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第17話 変態即是空
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変態騎士団長は変態仙人に連れられ、山の周りを螺旋階段のように続く険しい山道を進んだ。
そして山頂にたどり着くと、簡素な掘っ立て小屋が数件建っている広い場所に出た。
変態仙人はそのまま真ん中にある小屋へと向かうと、後ろ手に手招きをしながら変態騎士団長に言った。
「何もない所だが、茶くらいは出せる。まぁ、あがりなさい」
「……うむ。かたじけない、仙人」
変態騎士団長はそう答えると、前を進む変態仙人の背中を見ながら不思議に思った。
(あの仙人、変態の気配など微塵も感じぬ。本当に変態仙人なのだろうか……)
変態騎士団長は変態仙人に導かれて小屋の入ると、中には立派な祭壇があり、その横に二人の青年が居た。
変態仙人に気づいた二人の青年はサッと姿勢を直すと、深く頭を下げて変態仙人に挨拶をした。
「仙人様おかえりなさいませ」
「おかえりなさいませ」
「おお、珍念、木念、戻ったぞ。お客人にお茶を出してくれぬか」
「はい」
「はい」
珍念、木念が奥へ走ると、変態騎士団長は変態仙人に案内されて祭壇の前の座布団に座った。
すると変態騎士団長は立派な祭壇が気になり、変態仙人に尋ねた。
「仙人。この立派な祭壇は何を祀っているのだろうか」
「いや、なにも」
「なにも?」
驚く変態騎士団長に変態仙人は表情を崩して尋ねてきた。
「では逆に聞こう。なぜお主は祭壇に何かが祀ってあると思ったのだ?」
「……なぜ? いや、祭壇はそういうための物では……」
「それじゃ。お主は『常識』という他人が作った泥の中に埋もれておる」
「なにっ」
「良いか。人々の多くは誰かが作った『常識』という泥に埋もれ、物事全てを『常識』という色眼鏡で見ておる」
「常識という色眼鏡……」
「そうじゃ。だからもしお主が『常識』という色眼鏡を外せば、泥の中からスッと立ち上がる蓮の花のように、真実の目で変態を見ることができる」
それを聞いた変態騎士団長は少し理解に苦しんだ。
しかし、その様子を察した変態仙人は優しく諭した。
「お主にアマチュアと言った時、お主は立派に成熟した変態と答えた。立派に成熟したかどうかは誰が決めるのだ?」
「……たしかに。どこからが立派で、どこからが成熟なのか……。それは誰が決めたのだ……?」
「そして、お主はアマチュアが下で、立派で成熟した者が上だという常識にとらわれておるな?」
「はっ!」
変態騎士団長は核心を突かれて驚愕の表情を見せると、変態仙人はゆっくりと、しかし厳かな口調で言った。
「良いか。変態には上も下も無い。常識も非常識もない。ゆえに誰かと比較する事もない」
「……そのとおりだ」
「変態即是空、変態と言うものには色や形や定義はない。それに意味をつけてしまう事が愚かなのだ」
「うっ……」
変態騎士団長は変態仙人の言葉に涙を流すと、変態仙人は念を押すように言った。
「良いか、心の中の変態をありのままに見るのだ! 決して誰かが思うような変態になってはならぬ!」
「はっ! 変態仙人様!」
変態騎士団長は変態仙人の前にひれ伏すと、変態仙人は満足そうに笑みをこぼした。
「はっはっは。分かったのならそれで良い。ほれ、茶が来たぞ。飲みなさい」
珍念、木念が二人にお茶を差し出すと、変態騎士団長はそれをクイッと一口飲んで変態仙人に尋ねた。
「変態仙人。あなたは知性にあふれ、それでいて無礼なわたしにも優しい寛大さも持ち合わせている。どこに変態が……」
変態仙人はその言葉に、ゆっくりと着物の懐を開いて上半身を露わにした。
すると変態仙人の両乳首が細い糸で縛られ、その二本の糸は股間に向かっていた。
それを見た変態騎士団長は驚きを隠せずに愕然と声を発した。
「まっ! まさかその二本ある糸の先は二個の……」
「そうじゃ。玉じゃ。金玉じゃ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
金玉という言葉を発した仙人は隠していた変態力を開放すると、その強大な変態力のオーラが小屋に充満した。
「なっ! こ……、これほどの変態オーラは感じたことがない……」
変態騎士団長は思わず立ち上がると変態仙人は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「そして棒のほうは、ずうっと尻で挟んでおる」
「なにっ!」
「はっはっは。変態騎士団長よ、わたしの変態は如何かな」
「うっ……。高尚で、まともな人間だと思っていた人間が変態だった時が……、一番怖い……」
「はっはっは! だが、わたしは誰かを怖がらせようなどと考はえておらぬ。だからこそ怖いのかも知れぬな」
「……確かに、その通りかもしれません」
「弱い者ほど強がり、頭の悪い者ほど頭の良いふりをする。本物は誰とも比較などしない孤高の境地におるのだ」
するとその言葉を聞いた変態騎士団長は思わずひれ伏して変態仙人に嘆願した。
「変態仙人! どうか、どうかわたしに稽古をつけてくれぬか! わたしは……、わたしは本物の変態になりたい!」
それを聞いた変態仙人はゆっくりと着物を直すと、大きく頷いて答えた。
「よかろう。お主の変態、磨かせてもらおうか」
「はっ! 何卒よろしくお願いいたす!」
すると変態仙人は側にいた珍念、木念に指示を出した。
「珍念、木念。お客人に稽古をつけて差し上げなさい」
すると珍念、木念は急に怪しい笑みを浮かべ、ユラリと立ち上がりながら返事をした。
「はい、仙人様」
