見ても、あっちを見ても服、服、服。しかも全て男性用だった。カジュアルなものからスーツまでいろいろあった。その部屋の中央には小さめの机と、、、その上に着物。
「どうやって着ればいいんだろう」
着物なんて今まで着たことがない。なんとなく勘で着てみるが、ちんちくりんになってしまった。困り果てていると
「大丈夫?着れた?」
という声。二葉さんだ。
「まだです!」と言おうとしたが二葉さんはそんな僕にお構いなく扉を開けてしまった。二葉さんは制服から一変、着物のドレスみたいなものを着ていた。着物の下にスカートを履いたようなドレスだった。紅の着物には、白い桜や梅の花があしらわれていた。髪にはピンク色のビー玉みたいなのがついた簪をしている。はっきり言って可愛い。可愛すぎる。僕が可愛さに浸りかけているのを二葉さんの声が呼び戻す。
「アハハ!あーた、ほんまにちんちくりんやな」
二葉さんが大爆笑している。ちょっと傷ついた。笑いが収まると、二葉さんは僕の方にやってきて着物を脱がせ始めた。
「ふ、二葉さん?!」
「ちんちくりんだから着直すんやん。うちが教えたるからちゃんと着てな」
「はい」
二葉さんがすぐそばにいる。近い。ただでさえ普段二葉さん以外の女子と喋らない僕はかなり緊張した。二葉さんの胸が当たっている。二葉さんの熱が伝わる。二葉さんが離れても、熱は残っている。心臓が歌わす気のないボカロ曲レベルで鳴りだす。あぁ、僕は死ぬのか?飛びそうになる意識を握りしめながら僕は考える。
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