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第15話 なんと由緒正しき変態なのだ……
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「でやっ!」
戦いの口火を切ったのは変態騎士団長だった。
変態騎士団長は素早く前に踏み出すと、ロンダートからの後方抱え込み2回宙返り2回ひねりで飛び出した。
「とうっ!」
そして、そのまま変態男爵の背後に回ろうと飛び越えた瞬間、なんと変態男爵も瞬時にバク転からの後方伸身宙返りを繰り出した。
「はっ!」
「なにっ!」
変態男爵は、着地した変態騎士団長の頭上を蝶が舞うかの如く跳び越えながら、変態騎士団長の耳元に囁いた。
「蝶のように舞い、蜂のようにも飛ぶ」
「なっ! それでは、飛んでばかりではないか!」
すると変態男爵は変態騎士団長の背後に着地して、自信満々に答えた。
「その通りだ! 私の言葉に意味など無い!」
「なんだとっ! ……っ!」
変態騎士団長が声をあげた瞬間、
カラン……
なんと変態騎士団長のち○こケースの紐が切られ、乾いた音を響かせながら床に転がった。
変態男爵は満足そうにジョ◯ョ立ちを決めると、右腕を捻りながら人差し指を突き出し、変態騎士団長に言った。
「私が本気だったら……、あなたの股間はキュビズム絵画(ピカソのような絵)のようになっていたでしょう。くっくっく」
「キュビ……」
ドシャッ!
変態男爵の言葉に、変態騎士団長はガクリと膝を突いて声を漏らした。
「わたしの……、負けだ……」
変態男爵は、負けを確信した変態騎士団長を満足気に眺めると高笑いをしながら勝ち誇った。
「はーっはっは! あの噂の変態騎士団長が、この程度とは!」
変態男爵はそう言うと亀甲縛りの紐を静かに整え、悠然と部屋の出口へと向かった。
そして出口の手前でつま先立ちになって振り返り、変態騎士団長に吐き捨てた。
「悔しければ何時でも我が男爵家に来るが良い! 私が相手をしてやろう!」
変態騎士団長はその言葉に悔しさを滲ませ、拳を握りしめた。
◆
その頃、変態騎士団長の出身国では国王と貴族たちが会議を開き、意見を交わしていた。
「偵察兵の報告によると、変態騎士団長は攻め入った国の王になり、変態の国を作ると言っているようです」
「しかし奴はプロテインが必要なはず。プロテインは我が国の特産品です。差し押さえるべきだ」
「ならばプロテインで取引をするべきでは」
「いや、兵を挙げて制圧するべきた!」
「そうだ! 今すぐ挙兵を!」
「国王! ご判断を!」
会議は紛糾し、国王に意見を求められると、国王はつぶらな瞳を輝かせて答えた。
「この国から変態も居なくなったし、そのままで良いんじゃない?」
「「「ええっ!!」」」
その場に居た人々が驚くと、国王は目をパチクリしながら続けた。
「プロテインもちゃんと売ってあげてね。怒らせて国に攻め込まれてもヤダし」
「「「ざわざわざわ……」」」
その場がザワつくと、国王は玉座から立ち上がって言った。
「じゃ、僕サウナの時間だから行くね」
国王はそう言い残すと、スタスタとサウナ室へと向かった。
こうして変態騎士団長はプロテインを確保したのだった。
―― 夜 ――
変態騎士団長は王宮の外でブツブツと独り言を言いながらしゃがんで土に絵を書いていた。
「これがぁ変態のお巡りさんでぇ、これがぁ変態の銀行強盗さん。でぇ、これがぁ変態の……」
しかし変態騎士団長は突然頭を抱えて地面に転がった。
「うぁぁあああああ!」
ゴロゴロゴロゴロゴロ!