「はい。いいんですね、やってしまっても」
珍念、木念はそう言うと、身構える変態騎士団長に近づいていった。
そして山頂にたどり着くと、簡素な掘っ立て小屋が数件建っている広い場所に出た。
変態仙人はそのまま真ん中にある小屋へと向かうと、後ろ手に手招きをしながら変態騎士団長に言った。
「何もない所だが、茶くらいは出せる。まぁ、あがりなさい」
「……うむ。かたじけない、仙人」
変態騎士団長はそう答えると、前を進む変態仙人の背中を見ながら不思議に思った。
(あの仙人、変態の気配など微塵も感じぬ。本当に変態仙人なのだろうか……)
変態騎士団長は変態仙人に導かれて小屋の入ると、中には立派な祭壇があり、その横に二人の青年が居た。
変態仙人に気づいた二人の青年はサッと姿勢を直すと、深く頭を下げて変態仙人に挨拶をした。
「仙人様おかえりなさいませ」
「おかえりなさいませ」
「おお、珍念、木念、戻ったぞ。お客人にお茶を出してくれぬか」
「はい」
「はい」
珍念、木念が奥へ走ると、変態騎士団長は変態仙人に案内されて祭壇の前の座布団に座った。
すると変態騎士団長は立派な祭壇が気になり、変態仙人に尋ねた。
「仙人。この立派な祭壇は何を祀っているのだろうか」
「いや、なにも」
「なにも?」
驚く変態騎士団長に変態仙人は表情を崩して尋ねてきた。
「では逆に聞こう。なぜお主は祭壇に何かが祀ってあると思ったのだ?」
「……なぜ? いや、祭壇はそういうための物では……」
「それじゃ。お主は『常識』という他人が作った泥の中に埋もれておる」
「なにっ」
「良いか。人々の多くは誰かが作った『常識』という泥に埋もれ、物事全てを『常識』という色眼鏡で見ておる」
「常識という色眼鏡……」
「そうじゃ。だからもしお主が『常識』という色眼鏡を外せば、泥の中からスッと立ち上がる蓮の花のように、真実の目で変態を見ることができる」
それを聞いた変態騎士団長は少し理解に苦しんだ。
しかし、その様子を察した変態仙人は優しく諭した。
「お主にアマチュアと言った時、お主は立派に成熟した変態と答えた。立派に成熟したかどうかは誰が決めるのだ?」
「……たしかに。どこからが立派で、どこからが成熟なのか……。それは誰が決めたのだ……?」
「そして、お主はアマチュアが下で、立派で成熟した者が上だという常識にとらわれておるな?」
「はっ!」
変態騎士団長は核心を突かれて驚愕の表情を見せると、変態仙人はゆっくりと、しかし厳かな口調で言った。
「良いか。変態には上も下も無い。常識も非常識もない。ゆえに誰かと比較する事もない」
「……そのとおりだ」
「変態即是空、変態と言うものには色や形や定義はない。それに意味をつけてしまう事が愚かなのだ」
「うっ……」
変態騎士団長は変態仙人の言葉に涙を流すと、変態仙人は念を押すように言った。
「良いか、心の中の変態をありのままに見るのだ! 決して誰かが思うような変態になってはならぬ!」
「はっ! 変態仙人様!」
変態騎士団長は変態仙人の前にひれ伏すと、変態仙人は満足そうに笑みをこぼした。
「はっはっは。分かったのならそれで良い。ほれ、茶が来たぞ。飲みなさい」
珍念、木念が二人にお茶を差し出すと、変態騎士団長はそれをクイッと一口飲んで変態仙人に尋ねた。
「変態仙人。あなたは知性にあふれ、それでいて無礼なわたしにも優しい寛大さも持ち合わせている。どこに変態が……」
変態仙人はその言葉に、ゆっくりと着物の懐を開いて上半身を露わにした。
すると変態仙人の両乳首が細い糸で縛られ、その二本の糸は股間に向かっていた。
それを見た変態騎士団長は驚きを隠せずに愕然と声を発した。
「まっ! まさかその二本ある糸の先は二個の……」
「そうじゃ。玉じゃ。金玉じゃ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
金玉という言葉を発した仙人は隠していた変態力を開放すると、その強大な変態力のオーラが小屋に充満した。
「なっ! こ……、これほどの変態オーラは感じたことがない……」
変態騎士団長は思わず立ち上がると変態仙人は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「そして棒のほうは、ずうっと尻で挟んでおる」
「なにっ!」
「はっはっは。変態騎士団長よ、わたしの変態は如何かな」
「うっ……。高尚で、まともな人間だと思っていた人間が変態だった時が……、一番怖い……」
「はっはっは! だが、わたしは誰かを怖がらせようなどと考はえておらぬ。だからこそ怖いのかも知れぬな」
「……確かに、その通りかもしれません」
「弱い者ほど強がり、頭の悪い者ほど頭の良いふりをする。本物は誰とも比較などしない孤高の境地におるのだ」
するとその言葉を聞いた変態騎士団長は思わずひれ伏して変態仙人に嘆願した。
「変態仙人! どうか、どうかわたしに稽古をつけてくれぬか! わたしは……、わたしは本物の変態になりたい!」
それを聞いた変態仙人はゆっくりと着物を直すと、大きく頷いて答えた。
「よかろう。お主の変態、磨かせてもらおうか」
「はっ! 何卒よろしくお願いいたす!」
すると変態仙人は側にいた珍念、木念に指示を出した。
「珍念、木念。お客人に稽古をつけて差し上げなさい」
すると珍念、木念は急に怪しい笑みを浮かべ、ユラリと立ち上がりながら返事をした。
「はい、仙人様」
「はい。いいんですね、やってしまっても」
珍念、木念はそう言うと、身構える変態騎士団長に近づいていった。
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