24 / 39
第2章
閑話 思い込みと愚行の果て
しおりを挟む
裁判から数日後。
「クソッ、クソクソクソッ! なぜこんなみすぼらしい所に閉じ込められねばならんのだ!」
父王の命により、強引に押し込められた貴族牢の中にて、トリキアスは身勝手な事を喚き続けていた。
もっとも、貴族牢というだけあって、牢内には厚手の絨毯が敷かれ、柔らかな毛布が使われたベッドがある。また、収監された者が心を病まぬようにとの配慮から、何点かの絵画すら飾られていた。
通常の牢と比べれば、遥かに豪華で快適な造りだ。
出入り口のドアが鋼鉄でできている事を除けば、ごく普通の客室となんら変わらないと言っていい。
だが、その牢内も今や、トリキアスが暴れたせいで荒れに荒れている。
物心つく前から次代の王と目され、華やかな日の当たる場所で10数年以上、後生大事に育てられてきたトリキアスからして見れば、この貴族牢は、殺風景な物置小屋も同然だった。
王太子である自分が、日を跨いで何日も押し込められていい場所ではない。
トリキアスは、そう固く思い込んでいた。
「大体、なぜ俺が有罪になる! 父上は俺がどうなってもいいのと言うのか!? 母上はなぜ助けに来て下さらないんだ! クソッ、クソがぁッ!」
花瓶や置物、壁に掛けられた絵画など、掴んで投げて当たれる手頃な物がついになくなったトリキアスは、頭を掻き毟りチェストを蹴る。しかし、硬い樹木を切り出して作られたチェストは殊の外頑丈で、トリキアスは逆に、チェストを蹴った爪先を痛める事になった。
堪らずその場にうずくまり、ブーツを雑に脱ぎ捨てて爪先を押さえる。
親指の爪が割れ、幾らか赤く腫れているように見えた。
「~~~っ! お、おい! 怪我をした! 医者を呼べ!」
壁を隔てた向こう側、牢の外に向かって声を張り上げるが、見張りに立っているはずの兵は、誰1人として応えようとしない。
王から直々に、「トリキアスが牢内で騒ぎ立てても、よほどの事がない限り応えず捨て置け」と命じられている事もある。
だが何より見張りの兵達も、自分の行いを一切顧みる事のないまま、ただただ牢の中で見苦しく無実を主張し続け、延々と喚き立てて暴れ、物を壊し、時に奇声すら上げるトリキアスに、すっかり辟易していたのだ。
王に言われずとも、自ら進んで関わり合いになりたいと思う者など、もはやどこにもいなかったのである。
「なぜ何も応えない! 王太子の命をなんと心得る! 誰か来い! 誰かッ! くそぉっ! 耳が腐って落ちたか、下郎共ぉっ!!」
腹の底から声を振り絞り、叫ぶ。
だが、やはり応える者は誰もいなかった。
「うがあああああああッ!!」
ついには絨毯の敷かれた床に転がり、床に拳を何度も叩きつけ始めるトリキアス。
その姿たるや、まるで言葉の拙い幼児が自己表現に窮し、癇癪を起こしているかのような無様さだ。
到底、成人して既に数年を経ている男の取る態度ではなかった。
と、その時。
「――相変わらず、お心の幼い方ですいらっしゃいますわね、殿下」
鋼鉄製のドアの上部に取り付けてある小窓が開き、外側から、涼やかな女性の声が聞こえてきた。
トリキアスの婚約者であるマニエール公爵家の令嬢、エスカローラだ。
エスカローラの声を聞いた途端、トリキアスは足の痛みも忘れて鋼鉄のドアに取り付いた。
「エスカローラ! お前まで俺を笑いに来たのか! いや、そんな事はもういい! マニエール公爵家の、お前の権限を使って俺をここから出せ! 貴族牢を含めた牢の管理を担っているのは、お前の家だったはずだろう!」
「……はぁ……。頭の悪い事を仰らないで下さいませ。殿下をここへ収監するようお命じになられたのは、国王陛下ですのよ? 私共の家が、陛下以上の権限を持っているはずがないでしょう。