そして、そのままうつ伏せに止まると涙を流して呟いた。
「何てことだ。わたしを上回る変態がこの世に存在するとは……」
するとその時、優しくも冷静な声が聞こえてきた。
「変態騎士団長よ。さては変態男爵だな?」
「はっ!」
変態騎士団長は「変態男爵」という言葉に飛び起きると、なんと赤パンツが仁王立ちをしていた。
赤パンツは起き上がった変態騎士団長を生温かい眼差しで見つめると、変態男爵の話を始めた。
「変態男爵……。あの男爵家は代々この国の西を守る豪族にして変態。およそ800年前の書物にも、すでに『変態』の文字が記されている」
「な……、なんと由緒正しき変態なのだ……」
「あの男爵家の当主『変態男爵』は代々強大な変態力を持ち、その強大な力が暴れ出さぬよう、幼い頃から厳しい訓練を強いられるのだ」
「強大な変態力……、だと……」
「そうだ。私も一度、先代の変態男爵と手合わせをした事があるのだが、手も足も出なかった」
「……なんと」
「だが、あの男爵家は孤高の変態。国に反旗を翻す事もなく、ただ只管に変態男爵の名を守り続けている」
「……」
変態騎士団長は赤パンツの話に感動して涙すると、赤パンツは優しく変態騎士団長の肩を叩いて話を続けた。
「変態騎士団長よ……。変態仙人の門を叩くのだ」
「変態仙人」という、パワー・ワードに驚いた変態騎士団長は、思わず顔を上げて目を見開きながら言った。
「変態仙人……、だと……」
「うむ。この国の東には険しい山があり、その山頂に変態仙人が住んでいる」
「なんだって! 教えてくれ、その山どこにあるのだ!」
「では、あとで地図をやろう。しかし、その山は修羅と呼ばれる選ばれし変態が守っている。試練があるかも知れぬが良いか」
「もちろんだ! 試練なくして変態は磨かれぬ!」
赤パンツは変態騎士団長の曇りのない眼差しに表情を崩すと、大きく頷いた。
「よかろう、では地図を渡そう。こちらに来てくれ」
赤パンツはそう言うと王宮の中へと入っていった。
戦いの口火を切ったのは変態騎士団長だった。
変態騎士団長は素早く前に踏み出すと、ロンダートからの後方抱え込み2回宙返り2回ひねりで飛び出した。
「とうっ!」
そして、そのまま変態男爵の背後に回ろうと飛び越えた瞬間、なんと変態男爵も瞬時にバク転からの後方伸身宙返りを繰り出した。
「はっ!」
「なにっ!」
変態男爵は、着地した変態騎士団長の頭上を蝶が舞うかの如く跳び越えながら、変態騎士団長の耳元に囁いた。
「蝶のように舞い、蜂のようにも飛ぶ」
「なっ! それでは、飛んでばかりではないか!」
すると変態男爵は変態騎士団長の背後に着地して、自信満々に答えた。
「その通りだ! 私の言葉に意味など無い!」
「なんだとっ! ……っ!」
変態騎士団長が声をあげた瞬間、
カラン……
なんと変態騎士団長のち○こケースの紐が切られ、乾いた音を響かせながら床に転がった。
変態男爵は満足そうにジョ◯ョ立ちを決めると、右腕を捻りながら人差し指を突き出し、変態騎士団長に言った。
「私が本気だったら……、あなたの股間はキュビズム絵画(ピカソのような絵)のようになっていたでしょう。くっくっく」
「キュビ……」
ドシャッ!
