【完結】10日に1度の恋人~初めて愛した人は、復讐相手の夫でした~

Tubling

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妻の闇 ~ヴァレリオSide~

 娼館から戻り、次に会いに行くまでの間、少しずつコンサヴァル伯爵家の件について自分でも調べ始めた。
 彼女と会えない時間を無駄にしたくはない。
 少しでも早くこの件を解決し、あの娼館から解放しなくては。
 いつ、誰に目を着けられるか分からない状況で、ダラダラと過ごすわけにはいかない。
 王族の方々も今回の件に関して動いてくださっているようだ……コンサヴァル伯爵家は善良な人達で有名なので、賭博で借金など誰も信じていない。

 私は時間を見付け、ミリーの両親にも接触した。
 彼らは陛下の計らいで辺境の村でひっそりと暮らしている。

 伯爵はミリーを娼館へ送らなくてはならなかった事を大変悔やみ、見る影もないほど気落ちして痩せこけていた。

 「どうしてこんな事になったのか……!」
 「落ち着いてください。どのようなやり取りがあったのか、私に教えてくれませんか?」

 伯爵は頭を抱えながらその時の状況を話してくれた。
 シュレーブス公爵に賭博に誘われ、断れなかった事。
 最初に少しのチップを渡され、初心者でも出来るルーレットを一回だけ嗜んだ。
 すると勝ったので二回目に挑戦してみたところ、それも勝利。
 何回か勝った後に大敗する。
 止めようとしたところ、公爵から「私の渡したチップの分だけでも取り返せ」と言われ、止めるに止めれなくなり、そこからは芋ずる式に負けていったという。

 「最初から借金をさせるつもりだったのですね」

 私の言葉に伯爵が力なく頷く。

 「少し遊ぶ為のチップを気前よく渡され、公爵ほどの人なので、まさか取り返せと言われるとは思わず……」

 経験のない人間をカモにする汚いやり方だ。
 血の気が引いたただろうな……ルーレットは運次第なところがあるのに、最初だけであとは一度も勝てなかったというのも解せない。
 そこのディーラーも買収されていた可能性もある。

 「私が負け続け、賭けるものがないと言ったら……最近私の領地で発見されたローグ鉱山を賭ければいいと言われた。その時悟った…………あの人はそれが目的だったのだ!」
 「新たな鉱山が?」
 「ずっと調査を続けていて、これから陛下に報告するところだったのに……どこで嗅ぎ付けたのか……」
 
 話を聞けば聞くほど、どんどん新たな事実が明るみになってくる。
 ミリーの事だけでなく、伯爵家自体が狙われていたのだ。
 伯爵は「すまない、ミリー……すまない……」とうわ言のように呟き、もはや話せる状態ではなかった。

 「今殿下が調査をしています。私も出来る限り調べ、必ずこの件を解決し彼女を解放させてみせますので」

 その後はもう泣き崩れてしまい、言葉を交わせず、私はその村を後にした。
 ようやく少しその時の様子を聞く事が出来た――――
 この事はすぐに殿下の耳に入れなくてはならない。
 
 ヘレーネに怪しまれないように、その日は早めに帰邸し、家で執務室にこもる事にした。
 しかし私が早めに帰ってきたのを勘違いしたのか、ヘレーネが満面の笑みで腕に張り付いてくる。

 「ヴァレリオ様!お早いお帰り、嬉しいです」
 「そうか。家で仕事をしようと思ったのだ」
 「またお仕事ですの?少しでいいのです、わたくしとお茶でも――――」
 「すまない、仕事が溜まっている」
 
 「今度は違う女ですの?」

 ヘレーネの方を振り返る。
 なんの話をしている?
 違う女とは……私が何も言えずにいると、仄暗い笑みを浮かべたヘレーネが堰を切るように話し始めた。

 「だってこの前帰ってきた時の服から女の臭いがしましたもの。嗅いだことのない臭い……臭くて臭くて斬り刻んでしまいたかった!その女ごと!」
 「なっ……!」

 私が留守の時に私の衣服をチェックしているというのか?!
 ミリーの匂いがつかないように上着などはすぐに脱いだし、シャツは……まさか――――

 「わたくしはあなたの妻ですもの。夫のものはわたくしのものでもあるでしょう?あなたが着ていたものは全ていつもチェックしているわ。今まで女の臭いなど付けてこなかったのに……!!」
 「……っ話にならないな。たまたま女性を助けただけで」
 「助けた?」
 
 取ってつけたような話をでっち上げ、人助けで女性を抱えた話をした。
 これ以上刺激すれば何をしでかすか分からない。
 この女は狂気じみている……まだコンサヴァル伯爵家について調べ始めたばかりなのだ。
 今の時点でヘレーネに勘付かれるわけにはいかない……!
 
 「君が気にするような出来事ではない。人助けだ」
 「まぁぁそうでしたの!わたくしったらなんてはしたない事を!失礼いたしましたわ……」
 「分かってくれたならいい」
 「旦那様、お食事は?」
 「…………あとでいただこう」
 「承知いたしました!」

 その日の夜の食事は全く味がしなかった事だけは覚えている。
 早く、早く10日後になってほしい。
 最初はミリーを救い出したかった。
 彼女は娼館にいるべきではない……本来なら伯爵令嬢としての輝かしい人生があったはずなのだ。
 だが、回数を重ねる度に彼女に会うのが待ち遠しくなり、だんだんと癒される為に通うようになっていった。

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