それと、訂正させて頂きますが、我がマニエール公爵家が担っているのは牢の管理ではございません。罪人を捕縛し、その罪状を洗い出す捜査部の統括と指揮でございます。何度言えば覚えて下さるのかしら」
エスカローラは、疲れたため息を吐き出しながら言う。
「まあ、細かいお話はもう結構ですわ。殿下が愚行を働いて下さったお陰で、私も殿下の婚約者ではなくなりましたし。当家も、今後私が婿を取り、女公爵として家督を継ぐ事になりそうです」
「な、なに!? どういう事だ! 俺の婚約者ではなくなっただと!? それに、なぜお前が公爵になど!」
「どうもこうも、殿下の成さった事が原因ですわ。……ノイヤールの聖女様に刃物を突き付け、あまつさえお怪我をさせたらしいですわね。挙句、王の御前に引っ立てられ、行われた裁判の折、王のお言葉を遮って自ら有罪になるだなんて。
なぜ国家憲章にある刑法、その最も基本的な部分を、王太子であるあなたがご存じないのです。情けなくて言葉が出ませんわ」
「う、うるさい! お前に言われるような事ではない! 第一、俺の行動に関してはお前にも問題がある! あらゆる分野で俺を補佐する為、婚約者として選ばれておきながら、俺の行動を止める事もなければ、話をしようとする事もなかったではないか!
先だっての夜会でも、お前が先んじて俺にあの侍女の情報を寄越していれば、あんな事にはならなかった! 俺はお前のせいで大恥を掻いたのだぞ!」
「全く……この期に及んで、まだ何もかも私のせいにするのですか。一応申し上げておきますけれど、私はあの時、殿下をお止めしようとしました。お前の説教など聞きたくないと仰って、耳を貸そうとしなかったのは殿下の方ですわ。
でも、もうその事もどうでもいいですわ。……うふふ。ありがとうございます、殿下。此度の件で、めでたく殿下は廃太子となり、今後は離宮で幽閉されて死ぬまで飼い殺し。私は頭の悪い殿下のお守りから解放され、長年想っていたお方に婚約の打診ができる。そして民も、将来暗愚な王を頭上に戴かずに済む。
三方よしとは、こういう事を言うのでしょうね」
「なっ……は、廃太子!? 頭が悪い!? き、ききっ、貴様ぁ! よ、よくも俺にそのような口を!
聞いていただろう、牢番共! 不敬罪だ! この女を牢に放り込め!」
「殿下。殿下は本当に、どうしようもないおバカさんですわね。殿下はもう王太子でもなければ、第1王子でもないのです。
陛下はね、私にこう仰いましたの。「民に迷惑をかけると目に見えているゆえ、城から追い出す事はしないが、王族としての身分は剥奪する」と。その為の手続きも、既に終えておられます。
つまり、殿下はもう身分的に、不敬罪が適用されるようなお方ではありませんの。そうでなければ、わざわざこんな所に来て殿下をこき下ろそうだなんて思いませんわ。本当に、おバカさん」
エスカローラは牢の外でコロコロと笑いながら、「今私があなたを殿下とお呼びしているのも、あくまで最後の情けでしかありませんのに」と、あざけるような声で言い放つ。
「あと数日もすれば、殿下は種を残せないお身体に『処理』された上で、離宮へ移され、幽閉される事となります。
それまでの残りの期間、精々ここで幼い子のように泣いて騒いでおられればいいわ。……それではごきげんよう、トリキアス様?」
その言葉を最後に、ドアの小窓は閉ざされた。
エスカローラが履いているとおぼしきヒールが立てる、硬質で規則的な足音が遠ざかっていく。
「おい、待て! 話はまだ終わっていないぞ! そ、そもそもその、種を残せない処理とはどういう……っ、お、おいっ、待てと言っているだろう! 待て! 待ってくれ、エスカぁっ!」
トリキアスはドアを叩きながら悲鳴じみた声を張り上げる。
しかし、エスカローラがその声に応える事はなかった。
