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妻の闇 ~ヴァレリオSide~
娼館から戻り、次に会いに行くまでの間、少しずつコンサヴァル伯爵家の件について自分でも調べ始めた。
彼女と会えない時間を無駄にしたくはない。
少しでも早くこの件を解決し、あの娼館から解放しなくては。
いつ、誰に目を着けられるか分からない状況で、ダラダラと過ごすわけにはいかない。
王族の方々も今回の件に関して動いてくださっているようだ……コンサヴァル伯爵家は善良な人達で有名なので、賭博で借金など誰も信じていない。
私は時間を見付け、ミリーの両親にも接触した。
彼らは陛下の計らいで辺境の村でひっそりと暮らしている。
伯爵はミリーを娼館へ送らなくてはならなかった事を大変悔やみ、見る影もないほど気落ちして痩せこけていた。
「どうしてこんな事になったのか……!」
「落ち着いてください。どのようなやり取りがあったのか、私に教えてくれませんか?」
伯爵は頭を抱えながらその時の状況を話してくれた。
シュレーブス公爵に賭博に誘われ、断れなかった事。
最初に少しのチップを渡され、初心者でも出来るルーレットを一回だけ嗜んだ。
すると勝ったので二回目に挑戦してみたところ、それも勝利。
何回か勝った後に大敗する。
止めようとしたところ、公爵から「私の渡したチップの分だけでも取り返せ」と言われ、止めるに止めれなくなり、そこからは芋ずる式に負けていったという。
「最初から借金をさせるつもりだったのですね」
私の言葉に伯爵が力なく頷く。
「少し遊ぶ為のチップを気前よく渡され、公爵ほどの人なので、まさか取り返せと言われるとは思わず……」
経験のない人間をカモにする汚いやり方だ。
血の気が引いたただろうな……ルーレットは運次第なところがあるのに、最初だけであとは一度も勝てなかったというのも解せない。
そこのディーラーも買収されていた可能性もある。
「私が負け続け、賭けるものがないと言ったら……最近私の領地で発見されたローグ鉱山を賭ければいいと言われた。その時悟った…………あの人はそれが目的だったのだ!」
「新たな鉱山が?」
「ずっと調査を続けていて、これから陛下に報告するところだったのに……どこで嗅ぎ付けたのか……」
話を聞けば聞くほど、どんどん新たな事実が明るみになってくる。
ミリーの事だけでなく、伯爵家自体が狙われていたのだ。
伯爵は「すまない、ミリー……すまない……」とうわ言のように呟き、もはや話せる状態ではなかった。
「今殿下が調査をしています。私も出来る限り調べ、必ずこの件を解決し彼女を解放させてみせますので」
その後はもう泣き崩れてしまい、言葉を交わせず、私はその村を後にした。
ようやく少しその時の様子を聞く事が出来た――――
この事はすぐに殿下の耳に入れなくてはならない。
ヘレーネに怪しまれないように、その日は早めに帰邸し、家で執務室にこもる事にした。
しかし私が早めに帰ってきたのを勘違いしたのか、ヘレーネが満面の笑みで腕に張り付いてくる。
「ヴァレリオ様!お早いお帰り、嬉しいです」
「そうか。家で仕事をしようと思ったのだ」
「またお仕事ですの?少しでいいのです、わたくしとお茶でも――――」
「すまない、仕事が溜まっている」
「今度は違う女ですの?」
ヘレーネの方を振り返る。
なんの話をしている?
違う女とは……私が何も言えずにいると、仄暗い笑みを浮かべたヘレーネが堰を切るように話し始めた。
「だってこの前帰ってきた時の服から女の臭いがしましたもの。嗅いだことのない臭い……臭くて臭くて斬り刻んでしまいたかった!その女ごと!」
「なっ……!」
私が留守の時に私の衣服をチェックしているというのか?!
ミリーの匂いがつかないように上着などはすぐに脱いだし、シャツは……まさか――――
「わたくしはあなたの妻ですもの。夫のものはわたくしのものでもあるでしょう?あなたが着ていたものは全ていつもチェックしているわ。今まで女の臭いなど付けてこなかったのに……!!」
「……っ話にならないな。たまたま女性を助けただけで」
「助けた?」
取ってつけたような話をでっち上げ、人助けで女性を抱えた話をした。
これ以上刺激すれば何をしでかすか分からない。
この女は狂気じみている……まだコンサヴァル伯爵家について調べ始めたばかりなのだ。
今の時点でヘレーネに勘付かれるわけにはいかない……!
