私が魔女になるまで

橘スミレ

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森で発見

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 町のはずれにある森には魔女が住んでいる。夜の闇を連想させる黒い服に黒いトンガリ帽子。ただし、服はよくあるワンピースではなく袴風パンツにYシャツをinし、そこにマントというなんとも変わった風貌だが。彼女は買い物帰り、お気に入りの鞄を片手に森を散歩していると一人の少女が寝っ転がっているのを見つけた。身長からして、おそらく小学校三、四年生くらいだろう。痩せ細った体と傷跡から逃げて来たのだろうと推測する。
 彼女は額に手を当ててみるが熱はない。だがこのままでは風邪をひいてしまう。そうでなくても細すぎて危ういのに。そう考えた彼女は少女の持ち物であろうリュックサックを片肩に背負い、両手で少女を抱き抱えて運ぶ。持っていた鞄に特に揺れて困るものは入っていないので自分で歩いてもらう。袖口から杖を出し、少女を抱えたまま、鞄を指して一言。
“歩け”
 鞄はまるで見えない足があるように彼女の周りを駆け回る。彼女は鞄を愛おしそうに見つめる。他人から見たらただの変人であるが、ここに人が来ることは滅多にない。
 眠っている少女を起こさないように、静かに森を進む。十分ほど歩くと、大木の根元に辿り着いた。歩く鞄が根元付近に隠してある扉をノブを摘んで開く。彼女はその扉の先へ進む。真っ暗だが、使い慣れた魔女は気にしない。鞄が乗り込んだのをキッカケに扉が閉まり、地面がゆっくり下がる。エレベーターになっていたのだ。エレベーターは降下 すると箱ごと小さくなっていったのだった。彼女は少女も初めて見るときは驚くだろうな、と考える。そしてとうとう底についた。
「ただいま~」
 彼女が誰もいない庭に向かって挨拶するのはもうただの癖だ。虚しさすら無いらしい。庭では色とりどりの花がおかえりと揺れている。そこをサッサか通り過ぎた彼女は家に入る。扉は鞄に開けてもらう。それは木製の板に黒の金具がついている。つまり洋風だ。かと思えば家の半分近くは和室と彼女の服同様、和洋入り混じっている。彼女はそんな家の奥にある寝室まで少女を運びきる。ベッドに寝かしながら、今後おこるであろう事件を想像し微笑んだ。
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