「クソッ、クソクソクソッ! なぜこんなみすぼらしい所に閉じ込められねばならんのだ!」
父王の命により、強引に押し込められた貴族牢の中にて、トリキアスは身勝手な事を喚き続けていた。
もっとも、貴族牢というだけあって、牢内には厚手の絨毯が敷かれ、柔らかな毛布が使われたベッドがある。また、収監された者が心を病まぬようにとの配慮から、何点かの絵画すら飾られていた。
通常の牢と比べれば、遥かに豪華で快適な造りだ。
出入り口のドアが鋼鉄でできている事を除けば、ごく普通の客室となんら変わらないと言っていい。
だが、その牢内も今や、トリキアスが暴れたせいで荒れに荒れている。
物心つく前から次代の王と目され、華やかな日の当たる場所で10数年以上、後生大事に育てられてきたトリキアスからして見れば、この貴族牢は、殺風景な物置小屋も同然だった。
王太子である自分が、日を跨いで何日も押し込められていい場所ではない。
トリキアスは、そう固く思い込んでいた。
「大体、なぜ俺が有罪になる! 父上は俺がどうなってもいいのと言うのか!? 母上はなぜ助けに来て下さらないんだ! クソッ、クソがぁッ!」
花瓶や置物、壁に掛けられた絵画など、掴んで投げて当たれる手頃な物がついになくなったトリキアスは、頭を掻き毟りチェストを蹴る。しかし、硬い樹木を切り出して作られたチェストは殊の外頑丈で、トリキアスは逆に、チェストを蹴った爪先を痛める事になった。
堪らずその場にうずくまり、ブーツを雑に脱ぎ捨てて爪先を押さえる。
親指の爪が割れ、幾らか赤く腫れているように見えた。
「~~~っ! お、おい! 怪我をした! 医者を呼べ!」
壁を隔てた向こう側、牢の外に向かって声を張り上げるが、見張りに立っているはずの兵は、誰1人として応えようとしない。
王から直々に、「トリキアスが牢内で騒ぎ立てても、よほどの事がない限り応えず捨て置け」と命じられている事もある。
だが何より見張りの兵達も、自分の行いを一切顧みる事のないまま、ただただ牢の中で見苦しく無実を主張し続け、延々と喚き立てて暴れ、物を壊し、時に奇声すら上げるトリキアスに、すっかり辟易していたのだ。
王に言われずとも、自ら進んで関わり合いになりたいと思う者など、もはやどこにもいなかったのである。
「なぜ何も応えない! 王太子の命をなんと心得る! 誰か来い! 誰かッ! くそぉっ! 耳が腐って落ちたか、下郎共ぉっ!!」
腹の底から声を振り絞り、叫ぶ。
だが、やはり応える者は誰もいなかった。
「うがあああああああッ!!」
ついには絨毯の敷かれた床に転がり、床に拳を何度も叩きつけ始めるトリキアス。
その姿たるや、まるで言葉の拙い幼児が自己表現に窮し、癇癪を起こしているかのような無様さだ。
到底、成人して既に数年を経ている男の取る態度ではなかった。
と、その時。
「――相変わらず、お心の幼い方ですいらっしゃいますわね、殿下」
鋼鉄製のドアの上部に取り付けてある小窓が開き、外側から、涼やかな女性の声が聞こえてきた。
トリキアスの婚約者であるマニエール公爵家の令嬢、エスカローラだ。
エスカローラの声を聞いた途端、トリキアスは足の痛みも忘れて鋼鉄のドアに取り付いた。
「エスカローラ! お前まで俺を笑いに来たのか! いや、そんな事はもういい! マニエール公爵家の、お前の権限を使って俺をここから出せ! 貴族牢を含めた牢の管理を担っているのは、お前の家だったはずだろう!」
「……はぁ……。頭の悪い事を仰らないで下さいませ。殿下をここへ収監するようお命じになられたのは、国王陛下ですのよ? 私共の家が、陛下以上の権限を持っているはずがないでしょう。
それと、訂正させて頂きますが、我がマニエール公爵家が担っているのは牢の管理ではございません。罪人を捕縛し、その罪状を洗い出す捜査部の統括と指揮でございます。何度言えば覚えて下さるのかしら」