「君が気にするような出来事ではない。人助けだ」
「まぁぁそうでしたの!わたくしったらなんてはしたない事を!失礼いたしましたわ……」
「分かってくれたならいい」
「旦那様、お食事は?」
「…………あとでいただこう」
「承知いたしました!」
その日の夜の食事は全く味がしなかった事だけは覚えている。
早く、早く10日後になってほしい。
最初はミリーを救い出したかった。
彼女は娼館にいるべきではない……本来なら伯爵令嬢としての輝かしい人生があったはずなのだ。
だが、回数を重ねる度に彼女に会うのが待ち遠しくなり、だんだんと癒される為に通うようになっていった。
彼女と会えない時間を無駄にしたくはない。
少しでも早くこの件を解決し、あの娼館から解放しなくては。
いつ、誰に目を着けられるか分からない状況で、ダラダラと過ごすわけにはいかない。
王族の方々も今回の件に関して動いてくださっているようだ……コンサヴァル伯爵家は善良な人達で有名なので、賭博で借金など誰も信じていない。
私は時間を見付け、ミリーの両親にも接触した。
彼らは陛下の計らいで辺境の村でひっそりと暮らしている。
伯爵はミリーを娼館へ送らなくてはならなかった事を大変悔やみ、見る影もないほど気落ちして痩せこけていた。
「どうしてこんな事になったのか……!」
「落ち着いてください。どのようなやり取りがあったのか、私に教えてくれませんか?」
伯爵は頭を抱えながらその時の状況を話してくれた。
シュレーブス公爵に賭博に誘われ、断れなかった事。
最初に少しのチップを渡され、初心者でも出来るルーレットを一回だけ嗜んだ。
すると勝ったので二回目に挑戦してみたところ、それも勝利。
何回か勝った後に大敗する。
止めようとしたところ、公爵から「私の渡したチップの分だけでも取り返せ」と言われ、止めるに止めれなくなり、そこからは芋ずる式に負けていったという。
「最初から借金をさせるつもりだったのですね」
私の言葉に伯爵が力なく頷く。
「少し遊ぶ為のチップを気前よく渡され、公爵ほどの人なので、まさか取り返せと言われるとは思わず……」
経験のない人間をカモにする汚いやり方だ。
血の気が引いたただろうな……ルーレットは運次第なところがあるのに、最初だけであとは一度も勝てなかったというのも解せない。
そこのディーラーも買収されていた可能性もある。
「私が負け続け、賭けるものがないと言ったら……最近私の領地で発見されたローグ鉱山を賭ければいいと言われた。その時悟った…………あの人はそれが目的だったのだ!」
「新たな鉱山が?」
「ずっと調査を続けていて、これから陛下に報告するところだったのに……どこで嗅ぎ付けたのか……」
話を聞けば聞くほど、どんどん新たな事実が明るみになってくる。
ミリーの事だけでなく、伯爵家自体が狙われていたのだ。
伯爵は「すまない、ミリー……すまない……」とうわ言のように呟き、もはや話せる状態ではなかった。
「今殿下が調査をしています。私も出来る限り調べ、必ずこの件を解決し彼女を解放させてみせますので」
その後はもう泣き崩れてしまい、言葉を交わせず、私はその村を後にした。
ようやく少しその時の様子を聞く事が出来た――――
この事はすぐに殿下の耳に入れなくてはならない。
ヘレーネに怪しまれないように、その日は早めに帰邸し、家で執務室にこもる事にした。
しかし私が早めに帰ってきたのを勘違いしたのか、ヘレーネが満面の笑みで腕に張り付いてくる。
「ヴァレリオ様!お早いお帰り、嬉しいです」
「そうか。家で仕事をしようと思ったのだ」
「またお仕事ですの?少しでいいのです、わたくしとお茶でも――――」
「すまない、仕事が溜まっている」
「今度は違う女ですの?」
ヘレーネの方を振り返る。
なんの話をしている?
違う女とは……私が何も言えずにいると、仄暗い笑みを浮かべたヘレーネが堰を切るように話し始めた。
「だってこの前帰ってきた時の服から女の臭いがしましたもの。嗅いだことのない臭い……臭くて臭くて斬り刻んでしまいたかった!その女ごと!」
「なっ……!」
私が留守の時に私の衣服をチェックしているというのか?!
ミリーの匂いがつかないように上着などはすぐに脱いだし、シャツは……まさか――――
「わたくしはあなたの妻ですもの。夫のものはわたくしのものでもあるでしょう?あなたが着ていたものは全ていつもチェックしているわ。今まで女の臭いなど付けてこなかったのに……!!」
「……っ話にならないな。たまたま女性を助けただけで」
「助けた?」
取ってつけたような話をでっち上げ、人助けで女性を抱えた話をした。
これ以上刺激すれば何をしでかすか分からない。
この女は狂気じみている……まだコンサヴァル伯爵家について調べ始めたばかりなのだ。
今の時点でヘレーネに勘付かれるわけにはいかない……!
「君が気にするような出来事ではない。人助けだ」
「まぁぁそうでしたの!わたくしったらなんてはしたない事を!失礼いたしましたわ……」
「分かってくれたならいい」
「旦那様、お食事は?」
「…………あとでいただこう」
「承知いたしました!」
その日の夜の食事は全く味がしなかった事だけは覚えている。
早く、早く10日後になってほしい。
最初はミリーを救い出したかった。
彼女は娼館にいるべきではない……本来なら伯爵令嬢としての輝かしい人生があったはずなのだ。
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