変態男爵の言葉に、変態騎士団長はガクリと膝を突いて声を漏らした。
「わたしの……、負けだ……」
変態男爵は、負けを確信した変態騎士団長を満足気に眺めると高笑いをしながら勝ち誇った。
「はーっはっは! あの噂の変態騎士団長が、この程度とは!」
変態男爵はそう言うと亀甲縛りの紐を静かに整え、悠然と部屋の出口へと向かった。
そして出口の手前でつま先立ちになって振り返り、変態騎士団長に吐き捨てた。
「悔しければ何時でも我が男爵家に来るが良い! 私が相手をしてやろう!」
変態騎士団長はその言葉に悔しさを滲ませ、拳を握りしめた。
◆
その頃、変態騎士団長の出身国では国王と貴族たちが会議を開き、意見を交わしていた。
「偵察兵の報告によると、変態騎士団長は攻め入った国の王になり、変態の国を作ると言っているようです」
「しかし奴はプロテインが必要なはず。プロテインは我が国の特産品です。差し押さえるべきだ」
「ならばプロテインで取引をするべきでは」
「いや、兵を挙げて制圧するべきた!」
「そうだ! 今すぐ挙兵を!」
「国王! ご判断を!」
会議は紛糾し、国王に意見を求められると、国王はつぶらな瞳を輝かせて答えた。
「この国から変態も居なくなったし、そのままで良いんじゃない?」
「「「ええっ!!」」」
その場に居た人々が驚くと、国王は目をパチクリしながら続けた。
「プロテインもちゃんと売ってあげてね。怒らせて国に攻め込まれてもヤダし」
「「「ざわざわざわ……」」」
その場がザワつくと、国王は玉座から立ち上がって言った。
「じゃ、僕サウナの時間だから行くね」
国王はそう言い残すと、スタスタとサウナ室へと向かった。
こうして変態騎士団長はプロテインを確保したのだった。
―― 夜 ――
変態騎士団長は王宮の外でブツブツと独り言を言いながらしゃがんで土に絵を書いていた。
「これがぁ変態のお巡りさんでぇ、これがぁ変態の銀行強盗さん。でぇ、これがぁ変態の……」
しかし変態騎士団長は突然頭を抱えて地面に転がった。
「うぁぁあああああ!」
ゴロゴロゴロゴロゴロ!
そして、そのままうつ伏せに止まると涙を流して呟いた。
「何てことだ。わたしを上回る変態がこの世に存在するとは……」
するとその時、優しくも冷静な声が聞こえてきた。
「変態騎士団長よ。さては変態男爵だな?」
「はっ!」
変態騎士団長は「変態男爵」という言葉に飛び起きると、なんと赤パンツが仁王立ちをしていた。
赤パンツは起き上がった変態騎士団長を生温かい眼差しで見つめると、変態男爵の話を始めた。
「変態男爵……。あの男爵家は代々この国の西を守る豪族にして変態。およそ800年前の書物にも、すでに『変態』の文字が記されている」
「な……、なんと由緒正しき変態なのだ……」
「あの男爵家の当主『変態男爵』は代々強大な変態力を持ち、その強大な力が暴れ出さぬよう、幼い頃から厳しい訓練を強いられるのだ」
「強大な変態力……、だと……」
「そうだ。私も一度、先代の変態男爵と手合わせをした事があるのだが、手も足も出なかった」
「……なんと」
「だが、あの男爵家は孤高の変態。国に反旗を翻す事もなく、ただ只管に変態男爵の名を守り続けている」
「……」
変態騎士団長は赤パンツの話に感動して涙すると、赤パンツは優しく変態騎士団長の肩を叩いて話を続けた。
「変態騎士団長よ……。変態仙人の門を叩くのだ」
「変態仙人」という、パワー・ワードに驚いた変態騎士団長は、思わず顔を上げて目を見開きながら言った。
「変態仙人……、だと……」
「うむ。この国の東には険しい山があり、その山頂に変態仙人が住んでいる」
「なんだって! 教えてくれ、その山どこにあるのだ!」
「では、あとで地図をやろう。しかし、その山は修羅と呼ばれる選ばれし変態が守っている。試練があるかも知れぬが良いか」
「もちろんだ! 試練なくして変態は磨かれぬ!」
赤パンツは変態騎士団長の曇りのない眼差しに表情を崩すと、大きく頷いた。
「よかろう、では地図を渡そう。こちらに来てくれ」
赤パンツはそう言うと王宮の中へと入っていった。
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