エスカローラは、疲れたため息を吐き出しながら言う。
「まあ、細かいお話はもう結構ですわ。殿下が愚行を働いて下さったお陰で、私も殿下の婚約者ではなくなりましたし。当家も、今後私が婿を取り、女公爵として家督を継ぐ事になりそうです」
「な、なに!? どういう事だ! 俺の婚約者ではなくなっただと!? それに、なぜお前が公爵になど!」
「どうもこうも、殿下の成さった事が原因ですわ。……ノイヤールの聖女様に刃物を突き付け、あまつさえお怪我をさせたらしいですわね。挙句、王の御前に引っ立てられ、行われた裁判の折、王のお言葉を遮って自ら有罪になるだなんて。
なぜ国家憲章にある刑法、その最も基本的な部分を、王太子であるあなたがご存じないのです。情けなくて言葉が出ませんわ」
「う、うるさい! お前に言われるような事ではない! 第一、俺の行動に関してはお前にも問題がある! あらゆる分野で俺を補佐する為、婚約者として選ばれておきながら、俺の行動を止める事もなければ、話をしようとする事もなかったではないか!
先だっての夜会でも、お前が先んじて俺にあの侍女の情報を寄越していれば、あんな事にはならなかった! 俺はお前のせいで大恥を掻いたのだぞ!」
「全く……この期に及んで、まだ何もかも私のせいにするのですか。一応申し上げておきますけれど、私はあの時、殿下をお止めしようとしました。お前の説教など聞きたくないと仰って、耳を貸そうとしなかったのは殿下の方ですわ。
でも、もうその事もどうでもいいですわ。……うふふ。ありがとうございます、殿下。此度の件で、めでたく殿下は廃太子となり、今後は離宮で幽閉されて死ぬまで飼い殺し。私は頭の悪い殿下のお守りから解放され、長年想っていたお方に婚約の打診ができる。そして民も、将来暗愚な王を頭上に戴かずに済む。
三方よしとは、こういう事を言うのでしょうね」
「なっ……は、廃太子!? 頭が悪い!? き、ききっ、貴様ぁ! よ、よくも俺にそのような口を!
聞いていただろう、牢番共! 不敬罪だ! この女を牢に放り込め!」
「殿下。殿下は本当に、どうしようもないおバカさんですわね。殿下はもう王太子でもなければ、第1王子でもないのです。
陛下はね、私にこう仰いましたの。「民に迷惑をかけると目に見えているゆえ、城から追い出す事はしないが、王族としての身分は剥奪する」と。その為の手続きも、既に終えておられます。
つまり、殿下はもう身分的に、不敬罪が適用されるようなお方ではありませんの。そうでなければ、わざわざこんな所に来て殿下をこき下ろそうだなんて思いませんわ。本当に、おバカさん」
エスカローラは牢の外でコロコロと笑いながら、「今私があなたを殿下とお呼びしているのも、あくまで最後の情けでしかありませんのに」と、あざけるような声で言い放つ。
「あと数日もすれば、殿下は種を残せないお身体に『処理』された上で、離宮へ移され、幽閉される事となります。
それまでの残りの期間、精々ここで幼い子のように泣いて騒いでおられればいいわ。……それではごきげんよう、トリキアス様?」
その言葉を最後に、ドアの小窓は閉ざされた。
エスカローラが履いているとおぼしきヒールが立てる、硬質で規則的な足音が遠ざかっていく。
「おい、待て! 話はまだ終わっていないぞ! そ、そもそもその、種を残せない処理とはどういう……っ、お、おいっ、待てと言っているだろう! 待て! 待ってくれ、エスカぁっ!」
トリキアスはドアを叩きながら悲鳴じみた声を張り上げる。
しかし、エスカローラがその声に応える事はなかった。
0
あなたにおすすめの小説
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる